「流産予防には漢方がよい」とSNSやブログで見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか
実際に漢方は、流産予防に効果があるのか気になりますよね。また、妊娠を継続させるために飲むとよい漢方にはどんなものがあるのでしょうか。
この記事では、妊娠中に流産予防などの目的でおすすめされている漢方の効果を詳しく紹介します。妊娠中に避けたい漢方についても解説するので、妊活中の方は必読ですよ。
妊娠中の漢方服用で得られる効果と流産リスク
「流産防止に漢方が効果的」と見聞きし、試してみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
妊娠中に服用することで、流産を防止し妊娠を継続させる効果がある漢方がある一方で、流産のリスクを高める漢方もあります。
また、服用期間や体質・症状など、漢方の服用にあたって考慮すべき点が多く、自己判断で服用するのはリスクが伴います。さらには、妊娠によって体質が大きく変わる人も多いため、より慎重な漢方の選択が望まれるのです。
習慣性流産や不育症にも漢方が効く?
厚労省では、流産を3回以上繰り返してしまう場合を習慣性流産、妊娠はするけれども継続できず、流産や死産を繰り返す状態を不育症と定義しています。
習慣性流産や不育症の原因はさまざまですが、場合によっては漢方が有効です。
「漢方薬房こうのとり」では、8割以上の方が効果を実感し、出産に至っています。
不育症は、中医学の内臓機能である五臓のうち「腎」と深い関係があると考えられます。腎は生殖機能に関わっており、腎の機能が低下すると女性であれば卵子の質、男性であれば精子の質が低下する恐れがあります。
不育症の原因の1つである染色体異常を直接改善・予防する治療法は見つかっていません。しかし、漢方で腎の機能を高めることで、卵子や精子の質の低下を防ぎ、染色体異常のリスクを低減させられる可能性があります。
実際に、「漢方薬房こうのとり」では効果が出ている方が多いです。
参考:
反復・習慣流産(いわゆる「不育症」)の相談マニュアル│厚生労働省
当帰芍薬散は免疫不育の臨床的に有効か?│日東医誌
流産の予防効果が期待できる漢方
どのような漢方が流産を防止するために使用されているのでしょうか。
中医学の観点では、体の構成要素である気・血・水のバランスを取ることが妊娠継続のために重要だと考えられています。
気・血・水(津液)のそれぞれの役割を以下にまとめました。
- 気:血を運んだり、体を温めたりする
- 血:全身に栄養を運ぶ
- 水:潤いをもたらす
中医学では妊娠中は「養胎優先」といわれ、胎児への栄養供給が優先されるために、母体の気・血・水のバランスが崩れることが多いです。流産予防で使用される漢方は、主に気や血を補う効果があります。
ここからは、妊娠中の服用で流産の予防効果が期待できる漢方について詳しく解説します。
参考:妊娠期のメンタルヘルスと漢方│女性心身医学
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
当帰芍薬散は、貧血や血行不良による冷えやむくみの改善に効果があります。妊娠中の冷え、頭痛、めまい、肩こりなどにも使用される漢方です。
妊娠時の血流を改善して胎盤血流量を増す効果が期待され、安胎薬として流産・早産予防に使用されています。また、胎児への影響もほぼないため、妊娠中に飲んでも大丈夫だと考えられている漢方です。
なお、妊活中は痩せ型の人が服用すると不妊の原因になる可能性があるため、自己処方は避けましょう。
参考:
漢方Q&A - 産婦人科について⑦安胎の為の注意事項は?|日本臨床漢方医会
【漢方解説】当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)│クラシエ
当帰芍薬散と葉酸の飲み合わせは問題ない?
妊娠前から葉酸の摂取をすすめられた方も多いでしょう。当帰芍薬散と葉酸は飲み合わせに問題はありません。
医師や薬剤師の指示に従って、自己判断で中止せずに服用を続けてくださいね。
婦人宝(フジンホウ)(旧:当帰養血精)・婦宝当帰膠(フホウトウキコウ)
婦人宝(旧:当帰養血精)や婦宝当帰膠は、血を補い、全身や胎児に栄養を豊富に行き渡らせる効果が期待できます。また、妊娠中の冷えにも効果があるため、出産直前まで使用する人が多い漢方です。
出典:イスクラ婦宝当帰膠B│イスクラ産業株式会社
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
補中益気湯は、胃腸が弱った人の食欲不振などの改善で使用される漢方です。妊娠中の女性には、貧血、痔、疲労感、抑うつなどの改善に使用されます。
妊婦の体内で気が不足すると、胃腸の機能も弱まり栄養の吸収力が落ちて、胎児に十分な栄養が届かない可能性が高まります。補中益気湯は気を補うことで妊婦の体力を回復させ、流産を防止する効果が期待できる漢方です。
漢方薬房こうのとりでは、妊娠12週から出産まで、必要な方には安胎薬として使用することもあります。
出典:補中益気湯│クラシエ
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
半夏厚朴湯は、不安神経症、神経性胃炎、つわり、せきに処方されます。また、妊娠中のつわりを改善する効果が期待できる漢方です。
気の巡りを改善し、全身や胎児に栄養を届けることが期待できます。また、体質や症状を考慮した上で、妊婦の筋力アップを目的に半夏厚朴湯が処方される場合もあります。
なお、半夏は下処理をしない状態では子宮を収縮させる作用があるといわれています。病院で処方されるツムラの半夏厚朴湯のエキス製剤には、下処理がされていない半夏が使用されています。
北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、下処理を行い子宮収縮作用を取り除いた半夏を処方しているため、妊娠中も安心して使用できます。
出典:【漢方解説】半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)│クラシエ
妊娠中は服用がダメな漢方は?
流産予防に効果がある漢方がある一方で、「妊娠中の服用はダメ」といわれるものも存在します。妊活中に使用していた漢方でも、妊娠が判明した時点でやめるべきものがあるため、専門家のサポートを受けながら漢方は服用するべきでしょう。
妊娠中に避けるべき生薬は、瘀血(おけつ、血液の停滞などの意)を取り除く効果(駆瘀血作用)があるものと、発汗作用があるものです。それぞれがダメだといわれる理由は以下のとおりです。
- 駆瘀血(くおけつ)作用→流産・早産を促す
- 発汗作用→陽気を傷つける
ここからは、妊娠中に服用を避けるべき漢方を具体的に紹介します。
参考:漢方Q&A - 産婦人科について⑤妊娠の病態生理とは?|日本臨床漢方医会
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
駆瘀血剤として有名で、冷えや生理痛がある不妊の女性に使用される桂枝茯苓丸は、妊娠中に避けるべき漢方です。
全身の血流を巡らせ、冷え性を改善する効果が高く、妊娠前は卵子や子宮内膜の質を高める目的で使用されます。妊娠検査薬で陽性だとわかった時点で中止すれば問題ありません。
参考:
【漢方解説】桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)│クラシエ
体外受精の段階に合わせ決まったパターンで漢方薬を投与した20症例│日東医誌
桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
桃核承気湯も、桂枝茯苓丸と同じく駆瘀血剤として有名な漢方で、妊娠中は避けるべきです。
服用によって子宮まで血が巡り、子宮内膜の成長に寄与するといわれていますが、妊娠がわかった時点で中止しましょう。
参考:
【漢方解説】桃核承気湯(とうかくじょうきとう)│クラシエ
漢方Q&A - 産婦人科について⑥妊娠初期の注意事項は?|日本臨床漢方医会
妊娠中は風邪に効く漢方にも注意
妊娠中は風邪に効く漢方にも注意しましょう。たとえば、発汗作用のある生薬は妊娠中は控えるべきです。
風邪に効く漢方と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは葛根湯(カッコントウ)や麻黄湯(マオウトウ)ではないでしょうか。これらはドラッグストアでも販売されている漢方です。
しかし、葛根湯や麻黄湯には、発汗作用のある麻黄(マオウ)や桂皮(ケイヒ)が含まれているため、妊娠中は使用を控えましょう。麻黄に含まれるエフェドリンという成分によって、血圧上昇や胎児・胎盤系の血行障害を引き起こす恐れがあります。
妊娠中の風邪には、桂枝湯(ケイシトウ)、香蘇散(コウソサン)の使用が望まれます。ほかにも、咳が長引く場合には参蘇飲(サンソウイン)が使用されます。
妊娠中の風邪は、ドラッグストアで販売されている漢方で対応するよりも、医療機関で相談するのが最善です。
参考:
漢方Q&A - 産婦人科について⑫妊娠合併症の漢方治療とは?|日本臨床漢方医会
妊娠中の感冒に漢方薬を使いたいが、何が良いか?(薬局)|福岡県薬剤師会
流産と漢方に関するよくある質問
妊娠中は流産のリスクが気になり、不安が強まりやすい時期です。薬の使用もためらい、体調不良を我慢してしまう可能性もありますが、妊婦の体調不良が胎児に悪影響を及ぼす場合もあるため、早めの対応が必要になります。
ここからは、流産と漢方に関するよくある質問をまとめて紹介します。
流産予防・流産リスクのある漢方は服用時期も重要?
誤って漢方を飲んでしまった場合は、気づいた時点で服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
妊娠初期、特に27までの時期で、妊娠判定が陽性か陰性かまだ分からない間は「All or Noneの時期」と呼ばれます。この時期に胎児に影響する可能性のある薬を使用して胎児に影響があった場合は、受精卵は着床しないか、流産にいたるといわれています。
妊娠反応は通常、受精後約2週間で陽性となるため、生理予定日の頃に妊娠反応を確認し、陽性であった場合に漢方を中止すれば、影響を最小限に抑えられるため、それほど神経質にならなくて大丈夫でしょう。
受精後2〜8週までの時期は器官形成期と呼ばれ、胎児の臓器や組織が作られる時期です。この期間は胎児の奇形に関わる時期といわれています。
葉酸(ビタミンB9)は、新生児障害の予防に効果があることがエビデンスで示されています。妊娠陽性反応が出てからの2ヶ月間が、服用に最適な時期です。ただし、妊活や流産予防に関しては、エビデンスがないことにご留意ください。
妊娠9週以降は、流産リスクは胎児側よりも、妊婦の子宮内膜の薄さや硬さにあると考えられます。
参考:妊婦の薬物服用|日本産婦人科医会
稽留流産後も漢方を飲んだほうがよい?
稽留(けいりゅう)流産とは、出血や腹痛などはないが、胎児の発育が止まっている場合をいいます。稽留流産では、自然排出か手術を選ぶことになります。自然排出の場合、桂枝茯苓丸などの駆瘀血剤が使用されるケースが多いです。
また、流産後に体質を改善するための漢方を使用する場合があります。たとえば、染色体異常による流産であれば、補腎を目的とした八味地黄丸などが使用されることが多いです。
参考:8.稽留流産の診断│日本産婦人科医会
漢方に限らず、西洋薬でも流産リスクはある?
西洋薬でも流産リスクがあるものもあれば、流産防止で使用されるものもあります。
たとえば、ダクチルは子宮内膜が薄い人の流産防止で使用されます。妊娠が成立し、胎嚢が確認できたタイミングでダクチルを流産予防目的で処方されるケースが多いです。
また、デュファストンは妊娠初期の性器出血がある妊婦の流産予防で使用されます。流産の原因に女性ホルモンの1つである黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌に異常があるケースがあり、黄体ホルモン剤であるデュファストンの使用が検討されます。
このように、西洋薬でも流産予防で使用される薬がありますが、効果には個人差があり、ダクチルやデュファストンを使用しても100%流産を予防できるわけではない点に注意が必要です。
流産予防や不妊治療の漢方なら北陸富山の「漢方房こうのとり」で気軽にオンライン相談◎
今回は、流産予防に使用できる漢方や、妊娠中に漢方を利用する場合の注意点を解説しました。
妊活には漢方が効果的です。北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、妊活や妊娠中の漢方に精通した専門家が、個々の体質や症状に合わせた漢方を提供しています。妊娠を叶えた方に対しても、無事に出産できるまで手厚いサポートを行っています。
漢方を使用した不妊治療の末に妊娠した方をフォローする際、以下のように分類し対応しています。
- 40歳以上の初産の方
- 35歳以上で仕事が忙しく、高温期が不安定な方
- 30歳以上で夜勤があるなど激務の方
- 年齢を問わず、流産経験者で初産の方
これらの条件に該当する方や流産防止のために安胎薬を希望する方には、出産まで漢方の服用を推奨しています。
また、「漢方薬房こうのとり」では、妊娠陽性が出た段階で漢方をすぐにやめることはありません。
流産統計によると、流産の88%が妊娠12週までに起こるため、20代の方や2人目以降の方であっても、妊娠判定陽性(4週)から12週までの約2ヶ月間は安胎薬を服用していただいています。
また、「漢方薬房こうのとり」が考える流産防止のポイントは、以下の4つです。
- 精子の質が低い(運動率42%未満)、または精子のDNAに損傷がある
- 卵子の質が低い
- 子宮内膜が硬く、着床しにくい
- 子宮内膜が薄く、着床が困難
4~8週の間に受精卵の成長が止まる場合、1〜4すべての原因が考えられます。9週まで受精卵が成長している場合、1や2が原因ではなく、3や4のどちらか、あるいはその両方が原因となります。
妊娠判定陽性が出た時点で、1や2の問題はすでに決まっているため解決できませんが、3や4については、判定が出た後でも間に合います。そのため、4週から安胎薬を服用し、9週まで続けば、その後は全力で流産防止に努めることで、ほぼ出産まで到達できるとお伝えしています。
当店では、オンラインでの相談も受け付けていますので、遠方の方もお気軽にお問い合わせください。