「妊娠力を高めるのに漢方がよい」と見聞きしたことがある人も多いでしょう。なぜ漢方は妊娠力を高めるのでしょうか。
今回は、妊娠力を高めるとはどういうことか、妊活に効果的な漢方について詳しく解説します。また漢方以外でも妊娠力を高める方法を紹介するので、参考にしてくださいね。
「妊娠力を高める」とはどういうこと?
妊娠力とは、文字通り「妊娠する力」を指し、医学では妊孕性(読み方:にんようせい)といわれます。
妊娠力を高めるとは、「妊娠しやすい体をつくること」と言い換えられます。
妊娠しやすい体の状態は以下の通りです。
- 規則正しい生理周期
- 卵巣や子宮の機能が良好
これらの条件を叶えるために、女性ホルモンバランスが保たれていることや血行が良好なことが必要になります。女性ホルモンバランスを整え、血行を良好に保つことで、妊娠力を改善・向上することができますよ。
参考:一般のみなさまへ – 生殖医療Q&A|一般社団法人日本生殖医学会
妊娠力を高めるのに漢方が効果的な理由
漢方を妊活に取り入れて妊娠できたという口コミをSNSやブログで複数見つけられます。では、なぜ漢方は妊娠力を高めるのに効果的なのでしょうか。
ここからは、その理由を詳しく解説します。
卵子の質の改善が期待できるから
漢方薬の使用で卵子の質の改善が期待できます。なぜなら、漢方薬には卵子の質を低下させる原因を取り除く効果が望めるからです。
卵子の質は排卵までに決まるといわれています。排卵までの間に血行不良やホルモンバランスの乱れがあると、卵子に十分な栄養が届かず正常に成熟できなくなってしまいます。
漢方薬には血行不良やホルモンバランスの乱れを改善する効果があり、卵子の質を保つことが期待できるのです。
着床を助けることが期待できるから
漢方薬には着床を助ける効果もあわせて期待できます。なぜなら着床にもホルモンバランスが関与しており、漢方薬でホルモンバランスと密接な関係にある自律神経を整えることで、ホルモンバランスを安定させることが望めるからです。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つがあります。エストロゲンは子宮内膜を厚くして妊娠の準備を行うため、プロゲステロンは卵子に着床を促した上で維持するために必要です。
これらの分泌バランスが崩れることで子宮内膜が育たず着床が起きにくい、もしくは着床を維持できないといった恐れがあります。
漢方薬の使用で乱れたホルモンバランスを整え着床を助けることで、妊娠しやすい状態をつくれます。着床しやすくなる市販の漢方として、例えば、加味逍遙散(かみしょうようさん)が挙げられます。
出典:
【漢方解説】加味逍遙散(かみしょうようさん)|漢方セラピー|クラシエ
随証漢方療法で生児を獲得した卵巣機能不全不妊症100例の漢方医学的ならびに西洋医学的解析
卵巣機能の改善が期待できるから
漢方薬には卵巣機能の改善も期待できます。
卵子を保護する卵巣の機能が低下すると、卵子の老化が進んで質が低下するといわれています。漢方薬には卵巣の機能を良好にすることに加えて、卵子の老化を抑える効果が期待できるものがあります。
卵巣機能を改善する漢方薬を使用することで、ホルモンバランスが整い、卵子の質を改善することが望めるのです。
女性の妊娠力を高める漢方
ここからは、実際に妊活で使用される漢方薬について詳しく解説します。
当帰芍薬散
当帰芍薬散は、血行不良を改善して卵子に十分な栄養を行き渡らせる効果が期待できる漢方薬です。不妊に使われる漢方として真っ先に名前が挙がる漢方薬ですから、知っている人も多いのではないでしょうか。
日本人女性はむくみや胃腸の弱さに悩む人が多く当帰芍薬散が体質に合う場合が多いため、妊活中の際によく使用されます。
桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸は、血行不良を改善して卵子や卵巣に栄養を十分に運ぶ効果が期待できる漢方薬です。
生理痛が強く、経血に塊があり色が暗い人によく使われます。また、のぼせと冷えがある人への使用経験も豊富です。
このような人は血の巡りが滞っており、栄養豊富な血を子宮や卵巣に届けられていない可能性があります。桂枝茯苓丸を飲み続けることで血行不良が改善し、良質な卵子や子宮内膜を作れる体になることが期待できますよ。
加味逍遙散
加味逍遙散は、血行不良の改善効果に加えて自律神経やホルモンバランスを整える効果が期待できる漢方薬です。また、妊活中の精神ストレスにも効果を発揮します。
血行不良が卵子の質を低下させる理由は前述の通りですが、精神ストレスも卵子の質を落とします。なぜならストレスによって卵子の老化を促進する活性酸素が発生するからです。
加味逍遙散は生理不順やPMS(生理前緊張症候群)、肩こりや緊張性頭痛に悩む人に使用される場合が多いです。このような症状を持つ人のストレス緩和や、自律神経やホルモンバランスの乱れの改善によって、卵子の質を保つ効果が期待できる漢方薬です。
温経湯
温経湯は、体を温め基礎体温の上昇や安定が期待できる漢方薬です。また、ホルモンバランスを整える効果が望めます。不妊治療の一環で温経湯を処方されて妊娠したという声をブログなどで見かけた人も多いかもしれません。
妊活中の温活に関心を持つ女性から注目される漢方薬です。卵子の質や卵巣機能の低下につながる冷えを改善して、妊娠しやすい体に導きます。
婦宝当帰膠
婦宝当帰膠は、子宮や卵巣への血行促進やホルモンバランスを整える効果が期待されています。
妊娠した人や妊活中の人のブログなどで話題に挙がることが多いので、興味がある人も多いのではないでしょうか。
全身に栄養を運ぶ血が不足している人が使用すると、全身を温めて栄養が隅々まで届くようになります。貧血、肌や髪のぱさつきが気になる女性におすすめの漢方薬です。
八味地黄丸
八味地黄丸は、卵巣機能を高めて妊娠しやすい体づくりをサポートする漢方薬です。
卵巣機能の低下によってホルモンバランスの乱れが起こると、卵子の質が落ちるだけでなく着床しづらく妊娠を維持できない体になってしまいます。
また卵巣機能が低下すると、卵子の老化が進み質の低下に拍車をかけます。
卵巣機能が良好であることは、妊娠力の高い体の必要条件です。八味地黄丸によって卵巣の機能をサポートすることで、妊娠力を高めることが期待できます。
基礎体温で高温期が低め、もしくは短めな人におすすめの漢方薬です。
出典:
一般不妊治療に加味逍遙散や当帰芍薬散を 併用する意義
温経湯(ウンケイトウ) | 製品情報 | ツムラ
妊娠力を高める漢方は市販のものでも効果あり?
妊娠力を高める漢方薬は、市販のものでも効果が期待できます。なぜならドラッグストアで購入できる漢方は、病院で処方されるものと同じ成分が含まれているからです。
ドラッグストアで購入できる漢方薬は以下の通りです。
- 当帰芍薬散
- 桂枝茯苓丸
- 加味逍遙散
- 八味地黄丸
また市販で購入できる漢方薬は、ドラッグストアで購入できるツムラやクラシエのものが手に入りやすいです。漢方薬を病院や漢方薬局で処方してもらうには手間がかかりますが、市販薬だと気になるものを手軽に試せるのがメリットですよね。
ただし市販薬にもデメリットがあります。
- 体質に合わない漢方薬を選んでしまい、効果が実感できないばかりか体調を崩す場合がある
- 漢方薬は数か月単位での使用が必要になるため、費用がかさむ
このようなメリットとデメリットを知ったうえで、自身に合った形で漢方薬を取り入れるとよいでしょう。
出典:漢方薬について|中国中央病院ヘルスネット
妊娠力を高めるには、男性の漢方服用も効果的?
妊娠力を高めるためには、女性だけでなく男性も漢方薬を使用することも効果的です。なぜなら不妊の原因の半分は男性側にあるといわれているからです。
男性不妊の原因には、精子の質の低下や勃起・射精障害などの性機能トラブルが挙げられます。
漢方薬の中には、精子濃度の改善や精子運動率の上昇を期待できるものがあります。他にも精神的理由の性機能トラブルにも効果が望める場合があります。
男性におすすめな漢方薬は以下の通りです。
漢方薬の名前 | 期待できる効果 |
---|---|
補中益気湯 | 精子濃度や運動率の改善 |
八味地黄丸 | 精子濃度や運動率の改善、勃起障害の改善 |
柴胡加竜骨牡蛎湯 | 精子濃度や精子運動率の改善、勃起・射精障害の改善 |
これらの漢方薬は市販でも購入できるので、気になったらドラッグストアで確認してくださいね。
出典:
男性不妊について(男性不妊症の治療)|MIDS|Male infertility Dr’s
男性不妊における補中益気湯の臨床効果について
男子不妊症に対する八味地黄丸および人参湯の効果
男性不妊症に対する柴胡加竜骨社蛎湯の効果
漢方以外で妊娠力を高めるためにできること
漢方薬以外にも妊娠力を高めるためにできることがあります。ここからは具体的な方法を詳しく紹介します。どれも今日からでも取り組めるものばかりですよ。
卵子の質を上げるとされている栄養素を摂取する
卵子の質を上げるとされている栄養素を摂れる食べ物を積極的に取り入れましょう。
まず必ず摂取したい栄養素は、たんぱく質です。具体的には卵や魚、お肉、大豆製品が挙げられます。
卵子を成熟させる過程で必要なたんぱく質が不足することで、妊娠力が低下するといわれています。動物性と植物性どちらのたんぱく質もバランスよく摂取しましょう。
またビタミンCやEは、卵子の質が低下する原因である活性酸素を体内から取り除く効果があるため、積極的に摂りたい栄養素です。ビタミンCはレモンやブロッコリー、ビタミンEはアーモンドやうなぎから摂取できますよ。
良質な睡眠をとる
7〜8時間の良質な睡眠を心がけましょう。
睡眠不足は女性ホルモンバランスを乱します。また、卵子を老化させるコルチゾールというホルモンを増やしてしまう恐れがあります。
妊娠しやすい体づくりの一環と考え、規則正しい生活習慣を心がけましょう。
体を温める「温活」を取り入れる
もしも冷えに悩んでいるなら、妊活に励む人の中でよく話題に挙がる「温活」を取り入れることもおすすめします。実際に温活で妊娠したという声をSNSなどで複数見つけられるでしょう。
「冷えは妊活の敵」といわれる理由は、自律神経やホルモンバランスの乱れや、血行不良を引き起こして、卵子の質を低下させ妊娠しづらい状態をつくるからです。
適度な運動や体を冷やさない服装を意識しましょう。また、腹巻やレッグウォーマーなどの温活グッズもおすすめです。温活は年中行うものと捉えて、無理のない範囲で取り入れてくださいね。
妊娠力を高める漢方で負担の少ない妊活ライフを送ろう
妊娠力を高めるためには規則正しい生活、栄養の摂れる食事、良質な睡眠が必要です。どれも今日から意識できるものなので、紹介した方法を試してくださいね。
また漢方を使うこともおすすめです。市販でも購入できる漢方薬は多いですが、漢方薬局で相談して個人の体質や症状に合った漢方薬を使うと、妊娠力を高める効果がより期待できますよ。
北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、漢方で妊娠した人のサポート実績が豊富です。妊活や漢方の知識や経験が豊富なプロが個別に相談に対応します。店舗でだけでなくオンラインでも相談を受け付けているので、妊娠力を高める漢方薬が気になる方はお気軽にお問い合わせくださいね。