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妊活・不妊治療

着床率を上げる食べ物・飲み物はある?妊活にいい・わるい栄養(成分)とは

この記事を監修した人

京都薬科大学特命教授 兼 薬剤師
戸口 瑞之
漢方薬房こうのとり 代表

元富山総合薬局代表。現漢方薬房こうのとり代表・管理薬剤師 / 現京都薬科大学特命教授。
飲む量の加減のみ必要で万人に合う現代の中国漢方(中医)に大学病院時代から36年携わる。
漢方薬房こうのとりでは、直近3年で100人以上の方が目標を達成されています。

特定の食べ物や飲み物が、着床率を上げるので妊活に良いという発信を見聞きした方も多いかもしれません。しかし、それらの効果は医学的に証明されていないものがほとんどです。

この記事では、着床率を上げるといわれている食べ物や飲み物に関して、現時点でわかっていることや、食べ物以外で実際に着床率を上げるためにできることを紹介します。

妊活中に心がけたい食習慣についても詳しく扱うので、生活改善にお役立てくださいね。


そもそも、着床率を上げる食べ物(飲み物)はあるの?

着床しやすくなる食べ物があったら、普段の食事に手軽に取り入れられるので嬉しいですよね。

妊活中に取り入れると着床率が上がるといわれていたり、胚移植後に着床しやすい状態に導くとされていたりする食べ物や飲み物は、医学的に効果が証明されているのでしょうか。

結論:単一の食べ物(飲み物)で効果を得られるというデータはない

着床しやすくする効果が期待されている食べ物や飲み物には、実際に着床率を上げるという研究データがないのが現状です。

単一の食べ物や飲み物が着床しやすくすると断言するのには無理があるといえるでしょう。

着床率に影響すると噂の食べ物(飲み物)とその理由

明確な効果を示す研究データがない中でも、着床率に影響を及ぼすといわれている食べ物や飲み物がいくつか存在します。これらが着床率に影響すると噂されるのはなぜでしょうか。

パイナップル

着床を助けるとされている食べ物の代表例が、パイナップルです。特に生のパイナップルを推奨する声が多く見受けられます。

着床率を上げるのにパイナップルが効果的だといわれる理由は、パイナップルに含まれるブロメリンというたんぱく質分解酵素に抗炎症作用があり、着床を促進すると考えられているからです。

具体的には、着床不全の原因である慢性子宮内膜炎などを、抗炎症効果があるブロメリンが改善し、着床しやすくする効果があると考えられています。

また、酵素は熱に弱いため、加熱せず生で食べることが推奨されています。

しかし、ブロメリンに着床を助ける効果があるとする研究結果は見当たりません。

また、妊活中にパイナップルを生で摂取したとしても、子宮に届く前に、胃液に含まれる消化酵素によってブロメリンはアミノ酸まで分解されるため、着床促進効果は期待しにくいでしょう。

参考:
ブロメライン|厚生労働省eJIM
16.反復着床不全│日本産婦人科医会

アーモンド

着床率を上げるとされている食べ物に、アーモンドがあります。「アーモンド効果を着床期に飲むと良い」とSNSやブログなどで書いている人もいます。

アーモンドが着床率を上げるといわれる理由は、ビタミンEを多く含むからです。ビタミンEには、卵子の質を落とすといわれている活性酸素を取り除く抗酸化作用や、血行を促進する効果、ホルモンバランスを整える作用があるといわれています。

しかし、着床率に限って言えば、アーモンド摂取による効果は認められていません。

逆に、食べすぎると大幅にカロリーを取ってしまい、体重増加を引き起こすので注意が必要です。

参考:
ビタミンEにはどんなはたらきがありますか?│第一三共ヘルスケア株式会社
メラトニンの抗酸化作用と生殖│一般社団法人糖化ストレス研究会

ルイボスティー

ルイボスティーは、ノンカフェインで妊娠中の女性におすすめされる一方、ポリフェノールが着床を阻害するため、妊活中には良くないといわれています。

しかし、着床の阻害については研究報告がないため、実際の影響は不明です。

ルイボスティーの飲みすぎは、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こすので、適度な摂取を心がけてくださいね。

その他

その他にも「胚移植後にマックのポテトを食べるとうまくいく」というジンクスがありますが、これはアメリカから伝わってきたもので、医学的根拠はなく、広まった理由も不明です。

糖質を抑えることは有効

アメリカのFDAでは、糖質の摂取量が妊娠率に影響を及ぼすというデータが出ています。

糖質の割合が1日の食事の4割を超えるグループと、糖質が4割を下回るグループに分けて妊娠のしやすさの調査を行い、4割以下のグループのほうが4倍妊娠しやすかったという結果でした。

妊娠を望むなら、糖質を摂りすぎないことを意識するとよいでしょう。

子宮内膜を厚くする・ふかふかにする食べ物(飲み物)はある?

着床率には子宮内膜の厚さが関与しており、7mm以下では体外受精が中止になることもあります。子宮内膜を厚くするためには、女性ホルモンバランスを整えることが効果的です。

ここからは、子宮内膜を厚くするといわれる食べ物や飲み物の実際の効果について詳しく解説します。

結論:単一の食べ物(飲み物)で効果を得られるというデータはない

子宮内膜を厚くする効果が期待されている食べ物や飲み物にも、明確な効果を示す研究データは現時点ではありません。

では、これらが効果があるといわれるのはなぜでしょうか。

豆乳

豆乳は子宮内膜を厚くするという噂があります。「豆乳は女性ホルモンバランスを整えるのに良い」と見聞きした方も多いのではないでしょうか。

大豆に含まれるイソフラボンが、女性ホルモンの1つであるエストロゲンのような作用を示すといわれています。エストロゲンであれば、排卵後に子宮内膜に厚みを出し、妊娠に備える作用があります。

豆乳を摂取することでエストロゲン様作用を期待しているようですが、実際には、豆乳の摂取で子宮内膜が厚くなり、妊娠に至ったという報告はありません。

また、イソフラボン含有サプリメントを過剰摂取した閉経後の女性で、子宮筋腫の増大や子宮内膜増殖症が見られたという報告がありますが、研究対象が閉経後の女性に限られており、妊娠を希望する女性への影響は検討されていません。

以上のことから、妊活における豆乳の摂取が子宮内膜を厚くする効果をもたらすとはいえないでしょう。

参考:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A|食品安全委員会

とろろ昆布

とろろ昆布が子宮内膜を厚くするのに効果的だという発信がいくつか見受けられます。

これは、とろろ昆布にエストロゲンの作用を強めるホウ素が含まれていることが理由のようです。

ただ、実際にとろろ昆布の摂取が、子宮内膜に影響を及ぼすという客観的データは得られておらず、根拠に欠けます。

参考:食品安全関係情報詳細│食品安全委員会

妊活においては、健康的な食事も大切

これまで述べたとおり、特定の食べ物や飲み物が着床や子宮内膜を厚くするのを助けるとはいえませんが、今妊活中で妊娠したいと考えるなら、単一の食べ物にこだわらずバランスの良い健康的な食事を心がける必要があります。

たとえば、タンパク質は妊活中に積極的に摂取したい栄養素です。具体的には卵や魚、肉、大豆製品が挙げられます。

タンパク質は、卵子を成熟させる過程で必要不可欠ですから、不足しないように意識しましょう。

また、動物性と植物性どちらのタンパク質もバランスよく摂取することが大切です。子宮内膜を厚くするには動物性のタンパク質の摂取が効果的です。1回の食事で摂取する栄養の3割以上は、動物性のタンパク質となるよう心がけましょう。

糖質の摂取量にも注意しましょう。前述のとおり、FDAでは糖質量が低い人のほうが妊娠率が高かったと報告されていますし、タンパク質を多く、炭水化物を控えめにした食生活が妊娠する力を高めるという研究報告があります。

ほかにも、妊娠しやすい体作りに、ビタミンDを含む食べ物を取り入れるのもおすすめです。ビタミンDを十分に摂取することで、流産率が下がり、着床率や妊娠率が上がったというイギリスの報告があります。

ビタミン群は体の機能を正常に保つためにも大切なので、過不足なく摂取することを心がけましょう。

さらに、食べすぎによる肥満や無理なダイエットによるやせすぎによって、女性ホルモンの分泌が乱れる可能性があります。妊娠に良いといわれるBMIは20~24ですから、この範囲に当てはまるようにバランスの取れた食事を心がけましょう。

参考:
妊娠のために知っておきたい知識 妊活中の食生活について|東京都福祉局
不妊治療に光明!ビタミンDが妊娠率アップ&流産率ダウンに効果あり│大塚製薬

着床時期に食べてはいけないものはある?

着床時期に食べてはいけないものや、不妊につながる食べ物はあるのでしょうか?

まず、アルコールの過剰摂取は不妊のリスクになると報告されています。アメリカでは、500mLの缶ビールや缶酎ハイを2本以上飲むと、不妊症の確率が上がると発表しています。

また、トランス脂肪酸を含む食べ物も、排卵障害による不妊への影響が報告されているため、避けたいものの1つです。たとえば、マーガリンやそれを使ったケーキなどの洋菓子は控えましょう。

どの食べ物や飲み物も、一切摂ってはいけないわけではなく、適量を摂取する、妊娠の可能性がない時期は食べる、など工夫をしましょう。

参考:
トランス脂肪酸と健康|オレオサイエンス
「トランス脂肪酸」に関する意見書│内閣府
すぐにわかるトランス脂肪酸│農林水産省

薬剤なら、着床率を改善する成分を含むものがある

西洋医学でも東洋医学でも、着床率を改善する治療が行われています。ここでは、着床率を改善する薬や成分を詳しく解説します。

ビタミンDとE

ビタミンの中には、着床率に関わるものがあります。

ビタミンDは、受精卵の着床に必要な遺伝子に関与しており、着床不全の人は血中ビタミンD濃度が低い傾向にあります。そのため、ビタミンDサプリメントの服用を医師からすすめられるケースもあるようです。

また、ビタミンEには、抗酸化作用や、血行を促進する効果、ホルモンバランスを調節する作用があり、子宮内膜が薄い患者にビタミンEの投与を行う医療機関もあるようです。

参考:
ビタミンDと生殖機能|J-STAGE
16.反復着床不全|日本産婦人科医会
ビタミンEにはどんなはたらきがありますか?│第一三共ヘルスケア株式会社
生殖・内分泌 クリニカルカンファレンス 不妊治療の問題点(難治性不妊症)とその対策 2)薄い子宮内膜|日本産婦人科学会雑誌

黄体ホルモン剤

女性ホルモンの1つであるプロゲステロンは、基礎体温を上昇させ、子宮内膜を安定させて着床しやすい状態を保ちます。

黄体ホルモン剤は、プロゲステロン様作用を発揮して、着床率を上げる効果が期待できます。タイミング法の一環で取り入れる医師が多いです。

漢方薬

漢方薬は、体質改善をうながし着床しやすい状態に導く効果が期待できます。食べ物のように日常的な体質改善を目指すなら、漢方薬の使用がおすすめです。

たとえば、温経湯(ウンケイトウ)は、基礎体温を上げるとともに、ホルモンバランスを調節し、子宮内膜を厚くする効果が期待されています。ほかにも、着床不全に対して柴苓湯(サイレイトウ)が処方されるケースも報告されています。

漢方は、体質や症状に合ったものを使用することで効果を発揮します。逆に合わない漢方を使用することで、効果が出ないばかりか体調を崩す恐れがあるので、注意が必要です。

ただし、病院では保険適用などの壁があり、個々人の体質や症状に合った漢方を処方するのが難しいのが現状です。一方、漢方薬局は保険が適用されませんが、細かく体質や症状についてカウンセリングを行い、より妊活に効果的な漢方をお渡しできます。

妊活で悩んだら北陸富山の「漢方薬房こうのとり」にご相談を◎

単一の食べ物や飲み物で、着床率を改善する効果が報告されているものはなく、どれも根拠に欠けるのが現状です。妊娠しやすい体作りのためには、バランスの取れた食事を心がけましょう。

着床率を上げるためには、病院での治療や漢方薬の使用が効果的です。ただし、病院では保険適用の影響で、処方できる薬に制限があります。もし漢方薬の使用を検討するなら、漢方薬局に相談しましょう。

北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、体質や症状を細かくヒアリングして、その方に最適な漢方を調合してお渡ししています。妊活や漢方に造詣の深いプロが、1人1人と丁寧に向き合い、妊娠まで手厚いサポートを行います。

店舗でだけでなくオンラインでの相談も受け付けていますので、近隣の方に限らず、ご遠方にお住まいの方も、気軽にお問い合わせくださいね。

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