男性不妊や精力の低下に悩んでいる方に注目されている漢方薬のひとつが「牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)」です。加齢による冷えや疲労感、排尿トラブルなどの改善に用いられることが多く、精力の向上や妊活への効果を期待して服用する男性も増えています。
本記事では、牛車腎気丸と精力をテーマに、基本的な成分や期待できる効果、副作用のリスク、服用時の注意点などをわかりやすく解説します。
妊活や体質改善の選択肢のひとつとして、牛車腎気丸の可能性をぜひ確認してみてください。
【基本】牛車腎気丸の主成分や特徴
牛車腎気丸は、江戸時代から使われてきた伝統的な漢方薬で、体の「腎(じん)」の働きを補う処方として知られています。漢方でいう「腎」は、泌尿器や生殖器、ホルモン系、免疫力、老化の進行などに関わるとされ、加齢や虚弱体質による不調に広く対応する役割を担っています。
生薬名 | 読み | 主な働き |
---|---|---|
地黄 | ジオウ | 血を補い、腎を養う |
山茱萸 | サンシュユ | 精力を補い、虚弱体質を改善 |
山薬 | サンヤク | 胃腸の働きを助け、体力を補う |
沢瀉 | タクシャ | 利尿作用で余分な水分を排出 |
茯苓 | ブクリョウ | 胃腸の働きを整え、水分代謝をサポート |
丹皮 | タンピ | 血流を促進し、炎症を抑える |
桂皮 | ケイヒ | 体を温め、血行を促進 |
附子 | ブシ | 冷えを改善し、痛みを緩和 |
牛膝 | ゴウシツ | 血流をよくし、下肢の症状を緩和 |
車前子 | シャゼンシ | 利尿・排尿を促進し、むくみに対応 |
このように、牛車腎気丸は10種類の生薬から構成され、それぞれが腎機能の低下に伴う不調(冷え、むくみ、腰痛、頻尿、倦怠感など)に対して包括的に作用するよう設計されています。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、江戸時代に八味地黄丸に「牛膝(ごしつ)」と「車前子(しゃぜんし)」を加えて作られた処方です。漢方薬房こうのとりでは、この処方についても検討を重ねてきましたが、効果が比較的マイルドで、一定の作用はあるものの改善に時間がかかる傾向があるため、基本的に使用しておりません。
牛車腎気丸の全般的な効果
牛車腎気丸は、もともと腎機能の低下や体力の衰えをサポートする目的で使用されてきた漢方薬です。
男性不妊や精力の話をする前に、まずは全身の体調を整えるために期待される効果全般について紹介します。
筋肉・神経系への効果
牛車腎気丸には、筋肉のこわばりや神経の痛みを緩和する目的で処方されることがあります。特に、腰や脚のしびれ、こむら返り、坐骨神経痛などに対して効果が期待され、加齢による運動機能の衰えを感じている人にも使われています。
生薬「地黄(ジオウ)」「牛膝(ゴウシツ)」「附子(ブシ)」などが血行を促進し、筋肉や神経の働きをサポートすることで、痛みやしびれを和らげるとされています。
泌尿器・排尿トラブルへの効果
中高年以降に多い夜間頻尿や残尿感、排尿困難といった泌尿器系のトラブルに対しても、牛車腎気丸は用いられます。腎の働きを助ける「山茱萸(サンシュユ)」や「沢瀉(タクシャ)」などの生薬が、利尿作用や水分代謝の改善を通じて、排尿機能の調整を促すと考えられています。
特に、加齢による腎機能の低下や膀胱の不調に由来する排尿トラブルへの処方実績が多く見られます。
更年期・加齢による症状への効果
牛車腎気丸は、男性・女性ともに更年期以降に見られる不調(いわゆる腎虚)の改善にも役立つとされています。
たとえば、以下のような症状に用いられます。
- 疲れやすい、だるい
- 冷えやすい、のぼせる
- 動悸やめまいがある
- 夜間に何度も目が覚める
これは「腎」が生命エネルギーの源とされる漢方の理論に基づき、全身のバランスを整える働きがあるとされているためです。
牛車腎気丸の男性不妊・精力に関する効果
この記事のメインテーマですが、牛車腎気丸は、男性不妊や精力の低下といった悩みに対しても処方されることがあります。
ここでは、妊活をサポートする上で注目されるポイントを整理します。
冷え・血流への作用
男性不妊の原因のひとつに「冷え」による血流障害があります。血流が滞ると、睾丸の温度調整がうまくいかず、精子の形成・運搬に悪影響を及ぼす可能性があります。
牛車腎気丸に含まれる附子(ブシ)や桂皮(ケイヒ)は体を温める働きがあり、冷え性体質の改善に寄与します。また、これらの生薬は末梢血管の拡張や代謝促進を助けるため、精巣への血流改善を通じて、精子の質や量の向上にプラスの影響が期待されます。
性機能の改善に対する漢方的アプローチ
漢方では、性機能の低下も「腎虚(じんきょ)」に由来すると考えます。腎のはたらきが弱まると、精力の衰え・性欲減退・勃起力の低下といった悩みが現れるため、これを改善する目的で牛車腎気丸が用いられます。
特に、以下のような状態の方に処方されることがあります。
- 精力が落ちたと感じる
- 勃起力が不安定
- 射精の勢いや精液量が減った
- 性欲がわかない
牛車腎気丸は「補腎剤(ほじんざい)」と呼ばれる処方の一種で、精のエネルギーを補う働きを持ち、精力そのものの向上が期待されます。
男性ホルモン(テストステロン)との関係
一部の研究や臨床現場の報告では、牛車腎気丸の服用によって血中テストステロン濃度の改善傾向が見られたという事例もあります。テストステロンは、性機能や筋力、意欲の維持に深く関係しており、男性更年期障害(LOH症候群)の改善にも関与します。
そのため、牛車腎気丸は、加齢によるホルモンバランスの変化に悩む男性に対して、トータルでの体調サポートとして活用されるケースも少なくありません。
牛車腎気丸には副作用もある?
牛車腎気丸は、体質の改善や慢性的な症状の緩和に用いられる漢方薬ですが、体に合わない場合や、長期・高用量での服用によって副作用が生じる可能性もあります。
消化器・循環器への影響
牛車腎気丸には附子(ブシ)などの温める作用の強い生薬が含まれており、人によっては以下のような消化器・循環器系の反応が出ることがあります。
- 胃の不快感、食欲不振、吐き気、下痢、便秘
- 顔のほてりや動悸、血圧の上昇
特に高血圧や心疾患のある方は注意が必要で、漢方薬であっても医師や薬剤師に事前に相談したうえでの服用が推奨されます。
肝臓・腎臓など内臓機能への影響
漢方薬は長期服用されることも多く、肝機能や腎機能に負担がかかるケースも報告されています。
- AST(GOT)、ALT(GPT)など肝機能値の上昇
- 腎機能悪化(クレアチニン値の上昇など)
- カリウム値の異常(低カリウム血症など)
特に持病で腎機能に問題がある方や、すでにほかの薬を服用している方は、血液検査での定期的なチェックが望まれます。
その他の反応
まれに以下のような過敏症的な反応や体質による影響が出ることもあります。
- 発疹、かゆみ
- 眠気や倦怠感
- 発汗過多やのぼせ
- 脱力感、めまい感
また、体に合わない場合には「好転反応」として一時的に症状が悪化したように感じることもありますが、自己判断せず、医療機関や薬局で相談することが大切です。
副作用が不安な方は、市販薬よりも体質に合った漢方を専門的に調合・提案してくれる医療機関や漢方薬局での相談をおすすめします。
牛車腎気丸の飲み方と飲むときの注意点
ここでは、牛車腎気丸の基本的な飲み方から注意点までを解説します。
基本の飲み方
牛車腎気丸の一般的な服用方法は以下のとおりです。
成人(15歳以上) | 1回1包(または1日2.5g〜6g程度)、1日2〜3回に分けて服用 |
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服用のタイミング | 食前または食間(食後2〜3時間後)が推奨されます |
なお、剤形にはエキス顆粒(粉末)や錠剤、煎じ薬などがあり、市販薬と医療用漢方では含有量も異なるため、購入した薬の説明書を必ず確認しましょう。
飲み方に関する注意点
自己判断で量を増やさないようにしましょう。特に腎機能や血圧に影響を与える生薬が含まれているため、過剰摂取は避けるべきです。
体質によっては、胃に負担を感じる場合もあるため、その際は食後に変更してみるのも一案です。
また、体調の変化に敏感になりすぎて、数日で効果がないと中断するのは早計です。少なくとも1〜3カ月の継続を見越して服用することが推奨されます。
飲み合わせに関する注意点
牛車腎気丸は複数の生薬を組み合わせた処方のため、以下の点に注意が必要です。
- 利尿剤や降圧剤との併用で、カリウム値の異常(高カリウム血症・低カリウム血症)を招く可能性があります
- ほかの漢方薬(八味地黄丸・真武湯など)と併用する際は、生薬の重複により副作用リスクが高まる可能性があります
- カフェインやアルコールと併せての服用は避けるか、時間を空けるようにしましょう(胃腸への刺激・吸収低下の恐れ)
特に持病がある方、ほかの薬を服用している方は、必ず医療機関に相談したうえで飲み始めることが大切です。
牛車腎気丸はどこで買える?市販薬もある?
牛車腎気丸は、第2類医薬品に分類されており、市販薬として購入することが可能です。取り扱いはドラッグストアや漢方薬局、さらにインターネット通販でも広く行われており、比較的入手しやすい漢方薬の1つといえるでしょう。
特にクラシエやツムラなどの製薬会社が販売しており、製品ごとに若干の処方設計や添加物が異なる場合があります。市販品であっても、体質や症状に応じて適した製剤は異なるため、不安がある場合は薬剤師や漢方の専門家に相談するのが安心です。
また、インターネットで購入する際には、正規品かどうかを確認するために、信頼できる販売店や公式ショップを利用するようにしましょう。
【FAQ】牛車腎気丸と精力に関するよくある質問
ここでは、牛車腎気丸と精力について、特に多く寄せられる質問にお答えします。服用前の判断材料として、ぜひご活用ください。
効果がでるまでどれくらい?
牛車腎気丸の効果は、一般的に2〜3カ月以上の継続的な服用で現れることが多いです。とくに漢方薬は、即効性よりも体質の根本改善を目的としており、徐々に体全体のバランスを整えていくものです。服用初期にはあまり変化を感じないこともありますが、「疲れにくくなった」「夜間の尿回数が減った」などの小さな変化から気づく人も多いです。
ただし、漢方薬房こうのとりでは、牛車腎気丸は効果のあらわれ方が比較的ゆるやかで、改善に時間がかかるため、基本的には使用しておりません。
体に合わないときはどうすべき?
牛車腎気丸は比較的安全性の高い漢方薬ですが、まれに体質に合わず、下痢・胃の不快感・発疹・かゆみ・倦怠感などの副作用が現れることがあります。また、腎機能や肝機能に影響を与える可能性があるため、既往歴のある方や持病のある方は特に注意が必要です。
服用後に気になる症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
男性不妊は漢方で改善できます◎
男性不妊の多くは、精子の質や運動率の低下といった、体の内側の不調が原因となっていることがほとんどです。
こうしたケースでは、検査で明確な異常が見つからず、西洋医学での治療法が限られることも少なくありません。
そこで注目されているのが、漢方による体質改善です。冷え性、血流の悪さ、ホルモンバランスの乱れなど、精子の状態に関わる要因に働きかけ、体の内側から改善を目指すのが漢方の強みです。
「漢方薬房こうのとり」では、男性不妊に特化したサポートを行っており、実際に数多くの改善事例があります。
まず、精子の運動率が42%未満の精子無力症の方を対象に、当薬房の「こうのとり漢方」を74日(約2.5カ月)以上継続して服用された方のうち、80%以上の方が精子の運動率80%を超える改善が見られています。
この改善率は、自然妊娠・人工授精・体外受精いずれにおいても妊娠の可能性を高める重要な要素です。
また、無精子症に関しては、西洋医学で治療できる確率は約20%程度とされており、これは男性不妊の専門医であり、元・金沢大学附属病院の院長を務められた名医からも伺った数字です。
一方、「漢方薬房こうのとり」では、こうのとり漢方を7カ月半以上継続して服用された無精子症の方において、奥様の妊娠に至ったケースが現時点で30%台後半、まもなく40%に届く見込みとなっています。
この成果についても、男性不妊の専門医から「非常に良い結果ですね」と高く評価いただいています。
漢方薬は、一人ひとりの体質に合わせた処方と服用期間が重要であり、市販薬での自己判断では十分な効果が得られにくいことがあります。
「漢方薬房こうのとり」では、店頭・オンラインともに無料相談を実施しており、妊活に悩む男性の方もお気軽にご相談いただけます。
体の内側から、妊娠への可能性を一緒に高めていきましょう。
