補中益気湯（ホチュウエッキトウ）は、疲労や虚弱体質の改善に用いられてきた伝統的な漢方薬のひとつです。元気が出ない、体が重い、冷えやすい、胃腸が弱いといった気虚（ききょ）の状態に効果を発揮するとされ、近年では妊活や不妊治療をサポートする漢方薬としても注目されています。

この記事では、補中益気湯の基本的な成分や作用に加え、男性・女性それぞれの妊活や不妊に対する効果、使用時の注意点、正しい飲み方やタイミングなどを詳しく解説します。

体質改善のひとつの選択肢として補中益気湯を検討している方にとって、信頼できる情報をお届けします。

補中益気湯の成分・概要

「補中」は体の中心（中焦）を補うこと、「益気」は気を増すことを意味し、胃腸の機能を高めて全身の活力を回復させることを目的としています。

補中益気湯は、以下の10種類の生薬で構成されています。

これらの生薬が相互に作用し、胃腸の働きを高め、全身の気力を補うことで、体力の回復や疲労の改善を図ります。

補中益気湯は、虚弱体質や疲労倦怠、病後の体力低下、食欲不振などに効果が期待される漢方薬です。​妊活や不妊治療の補助としても用いられることがありますが、体質や症状により適応が異なるため、服用を検討する際は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

補中益気湯の男性不妊・男性の妊活における効果

​補中益気湯（ほちゅうえっきとう）は、男性不妊や妊活における効果も注目されています。以下に、男性の妊活における補中益気湯の主な効果を3つの観点からご紹介します。​

精子の質の改善

補中益気湯の服用により、精子の濃度や運動率が改善されたとの報告があります。

​例えば、ある研究では、精子濃度が50×10⁶/mL未満または運動率が50%未満の男性に対し、補中益気湯を3カ月以上投与した結果、精子濃度および運動率の有意な改善が認められました。​特に、重度の乏精子症や精子無力症の患者においても、精子の質の向上が見られたとされています。 ​

監修者コメント

ただし、精子の運動率を上げる効果はほとんど期待できないようです。

ホルモンバランスの調整と性機能のサポート

補中益気湯に含まれる生薬は、体内のホルモンバランスを整える作用があり、これにより性機能の向上が期待されます。​特に、精子の生成や成熟に関与するホルモンの分泌を促進し、精子の質を高める効果があると考えられています。

​また、性欲の低下や勃起障害などの性機能の問題にも、補中益気湯が有用であるとの報告があります。 ​

精神的ストレスの軽減と全身の活力向上

妊活中の男性にとって、精神的なストレスや疲労は大きな課題となります。​補中益気湯は、体力や気力を補うことで、全身の活力を高め、ストレスの軽減に寄与します。​これにより、妊活に対する前向きな姿勢を維持しやすくなると考えられます。

​また、疲労感の軽減や睡眠の質の向上など、日常生活の質の改善にもつながる可能性があります。

2023.11.06

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出典：
男性不妊における補中益気湯の臨床効果について｜J-STAGE
第36回_泌尿器科学会_要旨集2019
男性不妊の実態および治療法に関する研究

補中益気湯の女性不妊・女性の妊活における効果

補中益気湯は、女性の妊活や不妊治療においても重要な役割を果たす漢方薬のひとつです。

妊娠しやすい体づくりの土台として、補中益気湯がどのように女性の体に作用するのかを、以下で詳しく見ていきましょう。

体力回復と子宮機能のサポート

補中益気湯に含まれる人参や黄耆は「補気」、当帰は「補血」の代表的な生薬であり、疲れやすい・冷えやすい・月経が不安定といった体質の改善に役立ちます。こうした虚弱傾向を整えることにより、子宮や卵巣への血流が促され、排卵や着床に適した内環境を整えることが期待されます。

また、産後の体力低下や子宮下垂のケアにも使われてきた経緯があり、女性器官の機能回復をサポートする側面もあります。

胃腸機能の改善による栄養吸収の促進

妊娠には、適切なホルモン分泌や血液循環と並んで「栄養の吸収」も欠かせません。補中益気湯は、脾胃（消化吸収の中枢）を整える働きがあり、体の基礎的な滋養能力を底上げします。

妊娠に向けて体づくりをしたいが、食欲がわかない・胃腸が弱いという方にとっては、まずここから整える漢方として選ばれることがあります。

ストレス耐性と自律神経の安定化

妊活中の女性は、精神的なプレッシャーやホルモン変動による情緒不安定に悩まされることも少なくありません。補中益気湯には、大棗・甘草・柴胡など、気分を穏やかに整え、自律神経のバランスを安定させる生薬が含まれています。これにより、不安感の軽減や睡眠の質の向上、過敏な情緒の緩和といった心身両面のサポートが期待されます。

妊活・不妊における補中益気湯のデメリット・副作用・不調

​補中益気湯は、妊活や不妊治療の補助として広く用いられている漢方薬ですが、服用に際して、考慮すべきデメリットや注意点もあります。

体質に合わない場合

補中益気湯は、主に「気虚（ききょ）」と呼ばれる体力や気力の不足を補うための処方です。​そのため、体力が充実している方や、体内に熱がこもりやすい「実証（じっしょう）」の方が服用すると、以下のような不調を引き起こす可能性があります。​

• のぼせ
• 発汗過多
• 胃部不快感
• 動悸​

これらの症状が現れた場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談することが重要です。​

妊娠中や特定の疾患を持つ場合

補中益気湯は、妊娠中の使用に関して十分な安全性が確立されていません。​特に、妊娠初期の服用は慎重に検討する必要があります。​また、以下のような持病をお持ちの方は、補中益気湯の服用に際して注意が必要です。​

• 高血圧
• 心疾患
• 腎疾患
• 糖尿病​

これらの疾患をお持ちの方は、補中益気湯の服用前に医師に相談してください。​

ほかの漢方薬や西洋薬と併用する場合

補中益気湯は、ほかの漢方薬や西洋薬と併用することで、予期せぬ相互作用を引き起こす可能性があります。​特に、以下のような薬剤との併用には注意が必要です。​

• 利尿薬
• 降圧薬
• 抗凝固薬

補中益気湯を服用する際は、現在使用しているすべての薬剤を医師や薬剤師に伝え、適切な指導を受けることが重要です。

補中益気湯の飲み方・タイミング

補中益気湯は、1日2～3回、食前（食事の30分前）または食間（食後2～3時間）に、水または白湯で服用するのが一般的です。

妊活や不妊治療において補中益気湯を服用する場合は、以下のようなタイミングが考えられます。​

補中益気湯の効果を実感するまでの期間は個人差がありますが、一般的には数週間から数カ月の継続的な服用が推奨されます。​特に、体質改善やホルモンバランスの調整には時間がかかるため、焦らずに継続することが大切です。

​ただし、服用中に体調の変化や副作用が現れた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談してください。

妊活・不妊における補中益気湯への口コミ・体験談

補中益気湯を実際に服用した方々の声からは、体調の変化や気持ちの安定、治療への前向きな感覚など、さまざまな効果が報告されています。

ここでは、X（旧Twitter）上に投稿された体験談を、男性と女性とに分けて紹介します。

▼男性が処方されたケース

全員が全員じゃないと思いますが
中にはそういう事例もあります
20代でこれだったので簡単じゃないなと漢方薬は補中益気湯です！これ飲み始めて運動率が9%➡︎51%となりました！
一昨日の採精は33%でしたが、、
泌尿器科でも全ての医者が分かるわけじゃないのかもしれないですね

— ten☺︎1人目妊活(7月移植①) (@tenten23420) March 27, 2025

男性不妊外来初診。
の所見問題なくて、なんで来た？みたいになった前医の所見みて納得してくれて、補中益気湯の効果が出てるんだろうねと。解剖的にも問題なし。胚の発育にも関わるのでDFI検査はやってもらうことに。今の凍結胚で保険分は終わりでその後は未定だけど改善できることはしておく！

— いく1人目妊活☺︎移植⑤ (@edc1_s) June 1, 2024

卵管自体は両方綺麗に造影されてて、異常なし。
採血も概ね基準値内だったし、卵巣の年齢も実年齢よりやや若い（と言ってももういい年齢だから喜べない）結果だった。
むしろ、問題は！夫の！精子くんの方！！！
私は検査後の2日間の抗生剤、夫には補中益気湯という漢方薬を1か月処方された。

— はち14w 1人目妊活 (@sonatine247) November 19, 2022

▼女性が処方されたケース

D35→D1
受診してレトロゾールと当帰芍薬散、補中益気湯もらってきた

高校生くらいから生理痛酷くて、不妊治療始めて更に辛くて1日目2日目は鎮痛剤飲んでも動けないくらい辛かったのに…
夕方になって量も増えてきたのに薬飲まなくても余裕
漢方が合ってたのかな?

— saki 1人目妊活中☺︎ (@SakiTyatya1226) August 8, 2023

ツムラの漢方の常連です(⋆ᵕᴗᵕ⋆)💖

1番の葛根湯は番号通り
1番お世話になってます😊✨

補中益気湯や五苓散なども
飲んだことがあります♡

妊娠、授乳中にも安心して飲めるので
これからもお世話になります😌🙌💕

キャンペーン是非応募させていただきます✨

— haru (@haruharu10_m) March 19, 2021

妊活漢方のことは「漢方薬房こうのとり」にご相談ください

妊活は、身体的な準備だけでなく、精神的な安定や生活習慣の見直しも含めた総合的な取り組みが求められます。そんな中で、漢方は「妊娠しやすい体づくり」を支える手段として、多くの方に選ばれています。

「漢方薬房こうのとり」では、冷え性・月経不順・疲労感など、妊活中の不調に寄り添いながら、一人ひとりの体質に合わせた漢方をご提案しています。また、補中益気湯は妊娠12週以降の安胎薬として多く使用しており、妊娠がわかってからの体調管理にも対応しています。

西洋医学との併用はもちろん、人工授精・体外受精など治療段階に応じたサポートも可能です。

実績としては、当薬房で漢方を服用された方の50％以上が半年以内に妊娠判定陽性となり、2年以内には80％以上の方が妊娠に至っています。（詳しくは漢方薬房こうのとり公式サイトをご覧ください）

ご相談は完全予約制で、初めての方にも安心してご利用いただけるよう、じっくりとお話を伺う体制を整えております。

妊活のなかで不安や迷いを感じたときは、どうぞお気軽にお声がけください。