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男性の不妊漢方

妊活で男性がやるべきことは?食事や生活習慣の改善方法も紹介

この記事を監修した人

京都薬科大学特命教授 兼 薬剤師
戸口 瑞之
漢方薬房こうのとり 代表

元富山総合薬局代表。現漢方薬房こうのとり代表・管理薬剤師 / 現京都薬科大学特命教授。
飲む量の加減のみ必要で万人に合う現代の中国漢方(中医)に大学病院時代から36年携わる。
漢方薬房こうのとりでは、直近3年で100人以上の方が目標を達成されています。

妊活というと、つい女性だけの課題と捉えがちですが、実は男性側の体調や生活習慣も妊娠の可能性を大きく左右します。

精子の質は毎日の食事や睡眠、ストレスの度合いなどに影響を受けやすく、「何気ない生活習慣の乱れ」が妊活の足かせになっていることも少なくありません。

本記事では、「妊活に協力したいけれど、何をすればいいかわからない」という男性に向けて、避けるべき行動や、今日からできる体づくりのポイントをわかりやすく解説します。

夫婦での妊娠を目指すうえで、男性が果たせる役割は想像以上に大きいものです。この機会に、ぜひ一緒に見直していきましょう。

妊活するなら男性も勉強が必要

妊活に関するロート製薬の調査によると、「妊娠・出産」に関する事実について、男性は女性よりも認知が低いそうです。つまり、スタートラインにおいて男性は女性よりも知らないことが多く、それゆえに正しい行動を取れていないケースが多い可能性があります。

出典:妊活白書2018 ふたり妊活のいま|ロート製薬

また、不妊というと、つい女性側の課題と捉えられがちですが、男性の身体や生活習慣が原因で妊娠が難しくなっているケースも少なくありません。にもかかわらず、男性不妊に関しては誤解や情報不足が多く、適切な知識を持たないまま自己判断してしまうケースが目立ちます

たとえば、クリニックで「問題ありません」と言われて安心している方でも、実際にはごく一部の項目しか見られておらず、妊娠の可能性を十分に評価できていないことがあります。

特に重要なのが、精子の運動率です。一般的な基準値では「42%以上が正常」とされていますが、これはあくまで異常ではないと判断される最低ラインにすぎず、妊娠しやすい状態を意味するわけではありません。

実際、この下限値付近では、妊娠判定が陽性になる確率はおよそ5%程度とされており、仮に妊娠に至ったとしても、その後に流産となるリスクが高い水準とも言われています。

一方、自然妊娠に成功した男性の平均運動率は77.7%だったとする報告もあり、漢方医学の観点からも、運動率が42%未満の場合は自然妊娠が難しいと判断され、体質改善などの対策が必要とされるケースが多いです。

つまり、単に検査結果が基準を満たしているかどうかだけで判断するのではなく、その数字が示す意味や、実際に妊娠・出産に至る可能性まで踏まえて考えることが大切です

【注意点】妊活中の男性が気をつけること

妊活において、男性側の生活習慣も大きな影響を与えます。精子の質を左右するのは、ホルモンバランスや血流、体温調節といった身体的要因だけでなく、スマホの使い方など日常の行動も含まれます。ここでは妊活中の男性が特に気をつけるべき4つのポイントを紹介します。

スマホゲーム・SNSの使いすぎ

スマートフォンを体に近い場所に長時間置くと局所的な温度上昇が起こり、精巣の温度環境が乱れるおそれがあります。また、就寝前のスマホ利用は睡眠の質を低下させ、間接的にホルモン分泌にも悪影響を与える可能性があります。

実際に「スマホ断ち」をしたことで、精子の運動率が大幅に改善し、妊娠につながった例も報告されています。妊活中は、スマホの使用時間や持ち方に注意し、夜は早めに電源を切るなどの配慮をすべきでしょう

過度な飲酒・喫煙

喫煙は血管を収縮させ、精子の形成や運動率を低下させることがわかっています。また、アルコールも過剰摂取すると、男性ホルモン(テストステロン)の分泌を抑制するため、精力減退やED(勃起障害)のリスクが高まります。

妊活を意識したタイミングでは、できれば禁煙し、飲酒も「週に数回、ビール1杯まで」など、明確な制限を設けるのが理想です

カフェインの過剰摂取

カフェインは交感神経を刺激し、ストレスホルモン(コルチゾール)を増加させる可能性があるため、過剰な摂取は避けましょう。特に、不眠や神経過敏といった症状がある場合、カフェインの影響を受けている可能性も。

コーヒー、緑茶、エナジードリンクなどのカフェイン含有飲料を1日2~3杯程度までに抑えると安心です。

暑すぎる・寒すぎる環境

精巣は適切な温度(体温より2〜3℃低い)で機能するようにできています。そのため、サウナ・長風呂・電気毛布・密着型下着などによって陰部の温度が高くなりすぎると、精子の形成が妨げられる可能性があります。

一方で、極端な冷えも血流悪化を引き起こし、精巣への栄養供給やホルモンの循環に支障をきたすことがあります。適度な通気性と保温性を兼ね備えた衣類や寝具を選びましょう。

妊活中の男性がやるべきこと1)栄養のある食事

妊活に取り組むうえで、男性の食生活は非常に重要です。精子の質や運動率は日々の食事によって大きく左右されます。特に、精子がつくられる約74日間の食生活が重要であるとされています。ここでは、精子の形成・成熟に好影響を与える栄養素と、避けるべき食生活について解説します。

良質なタンパク質とビタミンで精子の生成をサポート

精子は主にタンパク質から構成されているため、肉・魚・卵・豆類などの良質なタンパク源を意識的に摂ることが基本です

加えて、以下の栄養素も重要です。

亜鉛精子数や運動率を改善するとされる(牡蠣・赤身肉など)
ビタミンC・E活性酸素を除去し、精子のDNA損傷を防ぐ
葉酸染色体異常のリスクを下げる可能性がある

糖質過多・脂質過多は精子の質を低下させるおそれ

ファストフードや清涼飲料水、スナック菓子に多く含まれる過剰な糖質や飽和脂肪酸は、インスリン抵抗性や肥満を引き起こし精巣機能に悪影響を与える可能性があります。

実際に、BMIが高い男性は、精子濃度や精子運動率が低下しやすいという報告もあります。

妊活中は血糖値を急激に上げにくい「低GI食品(玄米、全粒粉パン、野菜)」を選ぶことが推奨されます。

抗酸化作用のある食材で精子の酸化ストレスを抑える

精子は非常に酸化に弱い細胞です。ストレスや喫煙、大気汚染などによって体内の活性酸素が増えると、精子のDNA損傷や運動率低下が起こりやすくなります。

そのため、以下のような抗酸化成分を含む食材の摂取が効果的です。

  • リコピン(トマト)
  • アスタキサンチン(鮭、エビ)
  • ポリフェノール(ブルーベリー、カカオ)

妊活中の男性がやるべきこと2)適度な運動

適度な運動は、精子の質やホルモンバランス、ストレス緩和に大きく貢献します。ただし、激しすぎる運動や、逆に運動不足も妊活には逆効果。

ここでは、精子の健康を意識した「適度な運動」のあり方について解説します。

有酸素運動はホルモンバランスと精子の質を整える

ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、精巣の血流改善、男性ホルモン(テストステロン)の安定化、インスリン感受性の向上などにつながり、精子の運動率改善に好影響があるとされています。

目安としては、週3〜4回、1回30分程度が推奨されます

ストレッチや体幹トレーニングで血流と自律神経を整える

運動が苦手な方や在宅勤務中心の方には、ストレッチや体幹トレーニングがおすすめです。特に、骨盤周りや下半身の血流を良くすることで、睾丸の温度調整やホルモン分泌の安定にも役立ちます。

また、自律神経が整い、ストレス軽減にもつながります。

疲れない適度の筋トレはいいが、過度な筋トレは避ける

筋トレ自体は悪くありませんが、過度な筋トレや極端な減量・増量は、男性ホルモンのバランスを崩す可能性を否定できません。また、サプリの過剰摂取やタンパク質の摂りすぎは腎機能に負担をかける可能性もあるため注意が必要です。

そのほか、高温になるサウナスーツやきつい下着を着用した運動も精巣の温度上昇を招き、精子形成に悪影響を与えるおそれがあります。

妊活中の男性がやるべきこと3)疲れを溜めない規則正しい生活

慢性的な疲労や不規則な生活は、自律神経の乱れやホルモンバランスの崩れを招き、精子の質を大きく低下させる原因になります。現代の忙しい男性ほど、この点を見直すことが重要です。

睡眠時間と質を見直す

十分な睡眠は、男性ホルモン(テストステロン)や精子の形成に必要な成長ホルモンの分泌を促進します。

6時間未満の睡眠が続くと、テストステロン値が低下するとの研究もあり、7〜8時間の質の良い睡眠が理想です

寝る直前までのスマホ使用や夜更かしは、交感神経が優位になり、睡眠の質を下げる原因に。就寝1時間前にはブルーライトを遮断し、入浴やストレッチで体をリラックスさせる習慣が効果的です。

ストレスと向き合い、休息を意識的に取る

ストレスは精巣の働きを直接抑制するとされており、副腎疲労やホルモンバランスの崩れを引き起こす原因にもなります。

特に、慢性的な長時間労働・過度な責任感・睡眠不足の三重苦は要注意です。実際に、「ブラック企業に勤めていた男性が異動で環境が改善された結果、精子の運動率が40%未満から80%台へと向上した」という例もあります。

このように、心身のストレスを減らすだけで、身体が本来の力を取り戻すケースは少なくありません。

朝の光を浴びて生活リズムを整える

体内時計を整えることも、妊活では軽視できません。朝日を浴びることでセロトニン(幸福ホルモン)が分泌され、夜のメラトニン生成につながり、自然な眠気と深い睡眠を促します

また、朝食をきちんと取ることで、代謝を上げる効果が期待できます。

生活リズムを整えることは、心身の負担軽減だけでなく、精子の形成を支える「ホルモン環境の安定」にもつながるといえます。

妊活中の男性がやるべきこと4)気持ちの整理

妊活は、肉体面だけでなく精神面にも大きな影響を与えます。ロート製薬が実施した調査では、妊活中の男性は「妊娠していないことがわかった時」「妊活がうまくいかず、パートナーが精神的に不安定になった時」につらいと感じるようです。

出典:妊活白書2018 ふたり妊活のいま|ロート製薬

こうしたストレスは、ホルモンバランスに影響を与え、精子の状態にも悪影響を及ぼす可能性があります。

パートナーと本音で会話する

妊活は二人三脚で進めるものです。お互いに悩みや不安を共有することで、精神的な支えとなり、夫婦関係の絆も深まります。「女性ばかりが努力している」といった構図にならないよう、日々のコミュニケーションを大切にしましょう

情報の集めすぎに注意する

インターネットやSNSにはさまざまな妊活情報がありますが、信ぴょう性に欠けるものも少なくありません。情報を追いすぎて不安を募らせるのではなく、信頼できる専門家の意見を軸にしましょう

一人で抱え込まない工夫を

妊活の悩みを一人で抱え込まず、カウンセリングやサポートグループを活用するのも有効です。また、会社の制度を活用して休職や部署異動を検討したり、適度に気分転換できる趣味や運動を取り入れたりすることも、ストレスの軽減につながります。

妊活中の男性がやるべきこと5)体質改善

妊活において「体質を整える」という意識は、女性に限った話ではありません。男性側も、精子の質や全身の代謝状態を高めるためには、日々の生活習慣だけでなく、体質に働きかけるアプローチが重要です

ここでは、漢方薬とサプリメントという2つの手段について解説します。

漢方薬

漢方薬は、体のバランスを整え、内臓機能や血流、ホルモンの調整を促す「医学的治療」の一つとして位置づけられています。とくに男性不妊においては、精子の運動率や濃度、精液の量などに影響を与える生薬が多数あります。

たとえば、牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)は、泌尿器や生殖機能の不調に対して効果が報告されており、冷え性や疲れやすさ、性機能の低下に悩む方に処方されることがあります。

また、漢方では「腎(ジン)」の働きが生殖機能に深く関係しているとされており、加齢やストレスによって「腎虚(ジンキョ)」が進むことで不妊傾向が強まると考えられています。このような背景から、漢方は根本的な体質改善を目的として用いられる点が特徴です。

サプリメント

一方、サプリメントは栄養を補うための補助的な手段です。食事の章でも述べましたが、精子の質に関係するとされる栄養素としては、以下のようなものがあります。

  • 亜鉛
  • ビタミンC・E
  • L-カルニチン
  • 葉酸

ただし、サプリメントはあくまでも「補助」であり根本的な体質を改善するものではありません。体内に吸収される量には限界があり、効果を過信しすぎるのは避けたほうがよいでしょう。

【FAQ】妊活中の男性がやるべきことに関するよくある質問

この章では、よくある疑問や不安に対して、医学的根拠を交えてわかりやすく回答します。

飲んではいけない薬はある?

はい、一部の医薬品は男性不妊の原因になる可能性があるため注意が必要です

たとえば、以下の薬は精子の質や数に影響を与えるとされています。

  • 抗うつ薬や抗不安薬の一部
  • ステロイド剤
  • 抗がん剤・放射線治療
  • 育毛剤(フィナステリド系)

服薬中の方は、妊活中であることを医師に伝え、必要に応じて代替薬を検討してもらいましょう。

自転車を避けたほうがいい?

必ずしも避ける必要はありませんが、長時間の自転車移動やサドル圧による陰嚢(精巣)への圧迫は、血流障害や温度上昇につながり、精子の質を低下させるおそれがあります。

「当日」にすべきことは?

「当日」とは、タイミング法や人工授精、体外受精(IVF)の採精日などを指すと考えられます。精子の質を最大限に保つため、以下を意識しましょう。

  • ストレスや緊張を避ける
  • 入浴はぬるめ・短時間で
  • 水分を十分にとる

また、採精室に慣れていない場合や、うまく出せるか不安な場合は、事前に相談しておくのもおすすめです。

ツボ押しやマッサージは有効?

ツボ押しやマッサージは、自律神経のバランスや血流改善、ストレス緩和に役立つ可能性があり、間接的に妊活に良い影響を与えると考えられています

ツボ名効果
腎兪(じんゆ)生殖機能・腎機能のサポート
関元(かんげん)精力増進・ホルモンバランス調整
三陰交(さんいんこう)血行促進・冷え性の改善

ただし、医学的な根拠は限られるため、補助的なセルフケアの一環として取り入れるのが良いでしょう。

実は妊活中の男性にこそ漢方が非常に有用です◎

妊活というと女性側のケアが重視されがちですが、実際には男性側の体質改善も同じくらい重要です。WHO(世界保健機関)の調査では、不妊の原因の約半数は男性側にもあることが報告されています。

さらに、西洋医学の検査では「問題なし」とされていても、自然妊娠に必要な精子の状態に達していないケースも少なくありません。そうした“見えにくい不調”に対しては、体全体のバランスを整える漢方が相性の良い選択肢となることがあります。

「漢方薬房こうのとり」では、男性不妊の第一人者である医師との連携のもと、科学的知見と東洋医学の両面から男性妊活をサポートしています。

たとえば、精子の運動率が42%未満(いわゆる精子無力症)と診断された方でも、こうのとり漢方と生活習慣の改善をあわせて74日間以上継続された方のうち、2022年5月から2024年4月までの2年間で報告のあった16名中13名が、運動率80%以上への改善を確認されています

このように、精子の状態に不安がある場合でも、体質や生活習慣の見直しと漢方の併用によって前向きな変化を実感される方は少なくありません。

また、「漢方薬房こうのとり」はご夫婦そろっての妊活支援にも力を入れており、男性・女性の両方をサポートすることで、高い妊娠実績を重ねてきました。

ご相談は店舗だけでなくオンラインにも対応しています。忙しい方でもご自宅から専門家のアドバイスを受けることができ、安心して妊活に取り組んでいただけます。

本気で妊活に向き合いたい方は、ぜひ一度ご相談ください。体質改善は今日からでも始められます。

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