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「漢方は不妊に効果なし」は本当?効くまでの期間や飲むべきタイミングとは

この記事を監修した人

京都薬科大学特命教授 兼 薬剤師
戸口 瑞之
漢方薬房こうのとり 代表

元富山総合薬局代表。現漢方薬房こうのとり代表・管理薬剤師 / 現京都薬科大学特命教授。
飲む量の加減のみ必要で万人に合う現代の中国漢方(中医)に大学病院時代から36年携わる。
漢方薬房こうのとりでは、直近3年で100人以上の方が目標を達成されています。

漢方の不妊に対する効果を調べた際に、「漢方は不妊に効果がない」「漢方を使用しても妊娠できない」という否定的な意見と「漢方は不妊に効果がある」という肯定的な意見の、相反する二つを目にしたことはないでしょうか。

この記事では、漢方の不妊に対する実際の効果を、事実をもとにわかりやすく解説していきます。不妊で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてくださいね。


漢方は「不妊に効果なし」「妊娠しない」は嘘?本当?

先に結論をお伝えすると、漢方は不妊に一定の効果があります。しかし、ネガティブな噂が多いのも事実です。

一般の人の意見を参考にしつつ、漢方の効果に関する事実をご紹介します。

漢方は「不妊に効果がある」

今も婦人科などで漢方が一定割合で処方されていることが、もっとも納得しやすい説明でしょう。

厚生労働省のホームページには、医療機関において不妊治療に使用されている薬剤のデータが掲載されています。これによると、6種類の漢方が22.5%〜75.3%の割合で使用されていることがわかります。

漢方単剤か、西洋医療との併用か不明なものの、漢方に不妊治療に対する効果、もしくは補助する効果があり、医師もそれを認めていることがわかりますね。

ちなみに、同じ資料には「食事療法やサプリメント、漢方の摂取等をしていた」という人のデータもあります。

結果は全体の28.3%と、もっとも少ない割合なので、積極的に漢方を取り入れる選択をする人は多くないのが現状のようです。

出典:不妊治療の実態に関する調査研究 最終報告書|厚生労働省

 

漢方が「不妊に効果がない」と思っている人の意見

「不妊に効果がない」と考えている人の意見もみておきたいところです。X(旧Twitter)の口コミから、いくつかピックアップして確認してみましょう。

当帰芍薬散1

当帰芍薬散2

当帰芍薬散3

これによると、「知人から効果がないと聞いた」「体質的に漢方で効果がでない」「以前ある漢方を試したが効果がなかった」などの意見が多数みられます。

個人差があることは事実なので、人によっては効果を実感できないこともあるでしょう。しかし、「不妊治療に漢方がまったく効果がない」というデータがあるわけではなさそうですね。

漢方が「不妊に効果なし」「妊娠しない」と言われる理由

漢方は、妊娠しやすい「体質作り」をするために飲みます。そのため、不妊そのものに効果があるわけではありません。

たとえば、同じ不妊でもそれぞれの体質に合わせるため、飲む漢方が異なります。体質に合っていないと効果が出にくいからです。

そうした前提のもと、効果を実感できない理由を3つご紹介します。

体質に合った漢方を選んでいない

1つは、服用している漢方が体に合っていないからであると考えられます。

漢方にはさまざまな種類がありますが、西洋医学で定義される「病名」に合わせて使いません。漢方は東洋医学の考え方に基づき、「証」という体質と状態に対して使われます。

それゆえに、同じ「病名」であっても体質により使用する漢方が異なることはよくあることです。逆に「病名」が異なっていても、同じ「証」であれば、同じ漢方が使われることもあります。

長期で漢方を服用しているにもかかわらず、漢方は「不妊に効果がない」と感じる場合は、体に漢方があっていない可能性があります

漢方は即効性があると思っている

「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」のように、こむら返りに対して数分程度で効果を実感できるものもありますが、一般的に漢方は体質改善をする薬のため、効果を実感するのに時間がかかります

早ければ翌日に効果を実感する方もいますが、最低でも2週間程度はかかると考えられています。

漢方が不妊に効果があるのかどうかは、1カ月は試してみなければわからないというのが本当のところではないかと考えられます。

子宮の形や内部に異常がある

子宮の形の問題や、子宮内部に大きな子宮筋腫などのしこりがある場合は、漢方のみでは効果を感じないことがあります

漢方の中には血の巡りを改善することにより、子宮筋腫を改善する作用のあるものもあるため、まったく効果がないわけではないではありません。

しかし大きくなりすぎた腫瘍や子宮の形の異常が原因の不妊には、漢方は補助的な効果にとどまるため、効果がないと感じる方も少なくないでしょう。

男性側に不妊の原因がある

不妊治療を行う際、女性側から不妊治療を開始するカップルが多いようです。

しかし不妊の原因が男性側にある場合、いくら女性側が妊娠しやすい体質作りをしても妊娠にはつながらず、漢方は「不妊に効果がない」という結果になってしまうこともあります。

男性の不妊の原因によっては効果がある漢方もあるため、専門家に相談するとよいでしょう。

不妊治療で主に用いられる漢方は?

妊娠力を高める漢方として不妊によく使われる漢方を表にまとめました。

漢方作用効果・効能対象対象の性別
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)血の滞りを改善し、体に栄養を巡らせる。月経不順、月経異常の改善、生理痛、シミ、などある程度体力があり、手足が冷えて、頭がのぼせる方男女
婦宝当帰膠(フホウトウキコウ)良質な血を補い、気持ちを高める貧血、腰痛、腹痛、めまい、のぼせ、生理不順、生理痛、冷え性、など体力があまりなく、めまい、貧血傾向がある方主に女性
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)不足した血を補い、むくみを改善し、体に栄養を巡らせる。月経痛・疲労感・めまい、むくみ、立ち眩み、など体力があまりなく、むくみがあり、貧血気味の方男女

順に、もう少し詳しく説明します。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

東洋医学では、瘀血(おけつ)とよばれる血の滞りを改善する生薬と、血の巡りを改善する生薬が配合されています。ある程度体力があり、頭がのぼせやすく、手足が冷えている方に効果があります

東洋医学では、子宮筋腫も血の滞りが原因で起こる症状とされており、「桂枝茯苓丸」で子宮筋腫が改善した例も報告されています。

また、「桂枝茯苓丸」は長期服用することでアトピー性皮膚炎が改善した例も報告されており、飲み続けていても問題ない漢方です。

しかし「桂枝茯苓丸」に配合されている「桃仁(トウニン)」、「牡丹皮(ボタンピ)」が早流産を起こす可能性が指摘されているため、妊娠が判明した場合は一時中断したほうがよいでしょう。

婦宝当帰膠(フホウトウキコウ)

婦人科で広く用いられる重要な漢方である「当帰(トウキ)」が、全成分の70%に含まれるシロップ状の甘みのある漢方です。

「当帰」は主に下腹部と皮膚に作用すると言われており、血の巡りの悪化により起きる栄養不足を改善し、組織の損傷を防ぐ作用があります

月経不順、不妊症なども、子宮に栄養がもたらされないことから起こる症状と考えられているため、この症状を改善する作用があります。

また、ほかにもコラーゲンを主成分とする阿膠(アキョウ)など、血の巡りや気力の低下を補う生薬が配合されており、不妊症、生理不順だけでなく、貧血、冷え症、肩こり、頭痛、など女性特有の諸症状に用いられ、健康にも美容にも効く漢方です。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

「当帰」以外にも血の巡りを改善する生薬が配合されており、利尿作用のある生薬も配合されています。それら生薬の作用により、冷えを改善し、むくみをとり、体に栄養をいきわたらせ、不妊に効果を発揮します

「当帰芍薬散」には、西洋医学的にもホルモンバランスを整える作用や、西洋医療との併用で妊娠率が向上したなどの報告も上がっています

出典:
男性不妊における補中益気湯の臨床効果について
子宮筋腫手術せず桂枝茯苓丸を服用
排卵障害患者に対するクロミフェン・当帰芍薬散併用 療法の有用性の検討
当帰芍薬散が有効であった男性の4症例

漢方が「不妊に効果ない」「妊娠しない」と感じたら試すべきこと

漢方の効果を感じられないとき、別の漢方を試すべきか今の漢方でまだ様子をみるべきか、自分で判断するのは難しいです。

あくまで専門家への相談をおすすめしますが、ここで、4つの試しておきたいことをご紹介します。

「いつ飲むか」「いつまで飲むか」を意識する

漢方は胃の中が空になっているほうが薬効成分をよく吸収すると考えられているため、食間、食前の服用指示になっていることが一般的です。

しかし、漢方を食後に服用すると少し吸収が遅くなる可能性はありますが、効果不十分という根拠は確認されていません。

また、日本臨床漢方医会によると、漢方薬の効き目の目安は2週間〜4週間と考えられています。

まずは1カ月を目安に服用を継続し、それでも効果を感じない場合は一度専門家に相談してみましょう。

生活習慣を見直してみる

生活習慣を見直すことも大切です。

  • 温かい食事を積極的に食べて胃をあまり冷やさないようにする
  • 適度に運動して筋力をつける
  • エアコンの温度を高めに設定して体の冷えに気を付ける
  • シャワーをやめてお風呂につかる

また、ストレスはもっとも妊活に悪影響を及ぼします。ストレスをためこまないように気を付けましょう。休日にスポーツをするなどストレス発散できるものを考えておくのもよいかもしれません。

西洋医療と併用してみる

不妊症の症状によっては漢方単剤での治療は難しく、西洋医療の助けが必要になることもあります。

そのような場合でも、漢方の併用により妊娠率の向上などが報告されているため、漢方は「不妊に効果がない」と諦めずに続けてみる価値はあるでしょう。

パートナー(男性)も漢方を試す

「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」は、男性の不妊にも有効であるという報告もあります

また、体力改善に「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」、勃起不全(ED)に「柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)」が男性不妊の漢方として用いられています。

諦める前に、ぜひ『こうのとり』にご相談ください◎

漢方は、女性のみならず男性の不妊にも効果があることがわかっています。

漢方単剤では効果を感じない場合でも、西洋医療との併用で不妊治療をサポートする効果もあり、妊娠率の上昇が期待できます。

一方で、妊活や不妊治療における漢方は気軽に手に入れられるものの、自己判断ではうまくいかず、挫折してしまうこともあります。

「漢方薬房こうのとり」では、北陸富山の妊活漢方専門家が、多くの方に漢方を通じた妊活のサポートをしています。オンライン相談も可能なので、諦めてしまう前にぜひ問い合わせてみてくださいね。

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