妊娠中、つわり(悪阻)症状に悩まされる方は多いのではないでしょうか。実は、つわり症状にも漢方薬は有効です。しかし、どのように漢方薬を選べばよいか迷ってしまいますよね。
そこで今回は、吐き気などの症状別に効く漢方薬を紹介します。胎児への影響や、処方や市販薬に関しても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
東洋医学における「つわり(悪阻)」の原因とは?
東洋医学において、つわりや妊娠悪阻(つわりが重症化したもの)は気滞や水滞がかかわっているとされます。
そもそも東洋医学では、人の身体は「気・血・水」の3つの要素からなっていると考えられています。「気」はエネルギー、「血」は身体の中を流れる血液、「水」は身体中を流れる血以外の液体のことです。この3つの成分の不足や停滞、バランスの乱れによって、身体に不調が生じます。
つわりは胃の病変です。「気・血・水」のバランスが崩れることで胃に影響を及ぼし、症状が現れます。原因によって、いくつかのパターンに分けられます。
以下は代表的なつわりのパターンです。
- 脾胃虚弱(胃気虚)のつわり
- 妊娠により月経・経血が停止すると、身体の気が比較的盛んになります。すると、胃の気が上逆(下方から上方へ向かうこと)しやすくなり、悪心・嘔吐を発症します。
虚弱体質な人に起こりやすく、妊娠初期に悪心・嘔吐があって食物が食べられなかったり、食べてもすぐに吐いてしまったりするでしょう。また、食物の臭いをかいただけでも気持ち悪く感じることもあります。疲労感、眠気、下痢症状が出ることもあり、舌質淡白、舌苔白などがみられます。
- 妊娠により月経・経血が停止すると、身体の気が比較的盛んになります。すると、胃の気が上逆(下方から上方へ向かうこと)しやすくなり、悪心・嘔吐を発症します。
- 肝胃不和のつわり
- 普段から胃気が虚弱で、イライラしやすかったり感情が高ぶりやすかったりする方が妊娠すると、胎児を養うために血が不足しがちになります。その結果、滋養作用が低下し、さらに肝気(感情や自律神経)が高ぶりやすくなります。このときに怒りや抑うつが生じると肝の働きが悪くなり、肝気が胃気を挟んで上逆するために、悪心・嘔吐が引き起こされるのです。
妊娠初期に出現し、酸っぱいあるいは苦い水様の嘔吐物があったり、食べるとすぐ吐き、食物の臭いをかいただけでも悪心・嘔吐したりします。また、あくびやため息が多く、抑うつ感などがみられることもあります。
- 普段から胃気が虚弱で、イライラしやすかったり感情が高ぶりやすかったりする方が妊娠すると、胎児を養うために血が不足しがちになります。その結果、滋養作用が低下し、さらに肝気(感情や自律神経)が高ぶりやすくなります。このときに怒りや抑うつが生じると肝の働きが悪くなり、肝気が胃気を挟んで上逆するために、悪心・嘔吐が引き起こされるのです。
- 波湿(衆湿内阻、痰飲)のつわり
- 冷えやすく、普段から胃に水滞がみられる方が妊娠すると、気が盛んになって、身体に水が溜まり上逆するために悪心・嘔吐が生じます。水様物や痰が出る、食欲不振、口が甘くねばっこい、味がしない、下痢などの症状がみられます。
出典:
漢方薬の基礎知識3「気血水とは」|Kracie
産婦人科疾患に対する三療|一般社団法人 長野県はり灸マッサージ師会
つわり(悪阻)に漢方薬は効くのか、効かないのか
つわりに漢方薬は効果的です。西洋医学的にもつわりのはっきりした原因はわかっておらず、症状や時期にも個人差があります。吐気・嘔吐だけでなく、においに敏感になったり眠気が出たり、イライラや頭痛が発症したりすることもあります。
漢方薬が効果的なのは、身体全体に影響を与え、つわりの症状全体を改善するためです。また、吐気や痰など、それぞれの症状を改善する効果も期待できます。
もう少し具体的に説明します。
吐き気
つわりによる吐き気には、鎮吐作用のある漢方薬を用います。代表的なものだと、「半夏」や「生姜」といった生薬に吐き気を抑える作用があります。これらの生薬を含む漢方薬を服用することで、悪心・嘔吐の症状を改善できるでしょう。
出典:六君子湯は妊娠悪阻による悪心嘔吐や食欲低下を軽減する|日本東洋医学雑誌
唾液や痰に関する症状
つわりでは唾液が増えたり、痰が出やすくなったりすることがあります。飲み込めない、あるいは飲み込むと気持ち悪くなるといった「よだれつわり」に悩まされている方も多いでしょう。原因はホルモンバランスの変化だと考えられています。
よだれつわりには、自律神経を整える効果のある漢方薬や、不足した「血」や「水」を補って巡りをよくする漢方薬が効果的です。
出典:気分がふさぐ、喉のつかえ感がある不安神経症などに用いる半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)|伸和製薬
喉に関する症状
つわり中に喉が詰まった感じや、つかえ感、違和感を感じる方もいます。これらの「喉つわり」のはっきりとした原因はわかっていませんが、喉の粘膜のむくみや充血、食道の炎症などが要因だと考えられています。
このような場合には、利尿作用のある漢方薬や消化器症状を改善する漢方薬を服用することで、喉の違和感が緩和するでしょう。
つわり(悪阻)症状を抑える漢方薬の服用は胎児に影響する?
漢方薬は西洋薬に比べて副作用が出にくいと考えられています。しかし、漢方薬も薬の1つであり、100%安全というわけではありません。必要時のみ、正しい服用方法で服用することが重要です。
通常、妊娠中の母体は虚証(気・血・水が不足している状態)であるため、過度の発汗や瀉下、利尿は危険です。そのため、強い消炎作用や利尿作用、瀉下作用などをもつ生薬は避けたほうがよいでしょう。
ただし、目標とする症状がある場合には、上記のような作用をもつ漢方薬を使うことがあります。例えば、「半夏」は鎮吐、鎮嘔、鎮咳、去痰の作用をもつ、妊婦に慎重投与とされる生薬です。しかし、半夏はつわりによる悪心・嘔吐に効果を示す漢方薬に多く配合されています。
このように、妊娠中の漢方薬の服用は流早産のリスクがあることも否定はできないため、長期間にわたって漫然と使用することは避け、症状が軽快したらすぐに中止しましょう。
出典:17.妊婦への投与に注意が必要な漢方薬|公益社団法人 福岡県薬剤師会
つわり(悪阻)に効く漢方薬一覧
本章では、つわりに効果のある漢方薬を紹介します。つわりに悩んでいる方は自分の症状と照らし合わせ、漢方薬選びの参考にしてくださいね。
小半夏加茯苓湯
小半夏加茯苓湯は、「半夏」「生姜」「苓」の3種類の生薬からなる、シンプルな構成の漢方薬です。半夏と生姜には吐き気を抑える作用があります。また、茯苓には余分な水分を排泄する効果があり、痰湿(身体に水分が溜まった状態)に伴う悪心・嘔吐だけでなく、めまいや動悸の改善も期待できます。
商品説明では1日3回食間に服用と記載がありますが、お湯に溶かして冷やしたものを、何度かに分けて服用してもよいです。また、悪心時などに頓服的に服用もできます。
出典:六君子湯は妊娠悪阻による悪心嘔吐や食欲低下を軽減する|日本東洋医学雑誌
半夏厚朴湯
半夏厚朴湯は、妊娠中の気が発散できないときや、気が上逆し吐き気が起こる場合などに有効です。小半夏加茯苓湯に「厚朴」と「蘇葉」が加わった漢方薬で、吐き気だけでなく不安神経症や不眠などを伴う場合に適しています。精神症状があるケースでは、半夏厚朴湯を選択するとよいでしょう。
出典:半夏厚朴湯は、つわりや不眠にも用いられる|伸和製薬
六君子湯
六君子湯は虚証の方の、胸のあたりの不快感や胃もたれ、食欲不振などの消化器症状に対してよく用いられる漢方薬です。気虚を補いながら水の停滞を改善し、衰えている消化吸収機能を活性化します。また、消化器系を温めて全身の冷えを軽減する効果も期待できます。
出典:六君子湯は妊娠悪阻による悪心嘔吐や食欲低下を軽減する|日本東洋医学雑誌
五苓散
五苓散には、身体全体の水分代謝を整える作用があります。口が渇くようなつわりや、水様性嘔吐がみられる場合には五苓散が適しているでしょう。五苓散には「沢瀉」「猪苓」「茯苓」「朮」といった利尿作用をもつ複数の生薬が配合されており、即効性も期待できます。
出典:漢方薬Q&A-産婦人科について⑩妊娠悪阻の漢方薬治療は?|日本臨床漢方薬医会
当帰芍薬散
つわり症状全体に効果がある漢方薬として、当帰芍薬散があげられます。当帰芍薬散は気と血に作用し、血行を促進したり、栄養素の循環や水分の代謝を促したりします。その結果、つわりや倦怠感、頭痛、貧血などの症状が改善されるでしょう。
つわり(悪阻)に効く市販薬・市販の漢方薬はある?
つわりに効果的な市販薬は薬局やドラッグストアでも購入できます。
つわりによる胃もたれや胃の不快感には、大正製薬から販売されている「大正漢方胃腸薬」が有効です。この胃腸薬は、安中散と芍薬甘草湯の2種類の漢方薬の合剤で、胃腸機能を促進し、胃の緊張をほぐすことで症状を和らげます。
また、上記で紹介した小半夏加茯苓湯は、三和生薬株式会社から市販薬が販売されています。半夏厚朴湯、六君子湯、五苓散、当帰芍薬散はツムラやクラシエから販売されており、ドラッグストアや薬局でも手に入れられます。顆粒タイプだけでなく錠剤タイプが販売されている漢方薬もあります。
ただし、「つわり用の市販薬」というものはなく、自分の症状や体調に合わせた漢方薬を選択し服用する必要があります。自分で選択するのは困難であるため、専門家に診てもらい処方してもらうとよいでしょう。
北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、妊活に詳しい専門家に相談が可能です。漢方薬の選び方について丁寧に説明します。オンラインでも相談を受け付けているので、お気軽にお問い合わせくださいね。
出典:大正漢方胃腸薬について|大正製薬
つわり(悪阻)に効く漢方薬を処方してもらうには
つわりに効く漢方薬を処方してもらうには、かかりつけの産婦人科の医師に相談する必要があります。症状に合った漢方薬を処方してもらえるでしょう。
しかし、漢方薬は専門外であるため決まった処方しか出さない、という病院もあります。一人ひとりの「証」(体力・体質・抵抗力・症状など)に合った漢方薬を処方してもらうためには、漢方薬に詳しい医師のいる病院を受診するとよいでしょう。
つわり(悪阻)で漢方薬が飲めない場合の対処法は?
漢方薬はにおいが強く、独特な味のものもあるため、苦手な方もいますよね。つわり中は特ににおいを受け付けなかったり、吐いてしまったりすることもあるでしょう。そのような場合には、漢方薬を冷たくして飲むことをおすすめします。
漢方薬を少量のお湯で溶き、凍らせます。氷状になった漢方薬を口に含み、口中の温度でゆっくりと溶かしながら飲んでください。つわり中は温かいものは受け付けなくても、冷たいものであればさっぱりとして飲みやすいですよ。
また、顆粒は飲みにくくても錠剤なら飲める場合もあります。漢方薬によっては両方のタイプがあるので、飲みやすい方を選びましょう。一度に飲めなければ、何回かに分けて飲んでもよいですよ。
【実体験】つわり(悪阻)症状の軽減のために漢方薬を服用する人の声
実際につわり症状軽減のために漢方薬を服用している人の声を集めました。漢方薬の服用を考えている人はぜひ参考にしてください。
小半夏加茯苓湯が効いた例です。即効性もあったようですね。
六君子湯でつわりを乗り切ったそうです。
半夏厚朴湯が喉つわりに効果を発揮したという声です。
五苓散とビタミン剤の併用で嘔吐が改善したそうです。
つわり(悪阻)症状に効く漢方薬なら、北陸富山の「漢方薬房こうのとり」に相談しよう◎
妊娠中には吐き気だけでなく「よだれつわり」や「喉つわり」など、さまざまなつわりに悩まされることがあります。これらの症状には、漢方薬が効果的です。漢方薬は「気」「血」「水」のバランスを整え、吐き気などのつわりによる不調を改善します。
漢方薬は一人ひとりに合ったものを選ばなければいけません。市販薬として販売されていますが、どの漢方薬を選べばよいかわからないこともあるでしょう。また、処方してもらうためには病院に出向かなければいけないため、体調の悪いときには大変ですよね。
漢方薬の服用を考えている方は、北陸富山の「漢方薬房こうのとり」への相談をご検討ください。妊活や婦人科疾患に詳しい専門家が丁寧にカウンセリングをおこない、あなたに合った漢方薬をご提案します。
「漢方薬房こうのとり」では、つわり症状軽減のために使用する漢方薬が小さい錠剤のため、飲みやすいです。また、余ったら風邪のときにも服用できますので、お客様から大変ご好評を得ています。
自宅からオンラインでのご相談可能ですので、つわり症状に悩む方は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。