今回は、不妊に効く漢方や「市販で購入できる漢方は効果的か」という疑問の答えについて詳しく解説します。
ツムラやクラシエといった有名な薬品メーカーは、不妊に効く漢方を取り扱っているのでしょうか。また、市販で購入できる漢方薬はあるのでしょうか。
不妊に効く漢方を取り扱う有名な薬品メーカー
不妊に効く漢方薬の購入を検討する時、有名な薬品メーカーで販売されているものがあったら安心できる方も多いのではないでしょうか。
ここからはツムラやクラシエを取り上げて、メーカーの特徴や不妊に効く漢方の取り扱いの有無を紹介します。
ツムラ
ツムラは「自然と健康を科学する」を企業理念に掲げている、日本最大規模の漢方薬メーカーです。病院で処方される医療用医薬品は130種類以上、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品は30種類以上と、扱っている漢方の種類が豊富です。
ドラッグストアで購入できる不妊に効く漢方薬の例は、以下の通りです。
- 加味逍遙散
- 桂枝茯苓丸
- 当帰芍薬散
また、病院で処方される漢方薬の中にも不妊治療に使われるものが複数あります。妊娠力を高める漢方薬を探すにあたって1番に名前が挙がるメーカーといえるでしょう。
クラシエ
クラシエは「人を想い続ける」を基本理念に掲げた漢方薬メーカーです。病院で処方される医療用医薬品は40種類以上、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品は20種類以上です。
ドラッグストアで購入できる不妊に効くクラシエの漢方薬の例は、以下の通りです。
- 桂枝茯苓丸
- 当帰芍薬散
- 八味地黄丸
ドラッグストアだけでなく、オンラインショップでも漢方薬を購入できるのが嬉しいですね。
【女性向け】不妊に効く有名な漢方薬
ここまではドラッグストアなどで購入できる有名な漢方薬メーカーを見てきましたが、不妊に効く漢方薬はどれを選ぶべきなのでしょうか。
女性の不妊に効く有名な漢方薬を一覧にまとめました。
名前 | 不妊に対する主な効果 | 価格(税込) | 市販 |
---|---|---|---|
桂枝茯苓丸 | 血行不良を改善し、子宮や卵巣に栄養を行き渡らせる | ツムラ:4,730円(24日分) クラシエ:3,850円(15日分) | 〇 |
当帰芍薬散 | 血行不良を改善し、子宮や卵巣に栄養を行き渡らせる ※注意点あり | ツムラ:4,730円(24日分) クラシエ:3,300円(15日分) | 〇 |
温経湯 | 体を温める、ホルモンバランスの乱れを改善する | ツムラ、クラシエはドラッグストアなどでの取り扱いなし | 〇 |
加味逍遙散 | 血行不良の改善、自律神経を整えてホルモン分泌を正常に保つ | ツムラ:4,730円(24日分) クラシエ:4,950円(15日分) | 〇 |
八味地黄丸 | 卵巣機能を高める | ツムラ:4,730円(24日分) クラシエ:3,080円(15日分) | 〇 |
ここからは、それぞれの漢方薬の特徴について詳しく解説します。
桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸は、血行不良を改善することで卵子に栄養を与えて質を上げる効果がある漢方薬です。
不妊に悩む女性の多くは、血行不良による冷え性を抱えています。血行不良が続くと、全身に栄養が行き渡らなくなって子宮や卵巣に栄養が届かなくなります。その結果、受精卵や子宮内膜の質が落ちてしまう恐れがあるのです。
桂枝茯苓丸は血行不良からくる月経不順や痛み、足冷えなどの不調がある人の不妊に使われる漢方薬です。比較的体力があって、がっしりとした体型の人におすすめです。
当帰芍薬散
当帰芍薬散も、桂枝茯苓丸と同じく血行不良の改善効果が期待できる漢方薬です。不妊に使われる漢方として真っ先に名前が挙がる漢方薬ですが、痩せ型の方が、使用すると瘀血が悪化することがあります。
そのため、当帰芍薬散は肥満型の人によく使用されます。
また、当帰芍薬散は主に、妊娠中の安胎薬として使用されるのが一般的です。
2023.10.17
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温経湯
温経湯は、体を温める効果があり基礎体温の上昇や安定が期待できる漢方薬です。また、ホルモンバランスを整えて安定した生理周期に導く効果があります。
不妊の原因になる黄体機能不全や多嚢胞性卵巣症候群がある女性によく用いられます。
冷え性で体力があまりなく、皮膚や唇がかさつく人に処方される場合が多いです。
ツムラやクラシエのものはドラッグストアでは購入できず、病院で処方してもらう必要があります。
加味逍遙散
加味逍遙散は、血行不良の改善により卵子の質を上げる効果があります。また、自律神経を整えてホルモンバランスや精神状態を安定させる効果も期待できる漢方薬です。
不妊に悩む人は、なかなか妊娠できないもどかしさからストレスを抱えやすいです。ストレスにより排卵や月経周期が乱れてしまい、更に妊娠しにくくなるという悪循環になってしまう恐れがあります。加味逍遙散は、不妊治療におけるイライラや精神不安定を改善する効果を期待できます。
八味地黄丸
八味地黄丸は、生殖能力や生きる力に関わっている腎の機能をサポートして卵巣の機能を高める作用があるといわれている漢方薬です。
腎の機能低下は、基礎体温の低下や冷え性の原因です。また黄体ホルモンの働きが弱るため、高温期の維持が難しく着床率が低下しやすいため、不妊につながります。
八味地黄丸はホルモンバランスや自律神経を整えることで、体温を上げたり質のよい卵子を増やしたりする効果が期待できます。体力がない虚弱体質の人に処方されることが多いです。
【男性向け】不妊に効く有名な漢方薬
不妊の原因は女性だけでなく、最近では男性不妊も知られるようになりました。不妊の約半数は男性側に原因があるとまでいわれています。
男性側の不妊には良質な精子を作れなかったり、性機能にトラブルがあったりといった理由があります。これらにも漢方薬の使用が検討される場合があります。
男性不妊に効く漢方薬を一覧にまとめました。
名前 | 不妊に対する主な効果 | 価格(税込) | 市販 |
---|---|---|---|
補中益気湯 | 精子濃度の改善や精子運動率の上昇 | ツムラ:4,730円(24日分) クラシエ:5,720円(15日分) | 〇 |
八味地黄丸 | 精子濃度や運動率の改善 勃起不全の改善 | ツムラ:4,730円(24日分) クラシエ:3,300円(15日分) | 〇 |
柴胡加竜骨牡蛎湯 | 精子濃度や精子運動率の改善 勃起・射精障害の改善 | ツムラ:4,730円(24日分) クラシエ:4,290円(20日分) | 〇 |
※価格は2023年9月時点のものです。
男性不妊に使われる漢方薬は市販で購入できるものが多くあります。
ここからは、それぞれの漢方薬の特徴について詳しく解説します。
補中益気湯
補中益気湯は、精子濃度の改善や精子運動率の上昇といった精子の質を高める効果が期待できます。男性不妊に効く漢方薬として1番に名前が挙がるでしょう。
質の良い精子が十分な数作られないと、射精で出てくる精子の数が少なかったり、精子の運動率が低かったりして受精の確率が下がってしまいます。補中益気湯の服用で、精巣上体のタンパクを合成する機能が向上し精子の質や量を改善できます。
八味地黄丸
八味地黄丸は、精子の老化や運動率の改善に効果的といわれている漢方薬です。また、勃起不全にも効果を発揮するため、性機能トラブルを抱えた男性にも使われます。
八味地黄丸は前述のとおり、生殖能力に関わる腎の機能をサポートする漢方薬です。男性の場合の腎は造精機能に関わってくるため、機能が低下すると十分に精子が作れずに受精の確率が低下してしまいます。
八味地黄丸の服用で精子の量を増やし、妊娠の確率を上げることが期待できます。
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯は、精子濃度や精子運動率、さらには勃起・射精障害を改善する効果が期待できます。特にストレスによる勃起・射精障害を改善する効果が高い漢方薬です。
精子はストレスによっても質が低下してしまいます。また疲れやストレスによって性交渉に前向きになれず妊娠の確率が下がる恐れも考えられます。
柴胡加竜骨牡蛎湯によって、ストレスを改善し精子の質の上昇や勃起・射精障害の改善が期待できますよ。
市販の漢方でも不妊に効果はある?
市販の漢方薬でも、不妊に効果はあります。なぜならドラッグストアで購入できるツムラやクラシエの漢方薬は、病院で処方される医療用医薬品と同じ有効成分が入っているからです。
また気になる漢方薬を手軽に試せることも、市販薬の大きなメリットでしょう。
「妊活を始めたばかりで病院や漢方薬局は敷居が高い。でもおすすめの漢方薬があれば試してみたい」と思う人でも、ドラッグストアに行けば手に入るものも多いです。
口コミを見ても「着床しやすくする漢方で、市販で購入できるおすすめのものを知りたい」「妊娠力を高める漢方薬が市販で買えるなら嬉しい」と思う人がとても多いようです。
ただし、市販の漢方薬にもデメリットはあります。
まずは体質に合わない漢方薬を選ぶリスクが高い点です。たとえば不妊に効く漢方薬といっても、体力の有無で選ぶものが異なります。市販薬の購入は素人判断で行うしかなく、体質に合わない漢方薬を選び、効果が実感できないどころか体調を崩してしまう人もいます。
また不妊を改善するためには数か月単位で漢方薬を飲むことが必要となります。市販薬は保険が効かないため、費用がかさむ可能性が高いのです。
さらに不妊の裏には病気が隠れている場合も多く、治療が遅れて妊娠しにくい体に拍車をかけてしまう恐れがあることも忘れてはいけません。
市販の漢方は手軽に使用できる一方で、さまざまなデメリットがあることを忘れないでくださいね。
不妊に効く漢方の費用について
不妊に効く漢方を試してみたいが、実際の相場はどれくらいなのか、保険は適応されるのか気になる人も多いでしょう。ここからは、相場や保険適応の有無をまとめて紹介します。
相場
不妊で漢方を使う際の費用の相場は以下の通りです。
漢方の種類 | 費用の相場(1か月あたり) |
---|---|
エキス製剤(医師に処方される場合) | 数千円 |
煎じ薬 | 約2~3万円 |
市販薬 | 5千円~1万円程度 |
既に製品化されたエキス製剤は、個人の体質に合わせて量や種類を調節できない分、医師が処方する場合は保険が適用されて費用を抑えられます。
一方で、漢方薬局などで購入する煎じ薬は、個々人の体質にあわせて最適な量・種類を吟味するため費用が高めに設定されています。
不妊に効く漢方は保険適用される?
不妊に効く漢方は医師の処方箋がある場合に保険適用されます。一方で漢方薬局での購入やドラッグストアで自分で漢方を買う場合は、保険が適用されないと覚えておきましょう。
ただし病院で医師に処方される漢方は、既に量や種類が決まったエキス製剤の場合がほとんどであり、漢方薬局で個別に体質を診断して最適な量や種類を吟味できる漢方の方がより効果が期待できるでしょう。
また受診の際には薬代の他にも費用が発生することを考慮すると、漢方薬局の方が経済的な場合もあるといえます。
不妊漢方は有名なら良いわけではない!迷ったら「こうのとり」のオンライン相談まで◎
不妊治療の期間は迷いが多く「有名であれば安心」と決めつけがちです。ただ不妊における漢方や漢方薬局は、有名だからといって必ずしも効果があるとは限りません。
自身に合う漢方薬局を探すことや、妊活や漢方に関する知識や実績が豊富な薬剤師に相談した上で体質に合った漢方を使用することが、不妊と向き合う上で大事なポイントです。
北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、実際に店舗に足を運んでいただくほうが確実ですが、オンラインでもご相談いただくことができます。手間なく知識や実績豊富な薬剤師に相談できるので、お気軽に相談してくださいね。