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妊活・不妊治療

プロテインが妊活に与える影響は?選び方や注意点も解説

この記事を監修した人

京都薬科大学特命教授 兼 薬剤師
戸口 瑞之
漢方薬房こうのとり 代表

元富山総合薬局代表。現漢方薬房こうのとり代表・管理薬剤師 / 現京都薬科大学特命教授。
飲む量の加減のみ必要で万人に合う現代の中国漢方(中医)に大学病院時代から36年携わる。
漢方薬房こうのとりでは、直近3年で100人以上の方が目標を達成されています。

「プロテイン」と聞くと、筋トレやダイエットのイメージが強いかもしれませんが、そもそもプロテインとは「タンパク質」のこと。筋肉だけでなく、ホルモン・免疫・細胞の修復など、私たちの体の基本を支える大切な栄養素です。

まずお伝えしたいのは、合成のプロテイン製品は腎臓への負担が懸念されており、日本以外の多くの先進国では販売が認められていないという点です。つまり、アメリカなどで販売できないような成分を含むものは、安全性に疑問があると考えられます

そのため、妊活中の方や妊娠を視野に入れている方は、「どのプロテインを選ぶか」が非常に重要になります。体にとって必要なタンパク質を安全に摂取するためには、日々の食事からしっかりと取り入れることが理想的です。

ただし、忙しい日々や体調が安定しない時期には、良質な食品由来のタンパク質を補助的に摂るという選択もあるでしょう。その際には、合成成分を避けた安全性の高い製品かどうか、必ず確認することをおすすめします。

この記事では、「プロテインを飲むと不妊になる?」「妊娠中に飲んでも大丈夫?」「どんな種類を選べばいい?」といった疑問に医学的根拠をもとに答え、妊活中の方が安心してタンパク質と向き合うための正しい知識をお届けします。

不妊とプロテインの関係について

妊活中や妊娠中に「プロテインを飲んでも大丈夫なのか」と不安になる人は少なくありません。

まず前提として、「プロテイン」とは基本的に「タンパク質」のことを指します。タンパク質は筋肉や皮膚、ホルモン、免疫物質などの材料であり、人の体にとって不可欠な栄養素です。食品から摂るのが理想ですが、食事で不足しがちな場合には補助的にサプリメントを利用することもあります。

余談1)「プロテイン摂取で不妊になる」の真偽と理由

「プロテインを飲むと不妊になる」といった噂が一部で広がっていますが、栄養補助食品としてのプロテイン摂取が直接的に不妊を引き起こすという科学的な証拠は確認されていません。

この誤解の背景には、以下のような要素が混在していると考えられます。

  • 過剰摂取によるホルモンバランスの乱れ
  • 一部サプリメントに含まれる添加物の影響

また、不妊症の検査項目には「プロテインS」や「プロテインC」と呼ばれる、体内の血液凝固に関わるタンパク質の活性値が含まれることがあります。これらは妊娠を維持するうえで重要な指標である一方、「プロテイン」という言葉が同じであることから、サプリメントとしてのプロテイン(=タンパク質)と混同され、「プロテイン=不妊に関係する」という誤解が生じることがあります。

しかし、両者はまったく別の概念であり、プロテイン飲料などを摂取することが不妊の原因になるわけではありません

実際、日本産科婦人科学会の資料では、プロテインS欠乏が血栓性素因の一つとして妊娠合併症と関連する可能性が指摘されていますが、これはあくまで体内の機能性タンパク質に関する話であり、サプリメントとしてのプロテインの摂取とは別問題です。

出典:遺伝性血栓性素因患者の妊娠分娩管理に関する診療の手引き Q&A|公益社団法人 日本産科婦人科学会

余談2)「妊娠中はプロテインはダメ」の真偽と理由

妊娠中に「プロテインを飲んではいけない」という情報も目にすることがありますが、これも正確とはいえません。

まず、妊娠中のタンパク質は母体と胎児の両方にとって重要な栄養素です。胎児の細胞はタンパク質でできており、また妊娠による体内の変化(子宮や血液量の増加など)にもタンパク質が必要です。

山梨大学の研究では、妊娠初期に極端な低タンパク質食を摂った母親の子どもは、3歳時点での言語や運動発達がやや遅れる傾向があることが報告されています。

出典:「妊娠中の母親のたんぱく質摂取と3歳時の発達との関連について」|山梨大学

妊活にプロテインが与える影響・効果

タンパク質(プロテイン)は、ホルモン合成・細胞の修復・免疫機能など、生殖に関わる幅広い機能に関与します。そのため、妊活においても非常に重要です。

卵巣機能と排卵に関わる「必須アミノ酸」

タンパク質は体内で分解され、20種類のアミノ酸として利用されます。そのうちヒスチジン・ロイシン・リジンなどの「必須アミノ酸」は体内で合成できず、食事から摂取する必要があります。

十分な必須アミノ酸摂取は卵巣の血流改善や排卵機能のサポートにつながることが報告されています。特にロイシンやリジンは、卵巣内での成長因子や酵素活性に関与し、卵胞の成熟を助ける働きを持つとされます。

妊娠維持に影響する「アルギニン」

アルギニンは準必須アミノ酸のひとつで、血管拡張作用を持つ一酸化窒素(NO)の前駆体です。これにより子宮や卵巣への血流を改善し、着床しやすい環境を整える効果があると示唆されています

また、アルギニンは子宮内膜の厚みや黄体ホルモン分泌の調整にも関与しており、不妊治療の補助栄養として注目されています。

アルギニンを含むホエイプロテインなどの利用は、妊活女性にとって有効な選択肢の一つになり得ます。

免疫調整・抗酸化作用に寄与する「グルタミン」や「システイン」

妊娠の成立と維持には、過剰な免疫反応を抑制し、胎児を「異物」として攻撃しないようにする免疫寛容の仕組みが重要です。これに関わるアミノ酸として、グルタミンとシステインが注目されています。

グルタミンは、腸内免疫を整え、炎症反応を抑える働きがあり、体調管理にも有効です。

システインは、抗酸化物質グルタチオンの前駆体であり、細胞の酸化ストレスを軽減する働きがあります。

妊活においては、子宮内環境の最適化や卵子の老化防止にもつながる成分として、グルタミン・システインを含むプロテイン製品の活用が科学的に裏づけられています

この章ではプロテインの影響や効果をご紹介しましたが、近年では東洋医学(漢方)による妊活アプローチにも関心が高まっています。漢方は「月経周期の乱れ」「PMS」「不眠・冷え」「ストレス」など、妊娠しにくい体質を根本から整えるのが得意な分野です。

「漢方薬房こうのとり」では、これまで多くの方が漢方によって妊娠へとつながった実績があります。妊活をがんばるあなたの体質やお悩みに寄り添いながら、丁寧にサポートいたします。気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

妊活中に摂取するプロテインの種類について

一口にプロテインといっても、原料や加工法の違いによっていくつかの種類があります。妊活中に適したタイプを見極めるため、それぞれの特徴や注意点を確認しておきましょう。

監修者コメント

まず大前提としてお伝えしたいのは、合成由来のプロテインであれば、妊活中は使用を避けた方がよいということです。合成成分による腎臓への負担やホルモンバランスへの影響が指摘されており、日本以外の先進国ではすでに販売が制限されているケースもあります。

 

ホエイプロテイン(乳清たんぱく)

ホエイプロテインは、牛乳由来の動物性タンパク質で、必須アミノ酸が豊富に含まれています。特にロイシン・リジン・システインなど、妊活において細胞修復やホルモン合成に関与する成分が含まれており、効率よく体に吸収される点がメリットです

また、体力低下が気になる方や、運動を取り入れている妊活中の方にも向いています。

注意点

  • 乳糖不耐症の方は腹部不快感を感じることがあるため、「WPI(アイソレート)」と表示のある製品を選ぶと安心です。
  • 添加物(香料・甘味料など)の有無を確認しましょう。

ソイプロテイン(大豆たんぱく)

ソイプロテインは大豆由来の植物性タンパク質で、特にイソフラボンが含まれている点が特徴です。イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持つことから、ホルモンバランスの乱れや月経不順に悩む方におすすめされることがあります

ただし、妊活中の過剰摂取については賛否が分かれており、日常的に大豆製品を多く食べている方は、イソフラボンの摂取量を調整する必要があります。

注意点

  • 妊娠中やホルモン療法中の方は、医師と相談のうえで摂取してください。
  • 遺伝子組み換えでない大豆使用、無添加のものを選ぶのが理想的です。

ヘンププロテイン・ピープロテイン・ライスプロテイン

ホエイやソイ以外にも、アレルギーやライフスタイルに配慮したプロテインとして注目されているのが以下の種類です。

プロテインの種類特徴
ヘンププロテイン(麻の実)食物繊維やミネラルが豊富で、整腸作用が期待できる
ピープロテイン(えんどう豆)アレルゲンが少なく、植物性ながらアミノ酸スコアが高い。味が淡白で続けやすいという声もある
ライスプロテイン(米)日本人の体質に合いやすく、胃腸にやさしい

これらの植物性プロテインは、ホエイ・ソイが合わない人の代替手段として選ばれることが多く、無添加・低アレルゲンであることから妊活中にも安心して取り入れやすい傾向があります

【比較】妊活中に摂取しないほうがよい成分を含む製品はある?

妊活中にプロテインを取り入れるうえで大切なのは、「タンパク質の質や量」だけではありません。サプリメントの多くには、味を整えたり保存性を高めたりするための添加物が含まれており、それらが妊活中の体に影響を与える可能性もあります。

ここでは、妊活中の方がなるべく避けたほうがよい成分と、その視点から見た代表的な製品の比較ポイントを整理します。

妊活中に避けたい可能性のある成分

  • 人工甘味料(スクラロース、アセスルファムK など)
  • 過剰なビタミンA(レチノール)
  • 香料・着色料・増粘剤などの添加物

人工甘味料は多くのプロテインに使われていますが、妊娠中・妊活中の安全性について長期的な影響が明確にされていないものもあります。一部研究では、スクラロースが腸内環境に影響を与える可能性や、血糖値の感受性に影響する可能性が指摘されています。

脂溶性ビタミンであるビタミンA(特にレチノール型)は、妊娠初期に過剰摂取すると胎児の奇形リスクがあるとされています。通常の食事で過剰になることは少ないものの、ビタミン強化型プロテインでは注意が必要です。

これらの添加物は少量であれば問題視されにくいものの、長期的に摂取するプロテインだからこそ、無添加または最小限に抑えられている製品を選ぶことが安心材料となります

代表的な市販製品における注意点

市場で人気の製品には、前述の成分が含まれているのでしょうか。以下にまとめました。

製品名添加物(例)妊活視点での評価
ザバス ホエイプロテイン100スクラロース、アスパルテーム、香料、ビタミン類など味・溶けやすさは優秀だが、添加物がやや多め。日常的に飲む場合は注意が必要。
Impact ホエイプロテインパウダー多くのフレーバーでスクラロース・香料・着色料を使用フレーバーが豊富で楽しいが、無添加希望なら「ノンフレーバー」一択。
ALPRON WPC プロテインスクラロース、アセスルファムK(※一部フレーバー)プレーン(グラスフェッド)は無添加でシンプル。妊活中には最も安心度が高い。

出典:
ザバス ホエイプロテイン100|株式会社 明治
Impact ホエイプロテインパウダー | MYPROTEIN
ALPRON WPC プロテイン|アルプロン公式ショップ

明確に「摂取してはいけない」と述べることはできませんが、多くの製品について、気を配ったほうがよいかもしれません。

気になる方は、専門知識を持つ医師や薬剤師などに相談してもよいでしょう。

【FAQ】妊活中のプロテイン摂取についてよくある質問

妊活中にプロテインを取り入れることに不安や疑問を感じている方は少なくありません。ここでは、妊活中によく寄せられる質問と、その答えを医学的な観点からわかりやすく解説します。

男性機能とプロテインは関係ある?

タンパク質は精子を構成する重要な栄養素の一つであり、適切なタンパク質摂取は、精子の質(濃度・運動率・形態)を支えるうえで不可欠です

また、男性ホルモン(テストステロン)はコレステロールから合成されますが、その生成にもタンパク質を介した酵素の働きが必要です。

ただし、プロテイン製品の過剰摂取や極端なボディビル向けサプリ(例:筋肥大特化タイプ)の中には、テストステロンに影響を与える成分が含まれることがあるため、製品の選定には注意が必要です。

妊活中、プロテインを飲むベストなタイミングはいつ?

妊活中のプロテイン摂取に「絶対にこの時間がよい」という明確なルールはありませんが、以下のタイミングが一般的におすすめです。

タイミング摂取の目的・効果
朝食時一晩で失われたアミノ酸を補給し、代謝をサポート
運動後血流が促進され、栄養吸収が高まるタイミング
間食代わり甘いものの代替として、血糖値の急上昇を防ぎながらタンパク質補給
就寝前(少量)就寝中の成長ホルモン分泌をサポート

妊活中にプロテインを飲みすぎるとよくないですか?

はい、どんなに体に良い栄養素でも「過剰摂取」は逆効果になることがあります

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、健康な成人女性のタンパク質の推奨量は、1日あたり50g前後(体重1kgあたり約1g)が目安とされています。

日常の食事(肉・魚・卵・豆製品など)からもタンパク質を摂っていることを考慮すると、プロテインで補う量は1日15~30g(1~2回分)を目安にとどめるのが妥当です。

妊活の効果を高めたい方には漢方がおすすめ

適切なタンパク質摂取は、ホルモンバランスの維持や卵子・精子の質の向上、着床しやすい体づくりに欠かせない要素です。ただし、すべてのプロテインが妊活に適しているとは限らず、特に合成由来のものは注意が必要です。

漢方薬房こうのとりでは、アメリカでも医薬品として販売可能な天然物由来のプロテインエキスを取り入れ、妊活を多角的にサポートしています。たとえば、以下のような目的で使用しています。

  • 貧血対策としての造血サポート
  • 子宮内膜を厚くするサポート
  • 滋養強壮による疲労回復

現代の妊活では、冷え・血流不良・ストレス・自律神経の乱れなど、「目に見えにくい不調」が妊娠の妨げになることが少なくありません。そうした背景を踏まえ、漢方は単なるサプリメントとは異なり、個々の体質やライフスタイルに合わせた根本的な体質改善を目指すアプローチです

妊娠を目指す体づくりに悩む方、またこれから妊活を始める方は、ぜひ一度「漢方薬房こうのとり」までご相談ください。あなたの体と心に丁寧に寄り添いながら、自然な妊娠へと導くお手伝いをしています。

あなたの体と心に、じっくり寄り添う漢方の選択肢が、妊活の不安を前向きな一歩に変えるきっかけになるかもしれません。

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