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女性の不妊漢方

温経湯は妊娠したらやめるべき?効果や服用時の注意点も解説

この記事を監修した人

京都薬科大学特命教授 兼 薬剤師
戸口 瑞之
漢方薬房こうのとり 代表

元富山総合薬局代表。現漢方薬房こうのとり代表・管理薬剤師 / 現京都薬科大学特命教授。
飲む量の加減のみ必要で万人に合う現代の中国漢方(中医)に大学病院時代から36年携わる。
漢方薬房こうのとりでは、直近3年で100人以上の方が目標を達成されています。

妊活や不妊治療をサポートする漢方薬のひとつに、「温経湯(うんけいとう)」があります。

冷え性や血行不良、ホルモンバランスの乱れに働きかけ、自然な妊娠力を引き出すために、古くから用いられてきた処方です。

この記事では、温経湯が妊活・不妊にどのように効果を発揮するのか、服用中に妊娠したケースや、妊娠後の服用についても詳しく解説します。

温経湯の妊活・不妊に関する効果

温経湯は、体の冷えを改善し、ホルモンバランスや自律神経を整える漢方薬です。女性特有の不調に幅広く用いられ、妊活・不妊治療の補助としても高い注目を集めています。

ここでは、温経湯が妊活にどのように役立つのかを3つの視点で解説します。

血流改善と子宮環境の整備

温経湯には、血行を促進し、体を内側から温める効果があります。この作用によって、子宮や卵巣への血流が改善され、着床しやすい環境が整うと考えられています。

もともと子宮や卵巣は血流が滞りやすく、冷えによって機能が低下しやすい部位です。特に、冷えによる血流障害は、受精卵の着床や胎児の成長に悪影響を及ぼす可能性があるため、妊活において血流改善は非常に重要なポイントとなります

温経湯に含まれる主な血流改善生薬
生薬名主な作用
当帰(トウキ)血行促進・ホルモン調整
芍薬(シャクヤク)血流促進・鎮痛作用
川芎(センキュウ)血行促進・鎮痛作用
桂皮(ケイヒ)体を温め、血行を良くする
牡丹皮(ボタンピ)抗炎症・血流改善

これらの生薬の相乗効果により、血液循環がスムーズになり、妊娠しやすい子宮環境を作り出します。

ホルモンバランスの調整と排卵サポート

温経湯は、ホルモンバランスを整える作用も持っています。これは、生理不順や排卵障害を抱える方にとって大きなメリットです。

期待できる効果は以下の3つです。

  • 月経周期の安定
  • 排卵障害の改善(例:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS))
  • 月経痛や月経過多の緩和

温経湯には、血行促進に加えて、体を温めつつ「気(エネルギー)」や「血(けつ)」を補う生薬が配合されています。

これにより、内分泌系のバランスを間接的に整える働きが期待されます。

心身の安定とストレス緩和

妊活中は、結果を求めるあまりストレスがたまりやすく、これがまた妊娠を遠ざける原因になります。

温経湯は、自律神経を整え、心身のバランスを回復させる作用でも知られています

自律神経バランスを整える作用

  • 血流改善によって副交感神経が優位になりやすくなります。
  • 緊張や不安を和らげ、リラックス状態を促します。

ストレス軽減による妊活メリット

  • 睡眠の質向上
  • 免疫力アップ
  • 排卵周期やホルモン分泌リズムの正常化

ストレスをうまくコントロールすることで、自然妊娠力そのものを底上げできる可能性があります。

温経湯を服用していて妊娠したケース

実際に温経湯を服用して妊娠された方々の声を紹介します。​

「不妊治療で温経湯を処方され、服用を続けていたら妊娠しました。体調も良くなり、いろいろな副次的な効果を感じられて嬉しい限りです。」​

「体質改善のために温経湯を飲み始めたら、妊娠しました。冷えがなくなり、体がポカポカしています。冷えは妊活によくないと聞いていたので、温経湯が効いたのかな?と思っています。」​

このほか、Xを調べてみると、以下のような声もみられました。

温経湯が妊活中の体質改善や冷え性の改善に寄与し、妊娠に至った可能性が伺えます。​ただし、個人差がありますので、服用を検討される際は専門の医師や薬剤師にご相談ください。

いつまで?妊娠したら温経湯の服用はやめるべき?

妊活中に温経湯を服用していて、妊娠が判明したとき、「このまま続けても大丈夫なのか」「服用を中止するべきなのか」と迷う方は多くいます。

ここでは、一般的な考え方と注意点について、慎重に整理してご紹介します。

監修者コメント

医学的な見解として、温経湯は「妊婦、または妊娠の可能性がある女性には投与を避けることが望ましい」とされています。これは、本剤に含まれる牡丹皮(ボタンピ)に、流産や早産のリスクがあるとされているためです。そのため、漢方薬房こうのとりでは、妊娠が判明した時点で温経湯の使用は原則中止としています

 

妊娠判明後、温経湯の服用はどうすべきか?

妊娠がわかった段階で、温経湯の服用を続けるかどうかは慎重に検討する必要があります。

特に妊娠初期は、胎児の重要な器官が形成されるデリケートな時期です。

漢方薬には子宮収縮を促す成分が含まれる場合があり、一般的に妊娠初期の服用は注意が必要です。温経湯そのものは比較的マイルドな処方ですが、妊娠が判明したら自己判断で継続せず、必ず担当医や漢方専門家に相談することが重要です

妊娠初期に漢方薬を継続するリスクと注意点

温経湯は一般的に穏やかな作用を持つとされますが、個別の状況に応じた対応が求められます。

温経湯に限らず、妊娠初期に漢方薬を継続する場合、以下のリスクと注意点をおさえておくべきです。

リスク

  • 子宮収縮作用がある生薬成分が含まれる場合の流産リスク
  • 胎児発育への影響が完全には解明されていないことによるリスク

注意すべきポイント

  • 医師や専門家の管理下でのみ服用を続ける
  • 妊娠12週未満の初期は特に慎重な対応が必要
  • 自然流産リスクが高い場合は、中止が検討されることが多い

続けるか中止するかの判断ポイント

妊娠後に温経湯を続けるか中止するかは、以下の観点から慎重に検討されます。

継続が検討されるケース

  • 医師や漢方専門家が、冷え改善など妊娠維持に役立つと判断した場合
  • 体質や症状に応じた明確な必要性が認められる場合

中止が推奨されるケース

  • 特に必要な理由がない場合(一般的な妊娠経過中)
  • 出血傾向や流産リスクが指摘されている場合

基本方針は、「必要最小限で、専門家の指導のもとに」服用することです。自己判断での継続や中断は避け、医師などと相談して方針を決めましょう。

【閑話】温経湯と子宮筋腫の関係について

温経湯は、妊活や女性の体調管理に広く用いられる漢方薬ですが、子宮筋腫との関係について心配される方も少なくありません。

温経湯は子宮筋腫にどのように作用するのか?

温経湯に含まれる生薬には「血行を活発にする作用」があり、一般的には瘀血(血液の滞り)を改善する処方とされています。瘀血は子宮筋腫の悪化要因とされることもあるため、温経湯が間接的に筋腫に影響を与える可能性について議論されることがあります

子宮筋腫がある場合、温経湯は使ってよいのか?

子宮筋腫があっても温経湯の使用が直ちに禁忌となるわけではありません。特に冷え性や月経不順、瘀血の改善を目的とする場合には、医師や漢方専門家の判断のもとで慎重に使用されることがあります。

一方で、大きな筋腫がある、出血が多い、症状が悪化しているといった場合には、別の漢方処方への切り替えを検討することも推奨されます。自己判断での服用は避け、専門家に相談することが重要です。

妊活中の人は温経湯をどこで手に入れる?

温経湯は、どこで手に入れるのが安心で効果的なのでしょうか。ここでは、温経湯の主な入手先をご紹介します。

市販薬としての温経湯の入手方法

温経湯は、第2類医薬品として登録されており、ドラッグストアやインターネット通販でも購入可能です。

ツムラやクラシエなど複数のメーカーから販売されており、商品名の一部に「温経湯」と記載されています。

購入に際して医師の処方は不要ですが、自己判断での服用は体質に合わないリスクがあるため注意が必要です。また、漢方については、市販薬の用量が必ずしも効果を得るのに十分でないこともあるため、妊活など、重要な目的で使用する際は漢方の専門家による処方を選ぶほうがよいといえます。

参考:温経湯エキス顆粒「クラシエ」| クラシエ

漢方薬局やクリニックでの処方

妊活中に温経湯を取り入れる場合、専門の漢方薬局や婦人科クリニックでの相談をおすすめします。これらの施設では、体質や月経周期、妊娠歴などをふまえてオーダーメイドの処方やアドバイスを受けることができます。特に、冷え・ホルモンバランス・ストレスなど複数の要因が絡む妊活では、専門家によるカウンセリングが大きな助けになります。

項目市販薬(OTC)漢方薬局・処方薬
入手方法ドラッグストア・通販で購入可医師または薬剤師の対面相談
成分一定の標準処方(例:ツムラNo.23)体質に合わせて調整可能
価格比較的安価・定額内容により価格に幅あり
相談体制なし(成分表示・添付文書のみ)丁寧な体質・生活相談あり

【FAQ】温経湯と妊活・不妊に関するよくある質問

温経湯を妊活に取り入れようと考えている方から寄せられる、よくある疑問にお答えします。

温経湯と当帰芍薬散はどっちがよい?併用できる?

温経湯と当帰芍薬散は、どちらも婦人科系の不調に用いられる代表的な漢方薬ですが、作用の特徴が異なります。

温経湯は、冷え・血流の滞り・月経不順に対応しやすく、「冷えと血の巡り」に重きを置いた処方です。

一方、当帰芍薬散は「水分代謝の異常(むくみ・貧血傾向)」を伴うタイプの月経不順や体質改善に向いています。

体質により「どちらが合うか」が分かれるため、一概に優劣をつけることはできません。併用については、効果が重複する可能性もあるため、併用するかどうかは必ず医師または漢方専門家に相談することが前提です。

温経湯を飲み始めてから効果を感じるまでの期間は?

効果の感じ方には個人差がありますが、漢方薬は一般的に2〜3カ月を目安に継続し、体質の変化を見ていくケースが多いです。

すぐに妊娠に直結する効果を期待するのではなく、「冷えがやわらいだ」「生理周期が安定してきた」といった体の土台の変化を感じられるかが判断材料となります。

妊活中の方は、基礎体温や月経記録をつけておくと、変化に気づきやすくなります。

温経湯を妊活や安胎薬として考えている方は、漢方薬房こうのとりにご相談を

温経湯は、妊活中の体調管理や、妊娠初期の体質サポート(安胎)を目的として活用されることのある漢方薬です。ただし、実際に服用を始める際には、体質や症状、生活習慣などに応じた判断が欠かせません。

漢方薬房こうのとりでは、妊活・不妊のご相談を専門的にお受けしており、冷えやホルモンバランスの乱れ、月経トラブルなど、さまざまなお悩みに対して個別に対応しています。温経湯をはじめとした漢方薬のご提案も、体質や妊活のステージに応じて丁寧に行っています。

漢方薬房こうのとりでは、温経湯を妊娠後期の安胎薬(妊娠の維持を目的とした処方)として使用する場合もあります。

しかし、温経湯は古い処方であり、当薬房ではその使用頻度は高くありません。現在は、妊活や安胎の目的に対して、より効果が高いとされる現代中国漢方を中心に処方を行っています。

こうした方針のもと、当薬房では漢方を服用された方のうち、半年以内に妊娠判定陽性となった方が50%以上、2年以内では80%以上という高い実績が出ています。(詳しくは漢方薬房こうのとり公式サイトをご覧ください)

また、当薬房では西洋医学的な不妊治療とも連携を図りながら、体と心の両面を支えるケアを心がけています。「妊娠しやすい体づくり」だけでなく、「妊娠を支える体調管理」までを視野に入れたサポートをご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください。

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