妊活中の方の中には、不妊治療を考えている方もいるのではないでしょうか。不妊治療に取り組むことで、子どもを授かる希望が持てます。一方で、不妊治療がうまくいかず諦めなければいけない場合もあるでしょう。
そこで今回は、不妊治療をしても子どもを授からなかった人が後悔しているポイントについて解説します。不妊治療を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
実際の声として多い不妊治療が辛い理由
日本では不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦、または現在受けている夫婦は22.7%で、夫婦全体の約4.4組に1組の割合です。
しかし、不妊治療は精神的、肉体的、金銭的な負担が大きく、辛いと感じる方も少なくありません。具体的にどう辛いのか、解説していきます。
出典:不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック|厚生労働省
「メンタルが崩壊する」
不妊治療ではさまざまな負担がのしかかり、「メンタルが崩壊する」という声があります。
不妊治療には、一般不妊治療と生殖補助医療があります。
一般不妊治療は、排卵のタイミングに合わせて性行をする「タイミング法」、内服薬や注射で卵巣を刺激して排卵させる「排卵誘発法」、精液を注入器で子宮に注入する「人工授精」です。
一方、生殖補助医療には、卵子と精子を取り出して体外で受精させたのち子宮内に戻す「体外受精」や「顕微授精」があります。
一般不妊治療では排卵周期に合わせた通院が必要になるため、前もって治療の予定を決めることは困難です。1回の月経周期内に2〜6日受診し、診療時間は毎回1〜2時間程度かかります。
また、体外受精や顕微授精をおこなう場合はさらに頻繁に通院しなければいけません。
診療時間が1〜3時間程度の通院を月経周期内に4〜10日おこなうだけでなく、診療時間が半日〜1日程度の通院が1〜2日必要になります。
通院時間や待ち時間を含めると所要時間はさらに増え、通院するだけでも体力的、精神的な負担がかかるでしょう。
ホルモン刺激療法など、薬物治療の影響で体調不良等が生じることもあります。腹痛、頭痛、めまい、吐き気などの副作用で、仕事や日常生活に支障をきたすかもしれません。
さらに、「通院や体調不良で仕事を休みたいが、職場で不妊治療について知られたくない」という方も多く、不妊治療自体がストレスに感じてしまうこともあります。
出典:不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック|厚生労働省
「お金がかかる」「無駄遣いと感じる」
不妊治療は、その都度お金がかかります。2022年4月から、不妊治療における保険適用範囲が拡大されましたが、それでも金銭的な負担は少なくありません。おおよその負担金額は以下のとおりです。
保険適用時の自己負担 | 自費の場合の自己負担 | |
---|---|---|
人工授精 | 6,000〜2万 | 5万 |
体外受精 | 20万 | 30~70万 |
顕微受精 | 40万 | 70~150万 |
こちらはあくまでも目安であり、医療機関や胚移植のプランによっても費用は異なります。保険適用外の場合には特に高額になり、経済的理由で治療を断念する方も多いでしょう。
また、治療費のほかにも交通費や、妊活のための鍼灸、漢方薬、サプリメント・健康食品などにもお金がかかります。しかしこれだけの金額がかかっても、不妊治療が成功するとは限りません。出口の見えない治療に、「無駄遣いと感じる」という方もいます。
出典:
2022年4月から不妊治療が保険適用に。適用条件は?助成金がなくなり負担が増える?|公明党
不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック|厚生労働省
「子どもが欲しいかわからなくなる」
妊娠・出産するまで続く不妊治療は、いつ終わるのかわかりません。治療を始めてすぐに妊娠する場合もありますし、何年も妊娠せず治療を続けている場合もあります。また、1人目の子どもは自然妊娠で出産しても、2人目は不妊治療が必要というケースもあるでしょう。
不妊治療と仕事の両立に悩んでいる方も多く、通院のために仕事を休んだり早退したりすることがストレスになってしまいます。経済的な負担ものしかかり、「治療してまで子どもが欲しいかわからなくなる」という方も少なくありません。
出典:不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック|厚生労働省
不妊治療しても授からない確率は?
不妊の大きな理由の1つが年齢です。妊娠適齢期がいつなのか、適齢期を超えると妊娠できないのか、不妊治療をする前に知っておきたいですよね。本章では、不妊治療での妊娠確率について解説します。
不妊治療しても授からない確率
厚生労働省の資料によると、2017年度の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.4歳です。また、女性の平均初産年齢は30.7歳です。近年の晩婚化により、不妊治療を受ける人の年齢も高齢化しています。
女性の妊娠適齢期はおおよそ20歳から35歳までの15年間です。38歳ごろから妊娠率が低下することがわかっています。
理由として、思春期には卵巣に約7万個あった卵子の数が、年齢とともに徐々に減っていくことが挙げられます。さらに、加齢とともに卵子の質も下がっていくのです。
体外受精の成功率は約20〜30%です。体外受精の場合は流産の可能性も通常よりも少し高くなり、約20%あります。つまり、70〜80%は授からない可能性が高いということです。
また、女性が40歳を超えると、たとえ不妊治療を受けても妊娠率は約1割と減ってしまいます。40歳台で妊娠しても妊娠・出産に関わる病気も増え、流産してしまうリスクが高くなります。
45歳を過ぎて妊娠できる人もいますが非常に稀で、治療回数を重ねても妊娠する可能性は低いでしょう。
出典:日本の「妊活」 不都合な真実|鳥取大学医学部附属病院
不妊治療を諦めた割合
20〜40代の不妊治療経験者約3,500人におこなったアンケートによると、直近1年で妊活や不妊治療を中断した経験がある割合は以下のとおりでした。
「一時中断した」 | 17.6% |
「現在も中断したまま」 | 25.1% |
「中断はしていないが中断を検討した」 | 8.5% |
不妊治療経験者の約4割に中断経験があることがわかりました。また、不妊治療経験者の半数以上が妊活や不妊治療の中断を経験あるいは検討をしています。
中断を検討した理由は、主に経済的負担と精神的負担によるものです。経済的負担により不妊治療を中断した人に妊活や不妊治療の継続に必要な金額を聞いたところ、平均で約95万円/年間でした。
出典:「第5回 妊活®および不妊治療に関する意識と実態調査」調査結果概要|メルクバイオファーマ株式会社
不妊治療で仕事を辞めた人の割合
不妊治療経験者約3,500人を対象にしたアンケートでは、不妊治療のために退職した割合は以下のとおりでした。
「自身が退職」 | 15.7% |
「パートナーが退職」 | 15.5% |
「自身もパートナーも退職」 | 3.4% |
およそ3人に1人が 不妊治療のために、自分やパートナーが仕事を辞めた経験があります。さらに、20代では48.3%と約半数にものぼります。不妊治療と仕事の両立は、難しいと感じる人が多いようですね。
出典:「第5回 妊活®および不妊治療に関する意識と実態調査」調査結果概要|メルクバイオファーマ株式会社
不妊治療しても授からなかったら、やめどきはいつ?
不妊治療をしてもなかなか授からず、いつやめるべきか悩む方もいると思います。どこまで頑張れるのか目安を付けておくためにも、不妊治療の限界や、漢方の効果について理解しておきましょう。
不妊治療のやめどき
前述したとおり、妊娠適齢期は、20〜35歳ごろであると考えられています。40代での自然妊娠の確率は1〜5%、不妊治療でも10〜15%程度であるため、不妊治療をやめるのは40歳前後がひとつの目安になるでしょう。
初産年齢が年々上がっている現代では、35歳以上でも妊娠・出産・不妊治療をおこなっている人はたくさんいます。しかし、35歳をすぎると妊娠確率の低下だけでなく、流産・死産・早産・胎児の染色体異常・妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・緊急帝王切開などのリスクも上がってしまいます。このようなリスクを受け入れられるかどうかも考える必要があるでしょう。
保険適用の年齢
不妊治療をやめるタイミングとして、保険適用期間の終了を目安にするケースもあるでしょう。体外受精や顕微授精が保険適用になる条件に、下記のような年齢・回数制限があります。
初めての治療開始時点の女性の年齢 | 回数上限 |
---|---|
40歳未満 | 通算6回まで(1子ごと) |
40歳以上43歳未満 | 通算3回まで(1子ごと) |
上記の回数を超えてしまうと自費治療になり、支払いは高額になってしまいます。そのため、保険適用が終わったら不妊治療もやめる、と決めている人もいるでしょう。
出典:令和4年4月から、 不妊治療が保険適用されています。|厚生労働省
西洋医学の限界について
不妊症には原因を特定できないものも多く、薬や手術によって治療するという西洋医学の考え方では、対処できないことがあります。
これには、西洋医学では着床しやすくするアプローチの手段が乏しいことも関係しています。
一方、東洋医学における不妊症は「五臓六腑」の不調和と「気血水」の不足が原因と考えられています。漢方によって不調を改善し不足している「気血水」を補うことで、妊娠しやすい身体になることが期待されるでしょう。
特に「気」が低下する「気虚」や「血」が低下する「血虚」の状態では、「冷え」を生じ、体内の血流障害を引き起こします。その結果、子宮や卵巣に十分な栄養が行き届かず不妊に陥ります。
また、ストレスや胃腸虚弱、肥満なども不妊の要因です。その人の「証」(体質・体力・症状・抵抗力などの状態)に合った漢方を服用することで体質を改善し、妊娠しやすい身体作りができます。
出典:不妊症診療における漢方の役割|国立大学法人 旭川医科大学
【体験談】不妊治療しても授からなかった人の声
不妊治療をしても子どもを授からなかった人の声を集めました。ネガティブな声だけでなく、ポジティブな意見もあります。不妊治療を検討している方は参考にしてくださいね。
ネガティブな声
不妊治療で後悔や苦労をしたという声があります。
不妊治療にお金がかかってしまうことがわかります。
不妊治療でメンタルがやられてしまうという声です。
3年不妊治療をしても授からず、精神的に限界だったという声もあります。
ポジティブな声
不妊治療をやめても悲観的にならず、前向きに考えている方もいます。
不妊治療以外にも、養子縁組で子どもを授かったというケースです。
子どもがいなくても夫婦2人の生活を楽しんでいるそうです。
不妊治療をやめれば、お金の管理やパートナーのことだけを考えればよいので、人生設計がしやすくなるという意見です。
なぜ不妊治療をやめたら自然妊娠したケースがある?
実際に、不妊治療をやめたら自然妊娠したというケースはあります。その理由の1つが、不妊治療のストレスです。過度なストレスはホルモンバランスを乱し、排卵障害や着床障害が起こって妊娠しづらくなる可能性があります。
不妊治療中は時間もお金もかかり、「妊娠しなければいけない」とプレッシャーに感じてしまう場合があります。また、検査や注射などが身体的に辛いと思う方もいるでしょう。そのため、不妊治療をやめてそのストレスから解放されたタイミングで妊娠することがあります。
とはいえ、不妊治療が無駄だったというわけではありません。卵巣刺激をしたことによって小さな卵胞の機能が活性化したり、採卵のための針の刺入により卵巣内で血管新生などの新陳代謝が起こって、卵胞発育に良い影響を及ぼしたりしたことで、自然妊娠につながる可能性があります。
不妊治療でお悩みの方は「漢方薬房こうのとり」までご相談を
不妊治療をしても必ず妊娠するとは限りません。時間とお金がかかりますし、パートナーや職場の協力が不可欠です。そこで、西洋医学だけに頼らず、漢方を利用したり生活習慣を改善したりして妊娠しやすい身体作りをすることをおすすめします。
北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、妊活に詳しい専門家が、不妊治療や漢方について相談に乗っています。
不安なことや疑問に思うことなど、お困りのことがあればお気軽にご相談くださいね。遠方の方はオンラインでの問い合わせも受け付けていますよ。