妊活中の体調不良について解説。原因と具体的な対策も紹介

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妊活を始めてから、「前より疲れやすい」「毎月決まった時期に体調が悪くなる」と感じる方も多くいます。
ホルモンやメンタルの変化に加え、日々の生活リズムの影響も受けやすく、体調管理が難しくなる場面もあるかもしれません。
この記事では、妊活中によくある不調のパターンや対策を解説しながら、体へのやさしい向き合い方をお伝えします。
妊活を始めてから体調が悪くなる主な原因
妊活を始めると、これまで安定していた体のバランスが少しずつ揺らぎ始めます。ホルモンの変化に加え、生活習慣や精神的な負荷が重なり、原因のわからない不調を感じることもあるでしょう。
この章では、妊活初期に起こりやすい体調不良の背景を「ホルモン」「生活リズム」「ストレス」の3つの視点から整理します。
ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れ
妊活中は、排卵後に増える女性ホルモンの一種・プロゲステロンの影響で体温が上がり、水分がたまりやすくなります。
また、もう1つの女性ホルモンであるエストロゲンの変動も、自律神経の働きに影響を与えるとされています。
交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなると、動悸や頭痛、のぼせなどの症状が現れることもあります。
さらに血管の収縮が続くことで、末端の血流が滞り、手足の冷えや肩こりが表面化しやすくなるでしょう。排卵誘発剤を使っている場合は、自然周期よりホルモン変動が大きくなり、体調が揺らぎやすくなることがあります。
冷え・血行不良・睡眠不足など生活リズムの乱れ
冷えや血行の悪さは、子宮と卵巣への酸素や栄養の巡りを妨げる背景となります。例えば、夜更かしが続くと体温のリズムが乱れ、眠りが浅くなったり、朝の目覚めが悪くなったりしやすくなります。
さらに長時間座ったままの仕事では、骨盤まわりの筋肉が動きにくく、下半身の血流が滞ることもあります。
こうした生活リズムの乱れが、妊活期の体調不調として表れやすい点を把握しておきましょう。
ストレスやプレッシャーによる心身の負担
妊活では、期限や経済的な負担が心身に強いストレスを与えます。
国立成育医療研究センターの調査では、体外受精など高度不妊治療を受ける女性の54%が、治療開始初期の段階ですでに軽度以上の抑うつ症状を示していたと報告されています。
慢性的なストレスは視床下部‐下垂体‐卵巣系の働きを弱め、排卵停止や月経周期の乱れにつながる可能性があります。
さらに交感神経優位の状態が続くと血管が収縮し、子宮への血流が低下するおそれもあるでしょう。
出典:体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が 治療開始初期の段階で、すでに軽度以上の抑うつ症状あり|国立研究開発法人 国立成育医療研究センター
妊活中の体調不良を改善するための対策
妊活中はホルモンや自律神経のバランスが崩れやすく、体調の波を感じやすい時期です。冷えや睡眠不足、強いストレスが重なると、心身の不調が続いてしまうこともあります。
ここでは「温める習慣」「睡眠とストレスケア」「漢方の活用」といった生活改善の方向性をもとに、取り入れやすい工夫を紹介します。
体を温める・整える生活習慣にする
妊活中は、下腹部や足元を冷やさないよう心がけることが大切です。
靴下や腹巻きなどで体を温め、1日1回は湯船につかって血流を促しましょう。
食事では、温かい汁物や根菜類を取り入れることで、内臓から体を整えられます。
また、立ち仕事やデスクワークが続く方は、こまめにかかとの上げ下げを行うと、骨盤まわりの血流が滞りにくくなります。軽いウォーキングも、全身の循環を促し、子宮や卵巣への酸素や栄養の巡りを助けてくれるでしょう。
睡眠・ストレスケアを行う
就寝前は照明を落とし、スマートフォンの使用を控えて、副交感神経を優位に切り替えましょう。温かい湯船に就寝の1〜2時間前に入ることで、眠りに入りやすくなり、ホルモン分泌のリズムが整いやすくなったという報告もあります。
また、昼間のうちに短時間の腹式呼吸や軽いストレッチを取り入れると、交感神経の過剰な緊張を和らげ、夜間の睡眠の質向上にもつながります。
出典:生活習慣病などの情報|厚生労働省
漢方による体質改善を併用する
妊活中の体調不良には、生活習慣の見直しと併せて、漢方による体質改善を取り入れる方法もあります。冷えやストレス、月経不順などの不調が重なる方には、東洋医学の視点から「腎」や「血」のバランスを整えていくことが重視されます。
ただし、実際に用いる漢方処方は、体質・体調・生活背景によって異なるため、専門家による丁寧なカウンセリングが重要です。
漢方薬房こうのとりでは、お一人おひとりに合わせたオーダーメイド処方をご提案しています。オンライン相談にも対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
とくに排卵日前後に体調が悪くなる主な原因
排卵が近づく時期は、ホルモンや炎症物質の急な変動により、自律神経や血流に影響が出やすくなります。その結果、腹痛・むくみ・気分の不安定さなどが強く現れることもあります。
この章では、とくに影響が大きい3つの原因に注目し、体調不良との関係を解説します。
排卵期のホルモン変動
排卵前後の体調不良は、急激なホルモンの変動によるものと考えられています。
排卵時にLH(黄体形成ホルモン)が一気に増加したあと、エストロゲンが急低下し、続いてプロゲステロンが急上昇します。このホルモンの波が自律神経の切り替えを乱し、微熱・だるさ・眠気・気分の落ち込みなどを引き起こしやすくなります。
「なんとなく風邪っぽい」と感じるのは、体が急な変化に対応しきれていないサインかもしれません。
プロスタグランジン増加による排卵痛・炎症反応
卵子が卵巣膜を破って排卵される際には、炎症に関わる物質「プロスタグランジン」が分泌されます。
プロスタグランジンには子宮や卵管の筋肉を収縮させる働きがあり、これによって腹部の重だるさや腰痛(いわゆる「排卵痛」)が起こることがあります。
さらに、プロスタグランジンの分泌量が多い場合や、体が敏感に反応する場合には、腹膜への刺激が強まり、吐き気やむくみを伴うこともあります。
エストロゲン急低下による気分・自律神経の揺らぎ
排卵直後、エストロゲンが急激に下がると、脳内でセロトニン(気分を整える神経伝達物質)の合成が低下しやすくなります。
その結果、抑うつ感・イライラ・眠りの浅さなどの精神的変化や、自律神経の乱れが起きやすくなります。
とくに「排卵日前後に気分の波が大きい」と感じる方は、このホルモンと神経伝達物質の揺れが背景にあるかもしれません。
とくに排卵日前後に体調不良で妊活できない人の対策
排卵期に強い痛みや気分の不調が続くと、「せっかくのタイミングなのに動けない」と焦ってしまう方も少なくありません。無理をすると体に負担がかかるだけでなく、妊活そのものがストレスになることもあります。
ここでは、排卵期特有の体調不良と上手に付き合いながら、妊活を前向きに続けていくための工夫を3つ紹介します。
体調が優れない日は無理をしない
排卵痛や吐き気がつらい日は、タイミングを1度見送り、市販の鎮痛薬やお腹を温めるケアや、しっかりとした睡眠で体を休めましょう。
厚生労働省の資料では、不妊治療や体調不良により休む際の対応として、年休以外の有給制度や短時間勤務といった働き方も紹介されています。
無理をして動くより、しっかり休んで次の周期に備えるほうが、妊活を前向きに続けやすくなるでしょう。
出典:事業主・人事部門向け 不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル|厚生労働省
周期全体で考える
排卵期に体調を崩してしまうと、「せっかくのタイミングなのに……」と悔しさや焦りを感じる方も多いでしょう。
しかし、排卵日だけに妊娠の可能性が集中するわけではありません。
基礎体温が低温期から高温期へ移行していく中で、排卵前後の数日間は妊娠可能性がある「妊娠可能期間」にあたります。排卵日前の低温期後半から、排卵後の高温期初期までを含めて考えることで、「今回はもうダメかも」と落ち込まずに、余裕をもって妊活に取り組めるはずです。
基礎体温と症状を記録する
毎朝の体温と併せて、排卵痛・眠気・気分の揺れといった症状も記録していくと、少しずつ自分の体調パターンが見えてきます。同じタイミングで不調が出やすい方は、次の周期の備えにもつながるでしょう。
また、専用アプリを使えば記録やグラフ化が手軽にでき、医師に相談する際の説明にも役立ちます。体調の変化を可視化することで「今はホルモンの影響かも」と客観的に受け止めやすくなり、焦りを和らげる効果も期待できます。
夫(パートナー)の体調不良と妊活に関する主な原因と対策
妊活が思うように進まないとき、女性側に原因があると考えがちですが、実際には男性側に要因があるケースも全体の約半数を占めるといわれています。
慢性的な疲労や体調不良は、精子の質や性機能に影響を及ぼすことがあり、妊娠の成立に直結する重要な要素です。
この章では、男性側に見られる主な不調の原因と、それぞれに対応する具体的な対策を、パートナーと一緒に取り組める形で紹介します。
出典:男性不妊症診療ガイドライン 2024年版|日本泌尿器科学会
原因として考えられること
男性の体調不良の背景には、さまざまな生活習慣や環境要因が関係しています。
例えば、喫煙・過度の飲酒・睡眠不足・肥満といった生活の乱れは、精子の濃度や運動率の低下につながると報告されています。
また、慢性的なストレスや長時間労働も、男性ホルモンの分泌に影響を及ぼし、造精機能の低下を招く可能性があるでしょう。
さらに、高熱や感染症、長時間の入浴やサウナなどで精巣が高温状態になると、一時的に精子数が減少することもあります。
パートナーとしてできる対策
男性側の体調を整えるには、まず睡眠・嗜好・体温管理など、日々の習慣を見直すことが大切です。
なかでも睡眠は、7.0〜7.5時間が最も精液量や総精子数に良い影響を与えるとされ、6.5時間未満や9時間以上では低下傾向が見られたという報告もあります。
また、長時間の入浴やサウナ、下半身を締めつける衣類は精巣の温度上昇につながるため、回数や時間を意識して調整するとよいでしょう。喫煙や過度の飲酒を控え、栄養バランスの取れた食事を心がけることも、体調の安定と精子の質の改善に役立ちます。
さらに、年に1回程度の精液検査で現状を把握し、その結果をパートナーと共有することで、2人で前向きに改善策を考えやすくなります。
こうした小さな見直しの積み重ねが、妊活を支える力になるかもしれません。
出典:Inverse U-shaped Association between Sleep Duration and Semen Quality: Longitudinal Observational Study (MARHCS) in Chongqing, China|PubMed Central (U.S. National Library of Medicine)
漢方で整える妊活中の体調不良について
妊活中の不調は、単なる冷えや疲れではなく、体質そのものが影響していることもあります。
こうした背景に着目し、漢方では「気・血・水」や「腎」のバランスを整えることで、体全体の巡りや働きを底上げしていきます。
ここからは、妊娠しやすい体づくりを支える東洋医学の考え方や、代表的な処方例、服用時に気をつけたいポイントについてご紹介します。
妊娠しやすい体を目指す漢方の考え方
東洋医学では、妊娠しやすい体づくりの土台として、「腎(じん)」と「血(けつ)」の充実が重要と考えられています。
腎は生命力やホルモンバランスの源とされ、血は全身に栄養を巡らせる働きを担っています。冷えやストレスが続くと、気や血の巡りが滞り、子宮や卵巣の働きも不安定になりやすいため、まずは体の巡りを整えることが大切です。
漢方では、腎を補いながら血流や自律神経のバランスを整え、ホルモンのリズムを安定させることで、妊娠に向けた体の準備をサポートします。
体質に合わせた代表的な漢方薬
妊活期に用いられる漢方には、それぞれ「向きやすい体質」があります。
以下は代表的な処方の一例で、どれも体質診断を前提に調整されるものです。症状や背景に応じて選択が分かれるため、実際の服用は専門家に相談することが大切です。
漢方名 | 向きやすいタイプ(目安) | 狙い・特徴 | 妊活中の注意点 |
|---|---|---|---|
加味逍遙散(カミショウヨウサン) | ・イライラ | 気の巡りを整え、情緒や緊張を和らげる | 冷えが強い場合や体力の差で合う合わないが分かれる |
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン) | ・冷え | 血と水の巡りを助け、だるさを軽減 | 痩せ型には合わず瘀血を悪化させることもある |
温経湯(ウンケイトウ) | ・手足の冷え | 冷えに伴う血行不良に働きかける | 牡丹皮を含むため妊娠中は使用を避けるのが望ましい |
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン) | ・下腹部の張り | 瘀血のサインに対応し巡りを促す | 一部医師は使用に慎重な立場をとっている |
補中益気湯(ホチュウエッキトウ) | ・胃腸が弱い | 気を補って回復力を支える | 精子数の改善報告あり(ただし運動率への効果は限定的) |
出典:ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用)|ツムラ
漢方服用の際に気をつけること
漢方薬は、体質・症状・生活環境に応じて処方が調整されるため、自己判断での長期服用は避け、必ず専門家のカウンセリングを受けてください。
とくに温経湯(ウンケイトウ)や加味逍遙散(カミショウヨウサン)に含まれる牡丹皮(ボタンピ)は、妊婦や妊娠の可能性がある方への使用は避けたほうがよいとされており、流産や早産のリスクが懸念されています。
服用中に胃の不快感・発疹・めまいなどの異変を感じた場合は、すぐに専門家に相談しましょう。また、ほかの薬やサプリメントとの併用についても、必ず確認が必要です。
出典:ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用)|ツムラ
【FAQ】妊活中の体調不良に関するよくある質問
妊活中は、体調や気分の波に加えて「仕事と治療の両立」「薬の飲み方」「通院と体調不良の兼ね合い」など、悩みが重なりやすい時期です。
ここでは、よく寄せられる質問とその対処法をQ&A形式でご紹介します。不安を1つずつ減らし、前向きに妊活と向き合うためのヒントとして活用してください。
仕事を休むときに抱える問題はどう対処すればよい?
不妊治療中に体調不良が重なると、「仕事を休みすぎて迷惑をかけているのでは……」と不安になる方は少なくありません。
しかし、治療や通院によって体調が変化するのは自然なことです。無理をせず、年次有給休暇や病気休暇を活用しましょう。
企業によっては「不妊治療のための特別休暇」や「短時間勤務制度」を設けている場合もあります。まずは人事部に確認してみると安心です。
また、診断書が必要な場合は医師に早めに依頼しておきましょう。上司には治療スケジュールをあらかじめ共有しておくことで、休む理由を伝えやすくなり、頻繁に休むことへの誤解も防げます。
1人で抱え込まず、制度を活用しながら治療と仕事の両立を目指しましょう。
妊活中の体調不良で薬を飲んでも大丈夫?
市販薬・処方薬ともに、妊活期では「排卵~高温期前半に使用できるもの」と「避けた方がよいもの」に分かれています。
解熱鎮痛薬では、アセトアミノフェン単剤を短期使用することが一般的で、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用は医師の判断を仰ぎましょう。
漢方やサプリメントも重ねて使うと成分が重複するおそれがあるため、必ず担当医または薬剤師に相談することが大切です。
人工授精前、または当日体調不良になったらどうするべき?
発熱や強い腹痛があるときは、無理に進めず、まずはクリニックへ連絡して対応を相談しましょう。軽い頭痛や風邪のような症状の場合は、医師の判断で予定通り実施されることもありますが、採精や移動中に体調が崩れるおそれもあります。
前夜からしっかり休息を取っておけば、体調面でも余裕をもって臨めるでしょう。
長引く体調不良は受診のタイミング?
だるさ・微熱・吐き気などの不調が1カ月以上続く、または毎周期決まった時期に強く出るようであれば、内科や婦人科で1度相談してみてください。
甲状腺の異常や貧血、ホルモンバランスの乱れが隠れていることもあります。
症状や日付を記録しておくと、受診時に状況を伝えやすくなるでしょう。
妊活中の体質改善のことは「漢方薬房こうのとり」にご相談を◎
妊活は、漢方が本来力を発揮しやすい分野です。
ホルモンバランスや生活習慣、ストレスなど、さまざまな要因が絡み合う妊活において、体の土台から整えるという考え方は、大きな意味を持ちます。
たとえば、体外受精(ART)を3回試しても結果が出ない場合。保険が適用される治療回数には限りがあるからこそ、残されたチャンスを無駄にしないために、「妊娠しやすい体づくり」を並行して考えていただきたいと考えています。漢方は、体外受精と組み合わせるだけでなく、自然妊娠を目指す方にとっても、選択肢を広げてくれます。
北陸・富山の「漢方薬房こうのとり」では、基礎体温や体質だけでなく、西洋医学では後回しにされがちな検査にも目を向けながら、漢方と西洋医学の良い部分を組み合わせたご提案を行っています。画一的な方法ではなく、「あなたに合う進め方」を一緒に見つけていく姿勢を大切にしています。
実際に、2019年6月1日から2021年5月31日までの2年間で、こうのとり漢方をお飲みになった方71名のうち、ご報告をいただいた65名中89.06%の方が2年以内に妊娠陽性を確認しています。これは、体調や治療状況に丁寧に向き合い続けてきた積み重ねの結果でもあります。
オンライン相談にも対応しているため、遠方の方でも無理なく始められます。
「もう少し早く相談していればよかった」と後悔しないために。妊活の選択肢を広げたい方は、ぜひ一度、こうのとりにご相談ください。








