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妊活・不妊治療

不妊治療42歳の壁とは?助成金や保険のこと、43歳のステップダウンなど解説

この記事を監修した人

京都薬科大学特命教授 兼 薬剤師
戸口 瑞之
漢方薬房こうのとり 代表

元富山総合薬局代表。現漢方薬房こうのとり代表・管理薬剤師 / 現京都薬科大学特命教授。
飲む量の加減のみ必要で万人に合う現代の中国漢方(中医)に大学病院時代から36年携わる。
漢方薬房こうのとりでは、直近3年で100人以上の方が目標を達成されています。

不妊治療における「42歳の壁」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは単に年齢による妊娠率の低下を指すものではなく、制度上の制限やサポートの打ち切りが重なる年齢であることを意味します。

特に注意したいのは、「保険適用」と「助成金」という2つの公的支援の取り扱いが、42歳を境に大きく変わるという点です。

この記事では、「42歳の壁」と呼ばれる理由を丁寧に整理し、43歳以降でも希望を持って治療を続けるための選択肢についてもご紹介します。

なお、この記事で扱う情報は2025年5月時点のものです。

不妊治療で言われる「42歳の壁」とは

不妊治療における「42歳の壁」とは、制度上の支援や治療の成功率が年齢とともに大きく変わる節目を指します。

特に42歳を超えると、次の3つの観点で治療を継続する難しさが増します。

保険適用外になる不妊治療がある

2022年4月から、不妊治療のうち体外受精や顕微授精といった高度生殖医療が保険適用となりました。しかし、この制度には年齢や回数に関する制限が設けられています。

これが、1つ目の壁です。詳細は後述しますが、1つ目の壁は、「女性の年齢が43歳以上になると、新たに保険適用の治療が受けられなくなること」です

自由診療になると、不妊治療1回あたり数十万円から100万円を超えるケースも少なくありません。「もう少し早く始めていれば…」「あと1年早ければ……」と感じる人も多く、精神的な焦りや経済的なプレッシャーを強く感じやすいポイントでもあります。

助成を十分に受けられなくなる

保険適用外となる治療に対して、一部の自治体では助成制度を設けていますが、こちらも多くの場合「年齢制限」が設定されています。これが2つ目の壁です。

例えば、「助成の対象は42歳未満まで」など、年齢を理由に申請自体ができなくなるケースも少なくありません。ただし、年齢は自治体によって違い、必ずしも42歳というわけではありません。

不妊検査や人工授精などの一般不妊治療について、1回辺り5万円などが助成される自治体もあるので、軽減される負担は非常に大きいといえます。

年齢に応じて不妊治療の成功率が下がる

制度面だけでなく、医学的にも42歳を超えると妊娠の難易度は上がります。卵子の質や着床率は年齢とともに低下し、体外受精1回あたりの出産率も大きく減少します

これが3つ目の背景です。たた、3つ目は壁というほど明確なものではなく、個人差もあります。それでも、成功率を気にする方は多いので、壁として扱われることもあるようです。

このように、42歳という年齢は制度的支援の打ち切りと、生物学的な成功率の低下が同時に訪れることから、昨今は「妊活のターニングポイント」として扱われることが多いというわけです

次章からは、それぞれの「壁」をもう少し具体的に解説していきます。

壁1)42歳を超えると保険適用外になる不妊治療がある

ここでは、保険適用の範囲や年齢制限の具体的な内容、そして43歳以降に取れる選択肢について解説します。

42歳未満は生殖補助医療が保険適用

2022年4月の制度改正により、生殖補助医療が保険適用となりました。具体的には、以下のような治療法が対象になります。

  • 体外受精(IVF)
  • 顕微授精(ICSI)
  • 胚凍結保存・融解胚移植
  • 胚盤胞移植
  • タイミング法・排卵誘発
  • 人工授精(AIH)

しかし、保険適用となるには、治療開始時点で42歳未満であることが条件となっています

項目制限内容
保険適用の年齢制限治療開始時に42歳まで(43歳未満)
保険適用の回数制限40歳未満:6回まで
40歳〜42歳:3回まで

つまり、43歳以上の場合、治療そのものは受けられても、公的保険の適用対象外となり、費用は全額自己負担となります。

保険適用外でも治療の選択肢が消えるわけではない

たとえ保険が使えなくなったとしても、不妊治療の道が閉ざされるわけではありません。多くの医療機関では、自費診療によって治療を継続することが可能です

また、自費診療では保険制度に縛られず、医師と相談しながら柔軟に治療内容を決められるというメリットもあります。ただし、費用負担が増す分、治療方針の再検討や優先順位の見直しが重要になります。

壁2)42歳を超えると受けられない不妊治療の助成金がある

国の特定不妊治療助成事業は2022年3月で終了

かつては厚生労働省が管轄する「特定不妊治療助成事業」により、以下のように、体外受精や顕微授精に対する費用補助が全国的に提供されていました。

項目内容
対象年齢妻の年齢が43歳未満
助成回数40歳未満:6回まで
40〜42歳:3回まで
助成額最大30万円/回(※時期により変動あり)

しかし、これらの治療が2022年4月から保険適用となったことを受け、この国の助成制度は2022年3月末で終了しています。

出典:不妊治療に関する取組 |厚生労働省

そのため、43歳以上の方が保険適用外で治療を続ける場合、国からの経済的支援は基本的にありません

自治体による独自の助成が継続している

一方で、都道府県や市区町村では、現在も独自の助成制度が継続中のところがあります。たとえば、東京都では「不妊検査等助成事業」や「先進医療に対する助成」が設けられており、一定の条件を満たせば申請可能です。

ただし、対象は検査や人工授精までの一般不妊治療が中心で、生殖補助医療(体外受精・顕微授精など)は対象外となっているケースが多く、年齢制限(40歳未満など)も設けられているため注意が必要です

43歳以上は助成対象外となるケースが多い

助成制度は限られた予算の中で提供されるため、年齢制限が設けられるのが一般的です。多くの自治体では、助成の対象年齢を「治療開始時に40歳未満」などと定めており、43歳以上になると申請資格を満たせないことがほとんどです

これにより、「保険も助成も対象外」となる可能性があり、経済的負担が一気に大きくなるのが「42歳の壁」の一因となっています。

壁3)42歳に不妊治療の成功率

ここでは、体外受精などの治療ごとに実際どれほど成功率が変わるのか、国内外のデータをもとに解説します。数字だけでなく、年齢ごとに想定される治療方針の違いにも触れていきます。

治療年齢が上がると、なぜ成功率が下がるのか

女性の卵子は年齢とともに減少し、また加齢によって染色体異常のリスクが高くなります。これは、受精卵が途中で育たなかったり、流産の可能性が高まったりする要因です。

特に40代に入ると、卵巣の反応性(=ホルモン刺激に対する反応)も落ちやすくなり、治療をしても卵胞が育たなかったり、質の良い卵子が採れないことが増えます

加えて、子宮環境(内膜の厚さ・血流など)やホルモン分泌の乱れなども生じやすくなり、たとえ受精卵ができても、着床しにくい・妊娠が継続しにくいといったリスクが重なってくるのです。

40代の体外受精成功率

40代以降の体外受精による妊娠率は10〜20%、出産率は10%未満です。流産率が30〜40%と、年齢を重ねる度に高まります。

また40歳を超えると、卵巣刺激をおこなっても卵子が成長せず、採卵にいたらないこともあります。クリニックによっては、45歳以上の体外受精をおこなわないケースもみられますよ。

海外で公表されている統計でも概ね近い傾向が確認されています。多くの人が感覚的に理解しているとおり、年齢は、不妊治療において出産率と相関関係があるといえます。

出典:
O-27 女性年齢45歳以上の患者にARTは有効か?|日本IVF学会
2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績|日本産婦人科学会

43歳になったときの選択肢は?

43歳を超えると、「この先どうすればよいか」と不安に思う方も少なくありません。ですが、治療が完全に閉ざされるわけではありません。ここでは、43歳以降の現実的な選択肢を紹介します。

自費診療による治療継続という選択

たとえ保険適用外になっても、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は継続可能です。特に、自費診療では以下のような柔軟な治療が可能です。

  • 年齢や卵巣の状態に応じた刺激法の選択(低刺激・自然周期など)
  • 先進医療の併用
  • 個別対応のきめ細かなスケジュール調整

ただし、1回あたり数十万円〜の治療費がかかるため、精神的・経済的な負担は大きくなります。費用対効果や体調との兼ね合いを考慮し、必要に応じて治療計画の見直しを行うことが大切です。

妊娠確率の現実を踏まえた再検討

43歳以降になると、体外受精あたりの出産率は約5%未満ともいわれます。そのため、次のような選択肢を前向きに検討する方もいます。

  • 治療継続の区切りを自ら決める
  • 養子縁組を含む別の家族形成を検討
  • 一時的に妊活から離れ、心身の回復を優先

「どこまでやるか」を夫婦で話し合い、納得できるかたちで進めることが、心の安定にもつながります

漢方による体質改善というアプローチ

漢方によるアプローチが選択肢になることもあります。特に妊活は漢方によるアプローチで効果がでやすいため、病院によっては連携して治療をしているところもあります。

特に以下のような体質に悩む方にとって、漢方は有効です。

  • 原因不明不妊
  • 月経不順やホルモンバランスの乱れ
  • 自律神経の不調
  • 冷え性

また、意外と知られていませんが、漢方薬の多くは医師の処方により保険適用で処方を受けることが可能です

ただし、保険適用は医師の判断による処方に限られるため、市販薬とは異なる点に注意が必要です。また、より専門的な体質判断や複雑な症状への対応は、漢方薬局や不妊治療を得意とする医師との連携が効果的です。

【口コミ】不妊治療42歳の壁に直面した方のさまざまな声

SNSには、実際に「42歳の壁」に直面した方々のリアルな声があふれています。治療を続けるべきか、やめるべきか。迷いながらも自分なりの選択をした人たちの言葉からは、孤独を感じやすい妊活の中で「自分だけじゃない」と思える安心感が得られるはずです。

漢方こうのとりには42歳から妊娠できた実績が多数あります◎

年齢的に不妊治療の節目とされる「42歳の壁」を超えても、妊娠の可能性がゼロになるわけではありません。大切なのは、自分の体質や状態に合ったアプローチを見極め、適切なタイミングで行動を起こすことです

北陸・富山の「漢方薬房こうのとり」では、42歳以上の方からのご相談も多く、実際に妊娠・出産に至った事例が多数あります。たとえば、最高齢での初産は50歳、昨年(2024年)には47歳での初産例もあり、年齢だけで妊活を諦める必要はありません。

とくに当薬房では、漢方医学的に考える4つの条件を満たしていて卵子の在庫がある方であれば、50歳を超えていても妊活に取り組んでいただいています。実際、53歳で3年間生理が止まっていた方が、3カ月で生理が回復し妊活中というケースや、52歳で3人目の妊活に取り組んでいる方もいらっしゃいます。

なお、「43歳にあと数カ月でなる」というタイミングで「最後の体外受精に間に合わせたい」とご相談に来られる方も多いのですが、少なくとも42歳になった時点ですぐにご相談いただくことをおすすめしています。というのも、過去半年間の基礎体温表で高温期が10日以上ある周期が4回以上あることが、体外受精での妊娠につながる重要な条件のひとつと考えているためです。この条件を満たせていないまま時間が経過すると、どうしても間に合わないケースもあります。

体外受精と漢方を併用したいという方には、自然周期療法との相性が良いクリニックとの連携も行っています。

具体的なクリニック名はご相談いただいた方にご案内いたしますが、いずれも自然周期を採用しており、43歳以上の方で保険適用外になった場合でも、1回あたり30〜45万円程度の費用で体とお財布にやさしい治療が可能です。

また、体外受精に疲れてしまった方、または費用や負担の観点からステップダウンを検討している方には、人工授精と漢方を併用する方法もご提案しています。特に、男性不妊に対して「こうのとり漢方」を取り入れ、精子の運動率が70%以上に改善された場合には、非常に良好な結果が出ているのが特徴です。

このように「漢方薬房こうのとり」では、年齢や体調に応じた多様な妊活の選択肢をご用意しています。「年齢的に難しいかも」と感じている方こそ、まずは一度ご相談ください。ご希望があれば、妊娠例の傾向や推奨処方についても詳しくご紹介いたします。どうぞ、お気軽にご連絡ください。

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