不妊治療は生理の何日目に何をする?3日目・5日目の検査、行けない場合の対応も解説

この記事を監修した人
不妊治療では「生理の何日目に受診するか」が治療の進み方を大きく左右します。
とくに生理3日目のホルモン検査や内診は、排卵準備や卵巣の状態を正しく評価するうえで重要なタイミングとされ、受診できなかった場合に不安を感じる人も少なくありません。
しかし、日数ごとに何をするのかを理解しておけば、検査や治療の意図が見えやすくなり、予定が合わないときの対応もしやすくなります。
生理が来たら受診すべきタイミング、1〜5日目に行われる検査の意味、体外受精や移植周期での注意点、そして「行けない場合」の影響やクリニックの調整方法まで、解説していきます。
不妊治療では「生理の何日目に何をするのか」が重要な理由
まずは、なぜ日数がそんなに重要なのかを解説します。これを知っておくことで、治療の目的と流れがぐっとわかりやすくなります。
ホルモン値と卵巣の状態は「同じ日数」で比べないと正確に評価できない
不妊治療では、卵巣機能や排卵準備をチェックするために、血中ホルモン(FSH・LH・E2など)を測定します。
これらの値は生理の日数によって大きく変動するため、生理3日目(D3)など「決められた日」に検査を行うことで、正確な評価が可能になります。
同じ人でもD2とD4では値が違うため、日数がズレると判断の基準がぶれてしまうのです。
刺激法・採卵・移植のスケジュール設計が日数で決まる
排卵誘発(刺激法)、採卵、移植のタイミングは、生理が1日ずれるだけでも進行スケジュールが変わるほど繊細です。
そのため生理1〜5日目の受診・検査が、治療のスタートラインとして重要になります。
- 刺激法の開始日
- 卵胞が育つスピード
- 子宮内膜の厚さ
- 内膜調整(ホルモン補充周期)の開始日
これらはすべて「日数」に左右されるため、クリニックが「何日目に来てください」と指定するわけです。
余談:日数の数え方は?(自然周期とホルモン補充周期の違い)
不妊治療では、生理1日目=鮮血が出た日でカウントします。
おりものに少し血が混ざる程度の「茶おり」は0日目として扱われます。
また、移植周期の種類によって受診日や開始日の考え方が異なります。
自然周期 |
|
|---|---|
ホルモン補充(HRT)周期 |
|
つまり、自然周期は日数がよりシビア・HRT周期は日数が調整しやすいという違いがあります。
生理が来たときの初診・再診の受診タイミング
ここでは、初診・再診の受診タイミングについて、押さえておきたいポイントを紹介します。
何回程度、受診するのが一般的?
不妊治療では、生理が始まったタイミングが次の検査や治療の起点になりますが、これは「生理1〜5日目はすべて受診しなければいけない」という意味ではありません。実際には、生理中に受診するのは多くの人が1回、多くても2回程度です。
生理1〜2日目は治療計画の準備、3日目はホルモン検査・内診といった診断の基準日、4〜5日目は3日目に行けなかった人の予備日や治療方針の最終確認として使われることがありますが、これらをすべて行うわけではなく、必要な日だけ受診する仕組みになっています。

初診は生理中でも受診できる?
多くのクリニック等では、初診そのものは生理中でも問題なく受けられます。問診・これまでの経過・既往症の確認など、生理中でも支障のない内容が中心だからです。
ただし、生理中の内診に抵抗がある場合や、ホルモン検査など「生理〇日目に測ると精度が上がる」検査が必要な場合は、医師が別日を案内するケースもあります。経血量が多く体調が悪いときは無理をせず、予約の変更を相談すると安心です。
また、クリニックによっては「生理が来たら当日に必ず連絡してください」と指示されることがあります。特に体外受精専門施設では、生理開始日を基準に刺激法・採卵・移植のスケジュールが一気に動くため、迅速な連絡が求められます。
一方で、一般的な婦人科・不妊外来では予約枠を優先することも多く、初診がすぐに取れないケースもあります。
再診は検査内容によって受診すべき日が変わる
生理が来たあとの再診は、「何をするか」によって受診すべき日が異なります。たとえば、生理3日目のホルモン検査、卵胞の発育状況を見る内診、刺激法の開始日など、それぞれ必要な日数が明確に決まっています。
もし指定された日にどうしても行けない場合でも、代替日の検査で判断できるケースや、次周期に持ち越すほうが安全なケースもあるため、クリニックに相談すると良いでしょう。
【生理1〜2日目】なぜ受診が必要で、何をするのか
一般的には「必ず来院すべき」というわけではありませんが、体調や治療内容によっては早めの受診が勧められるケースがあります。
ここでは、生理1〜2日目にどのような目的で受診するのかを整理しておきます。
体外受精の刺激周期では治療開始のカウントに使われる
体外受精では、生理が始まった日を基準に卵巣刺激(排卵誘発剤の投与)を開始します。多くのクリニックでは、生理2日目または3日目から薬を使い始めるため、生理1〜2日目の段階で卵巣の休止状態やホルモン値を把握しておくことが重要です。
- 卵胞がまだ小さく、刺激の準備が整っているか
- 予想より早く卵胞が育っていないか
- 基礎ホルモン(FSH・LH・E2)が異常値ではないか
こうした確認を行うことで、刺激開始日を正確に決められ、採卵までの流れを安全に進めることができます。生理1〜2日目の受診は、体外受精のスケジュール管理を成功させる起点といえるでしょう。
早期の受診が必要なケース
生理1〜2日目そのものは、緊急性が高いわけではありません。ただし、次のような場合は早めの受診が推奨されます。
- 出血量が普段より極端に多い
- 痛みが強い、めまい・倦怠感がある
- 生理が来るはずのタイミングと大きくずれている
- 生理が不自然に短い・長いなど、周期そのものに異常がある
これらは、ホルモンバランスの乱れや卵巣の変化、子宮内膜の状態に問題があるサインの可能性もあります。
「これは生理なのか不正出血なのか分からない…」と迷う場合も、生理の初期(1〜2日目)で受診すると判断がつきやすく、次の治療計画が立てやすくなります。
【生理3日目の場合】なぜ受診が必要で、何をするのか
生理3日目(D3)は、不妊治療のなかで最も重要な受診日と言われることがあります。これは、ホルモン値や卵巣の状態が「基準の状態」になりやすく、正確な診断ができる日だからです。
ここで得られる情報が、その周期の治療方針を決める大きな判断材料になります。人工授精や体外受精を検討している場合も、この日の検査結果が治療の進め方を大きく左右します。
ホルモン検査で排卵準備や卵巣機能を評価する
生理3日目には、血液検査で複数のホルモン値を確認します。特に重要なのは、FSH・LH・E2 の3つです。
FSH(卵胞刺激ホルモン) | 卵巣が卵子を育てる力の指標となり、AMHと並んで卵巣年齢の目安になります。高値だと卵巣機能が低下している可能性があります。 |
|---|---|
LH(黄体形成ホルモン) | 排卵のタイミングや排卵障害の評価に役立ちます。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では高くなる傾向があります。 |
E2(エストラジオール) | 卵胞が育ち始めていないかを確認し、刺激法を開始できる状態か判断します。低すぎても高すぎても治療方針に影響します。 |
これらの値は、生理3日目がもっとも基準値に近く、周期比較もしやすいため、D3はホルモン検査のゴールデンタイムとされています。判断材料の8割がこの日に揃う、といっても過言ではありません。
内診で卵胞の大きさや子宮の状態をチェックする
D3では超音波による内診も行われ、卵巣と子宮がリセットされた状態かどうかを確認します。
チェックする主なポイントは次の通りです。
- 卵胞の大きさが適切に小さいか
- 卵巣に嚢胞(のうほう)や腫れがないか
- 子宮内膜が薄くリセット状態になっているか
これらの情報を総合して、その周期の治療計画(タイミング法・人工授精・刺激法・移植の可否など)が確定します。
【生理4〜5日目の場合】なぜ受診が必要で、何をするのか
生理4〜5日目は、基本的には受診が必須というわけではありません。
しかし、生理3日目に来れなかった人の予備日として活用されたり、刺激法や移植周期のスタート前に最終確認をするために受診が推奨されることがあります。治療が本格的に動き始める前の最終チェックのような役割を持つため、必要に応じて来院するイメージが近いでしょう。
ホルモン検査の予備日として活用されることがある
生理3日目が不妊治療の「基準日」であることはよく知られていますが、どうしてもD3に来られない人もいます。その場合、D4(生理4日目)が代替検査日として使われることがあります。
D3よりやや数値が動き始める時期ですが、以下の項目は十分判断材料になります。
- FSH・LH・E2 など基礎ホルモン
- 卵胞の初期発育の有無
- 刺激法の開始可否
- 移植周期の開始タイミング調整
D3に来られなかったとしても、「その周期はお休みにするしかない」というわけではないため、追いつきの検査日としての役割を果たします。
次の治療方針(刺激法・移植法)の最終確認を行う
生理4〜5日目は、刺激法や移植周期を始める前の最終チェックに利用されることがあります。特に以下の点が確認されます。
- 卵胞の立ち上がりが早すぎないか
- 子宮内膜の薄さが適切か
- 次周期の治療計画が現実的に進められるか
- 薬の開始日・通院頻度の調整
生理3日目の検査結果を踏まえつつ、刺激法に入るか、人工授精をするか、移植を進めるかなど、具体的なスケジュールを固める段階にあたります。
【閑話】治療の合間で漢方を検討するとかなり効果的
生理4〜5日目は治療の本格スタート直前にあたるため、体質改善や負担調整を始めるのに適した時期でもあります。漢方は、ホルモンを直接操作する西洋医学と相性が良く、以下のような悩みに役立つことがあります。
- 冷え・血流不足
- ストレスによる自律神経の乱れ
- 生理不順・周期のブレ
- 胃腸虚弱で薬が合わない、疲れやすい
不妊治療は決まったスケジュールで進むため、治療の合間で体調を整えておくと、刺激法の反応が良くなる・内膜が育ちやすくなるという実感を持つ人も少なくありません。漢方は補助的な選択肢としても、治療と並行して取り入れやすいアプローチです。
不妊治療に「行けない場合」の影響とクリニックの対応まとめ
不妊治療は「生理◯日目に来てください」と日数指定があることが多く、仕事や育児の都合で行けない場合に大きな不安を感じる人は少なくありません。しかし、多くの検査や治療は柔軟に対応できる仕組みが整っているので、行けない=全てが台無し、ということはありません。
ここでは、それぞれのケースでどんな影響が出るのか、そしてどんな対応が可能なのかを整理します。
生理3日目の検査・内診に行けない場合
◯生理4日目(D4)に代替検査を行う
→ ホルモン値は多少動き始めているが、治療方針を決めるには十分な精度。
◯自然周期や軽い治療なら、次周期まで持ち越すこともある
→ タイミング法や人工授精なら大きな不利益にならない。
◯明らかに数値判断が難しい場合は、刺激法を見送る調整が入ることも
→ 無理に始めて採卵結果が悪くなるのを避けるための判断。
D3受診がベストではあるものの、行けなかったからといって治療が破綻することはないと言えます。
体外受精(採卵周期)で生理1〜3日目に行けない場合
体外受精の採卵周期は、生理開始日を基準にスケジュールが一気に動き始めるため、1〜3日目の受診がより重要になります。ただし、このケースでも以下の対応が可能です。
- 1日目に連絡だけすれば、D2〜D3での受診にまとめて調整してもらえることが多い
- 刺激法の開始日を1日ずらして対応できる場合がある
- 卵胞の立ち上がりが早い場合は、次周期に回したほうが結果が良いことも
- 別刺激法に変更することも
つまり、採卵周期は調整幅がやや狭いものの、スケジュール再設計することが十分可能です。
移植周期で生理日数に合わせて行けない場合
移植周期(自然周期・ホルモン補充周期)では、日数管理の厳しさが採卵周期と異なります。
特にHRT周期は、「行けない=その周期がダメになる」ではなく、日程の後ろ倒しが容易という利点があります。
焦らず「日数ごとの目的」を理解して最適な受診を
生理1〜5日目と聞くと「毎日通院が必要なのでは」と不安になる方もいますが、実際に受診が求められるのは1〜2回程度であるケースがほとんどです。大切なのは、「この日は何のために受診するのか」という目的を理解し、無理のないペースで治療を続けていくことです。
また、不妊治療は検査や薬だけではなく、体質そのものを整えることで改善が見られるケースもあります。冷え、ストレス、胃腸虚弱など、治療の土台となる部分に不安がある場合は、体の状態を丁寧に整えるアプローチが役立つことがあります。
北陸富山にある「漢方薬房こうのとり」では、病院での不妊治療と漢方を併用される方も多く、体外受精と産婦人科治療に漢方を併用している方が約60%、人工授精までの治療と併用されている方が約25%、自然妊娠を目指しながら漢方を取り入れている方が約15%という実績があります。
このように、治療の段階や方針は人それぞれで、「どこまで医療に頼るか」「どこを体づくりで支えるか」を柔軟に組み合わせている方が少なくありません。
また、「漢方薬房こうのとり」では、生理周期の乱れや冷え、ストレスなど、治療の進みを妨げる小さな不調を漢方で整えるサポートも行っています。病院での治療と併行しながら、体を整える選択肢のひとつとして役立てていただければ幸いです。







