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葉酸が妊娠前から必要な理由や効果は?おすすめの葉酸サプリも紹介

この記事を監修した人

京都薬科大学特命教授 兼 薬剤師
戸口 瑞之
漢方薬房こうのとり 代表

元富山総合薬局代表。現漢方薬房こうのとり代表・管理薬剤師 / 現京都薬科大学特命教授。
飲む量の加減のみ必要で万人に合う現代の中国漢方(中医)に大学病院時代から36年携わる。
漢方薬房こうのとりでは、直近3年で100人以上の方が目標を達成されています。

「葉酸は妊娠前から必要」といわれ、妊活中でも積極的な摂取が望まれます。葉酸が必要な理由や、妊活で期待できる効果が気になりますよね。

また、ダウン症などの胎児の先天異常を防止する効果はあるのでしょうか。

今回は、葉酸摂取は妊活にどのような影響があるのかを解説するとともに、女性だけでなく男性が葉酸を摂取する意義や適切な摂取量、おすすめの葉酸サプリメントなどを紹介します。


「葉酸は妊娠前から必要」というのは本当?

葉酸は、妊娠前から摂取することが望まれています。実際に妊活中におすすめのサプリメントとして葉酸が紹介されているのを見た方も多いのではないでしょうか。

「葉酸は妊娠前から必要」といわれると、妊娠しやすさや流産の防止に効果があると考えるかもしれません。

しかし葉酸は、妊活中や流産の防止には効果がないとわかっています。葉酸は妊娠検査薬で陽性反応が出たタイミングで飲み始めるもので、特に着床発覚日(妊娠から28日後)から妊娠50日までの間に服用することで、胎児の奇形防止につながります。

葉酸は妊活に効果がある栄養素ではなく、妊娠後に必要な栄養素だと押さえてください。

ここからは、葉酸の効果や厚生労働省の見解などをみていきましょう。

葉酸の効果

葉酸は水溶性ビタミンの1つで、ビタミンB群に分類されます。野菜やかんきつ類、レバーなどに多く含まれる栄養素です。

DNAやアミノ酸の合成に関わる補酵素で、不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こします。

葉酸不足はほかにも、神経障害や腸機能障害、脳血管障害や心血管疾患の原因となる高ホモシステイン血症の原因です。

また妊娠4~12週目の妊娠初期は、胎児の細胞増殖が盛んな神経管の形成期で、葉酸が不足すると無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発症リスクが高まります。

葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを70~80%低減できるため、妊娠可能な年齢の女性は妊娠前から、適切な量の葉酸摂取が望まれているのです。

多くの人が妊娠を知るのは、神経管の形成に重要な時期よりも遅いため、妊娠前の1カ月前からの摂取が必要だといわれています。

出典:
葉酸|国立健康・栄養研究所
【NST 栄養ひろば】「栄養に関する情報提供」|東北大学病院
葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果|e-ヘルスネット

葉酸の妊娠前からの摂取に対する厚生労働省の見解

厚生労働省は2000年に「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」という通達を、各学会に出しています。

具体的には、妊娠を計画している女性に対して、妊娠の1カ月前から妊娠3カ月の間に、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントから400μg摂取することを推奨しています。

食事だけでなく、サプリメントからの摂取も望まれる理由は、食事中の葉酸よりもサプリメントに含まれる葉酸の方が生体利用率が高いからです。

野菜や柑橘類に含まれている葉酸の大部分は、ポリグルタミン酸型として存在しており、代謝によって吸収可能なモノグルタミン酸型に変換されます。しかし代謝過程でさまざまな影響を受けるため、生体利用率が低下してしまいます。

また調理法によっては、葉酸が失われてしまうリスクもあるのです。

一方、サプリメントに含有されるプテロイルモノグルタミン酸は、体内への吸収率が高いと報告されています。

海外での疫学研究でも、プテロイルモノグルタミン酸を含んだサプリメントの服用による結果がほとんどのため、厚生労働省もサプリメントからの摂取を推奨しているのです。

出典:神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について|厚生労働省

妊娠前に男性が葉酸を摂取する場合

葉酸には精子のDNA断片化を防ぐ効果があるという研究結果が報告されています。

一方で、男性の不妊治療を改善しないという報告もあるため、サプリメントへの過信は危険です。

男性でも葉酸が足りないと貧血を引き起こすおそれがあるため、日頃から食事に気を配り、毎日240μg以上の葉酸の摂取を心がけましょう。

出典:Diet and men’s fertility: does diet affect sperm quality?|Fertility and Sterility

妊娠前は、葉酸より漢方がおすすめ?

葉酸は妊娠するためや流産防止に必要な栄養素ではなく、妊娠したあとの胎児の奇形防止や、妊婦の貧血防止に効果を発揮します。

今妊活に励んでいる方は、妊娠に備えて葉酸を摂りつつ、別の方法で妊娠しやすい体作りをおこなうべきです。

妊娠しやすい女性の体の状態は、次のとおりです。

  • 規則正しい生理周期
  • 卵巣や子宮の機能が良好

これらの条件を叶えるためには、女性ホルモンバランスが適切に保たれる必要があります。

漢方のなかには、自律神経やホルモンバランスを整える効果が期待できるものがあるため、月経不順がある人や、卵巣機能が低下している人におすすめです。

妊活や不妊治療で使われる漢方の例は、以下のとおりです。

  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
  • 八味地黄丸(ハチミジオウガン)
  • 温経湯(ウンケイトウ)
  • 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
  • 婦人宝(フジンホウ)(旧:当帰養血精)

また妊娠しやすさには、男性の精子濃度や運動性が関係するため、これらを改善する漢方の服用によって妊娠率が高まることが期待できます。

男性の不妊に用いられる漢方の例は、次のとおりです。

  • 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
  • 八味地黄丸(ハチミジオウガン)
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)

上記の漢方に期待できる効果や、市販薬の利用可否については、以下の記事でくわしく解説しているので、参考にしてください。


出典:
漢方Q&A-産婦人科について⑬月経異常や不妊症に効きますか?|日本臨床漢方医会
随証漢方療法で生児を獲得した卵巣機能不全不妊症100例の漢方医学的ならびに西洋医学的解析|日本東洋医学雑誌

「妊娠前から葉酸」と胎児のダウン症の関係について

妊娠前からの葉酸摂取と、ダウン症のリスクは関係があるのか気になる方も多いでしょう。

ダウン症児を出産した女性は、異常葉酸代謝の可能性が示唆されています。また、葉酸欠乏状態や抗けいれん剤などの葉酸の代謝を拮抗させる妊婦では、胎児の奇形が発生するリスクが高まることがわかっています。

しかし、葉酸とダウン症の関連性については、可能性の話で留まっているため「葉酸を摂取したからダウン症を予防できる」と考えるのは危険です。

出典:葉酸摂取のすすめ|日本補完代替医療学会誌

葉酸の摂取量の目安

妊娠を考えている場合や妊娠初期に、葉酸は毎日どれくらい摂取するべきでしょうか。ここからは、葉酸の摂取量の目安を紹介します。

妊娠前

妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性は、胎児の神経管閉鎖障害リスクを低減させるために、食事からの摂取(240μg)に加えて、サプリメントから400μgの摂取が必要です。

妊娠初期

妊娠初期は、胎児の細胞分裂が活発で神経管が形成される重要な時期なので、妊娠前と同じく食事での摂取に加えて、サプリメントの服用で400μgを維持しましょう。

出典:
妊娠前から葉酸をしっかりとりましょう|市川市
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省

「葉酸のとりすぎ」に注意する必要はある?

妊娠前の葉酸のとりすぎで、体調を崩すことはあるのでしょうか。

葉酸は水溶性ビタミンのため、食事からの葉酸の過剰摂取によるリスクは低く、健康障害は報告されていませんが、1日5mg以上の摂取で神経症状が顕著になると報告されています。

また葉酸サプリメントの過剰摂取によって、ビタミンB12欠乏による大赤血球性貧血の診断がしにくくなるため、サプリメントに含まれるプテロイルモノグルタミン酸については、食事摂取基準において上限量が決められています。

具体的には、1日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取量が900~1,000μgを超えないようにしましょう。サプリメントの多用は、上限量を超えてしまい副作用のリスクが高まるため、服用量を守ってくださいね。

出典:葉酸|国立健康・栄養研究所

妊娠前に飲む葉酸サプリのおすすめは?

神経管閉鎖障害のリスク低減を目的とする場合は、食事からの葉酸だけでなく、サプリメントなどの栄養補助食品からも摂取することが推奨されています。

妊活中から葉酸サプリを服用するなら、着床率を改善したり、流産を防止したりする成分が含まれているものを選びましょう。

摂取したい成分概要
ビタミンDビタミンDを十分に摂取することで、流産率が下がり、着床率や妊娠率が上がったというイギリスの報告がある。
ビタミンEビタミンEには、抗酸化作用や血行を促進する効果、ホルモンバランスを調節する作用があり、子宮内膜が薄い患者にビタミンEの投与をおこなう医療機関もある。

葉酸は、妊娠してからも長く摂取するべき成分ですから、継続しやすい商品を選択してくださいね。

また、妊活におけるサプリメントの効果は実感しにくいため、医学的に効果が証明されている漢方などの服用も検討しましょう。

出典:
不妊治療に光明!ビタミンDが妊娠率アップ&流産率ダウンに効果あり│大塚製薬
ビタミンEにはどんなはたらきがありますか?│第一三共ヘルスケア株式会社
生殖・内分泌 クリニカルカンファレンス 不妊治療の問題点(難治性不妊症)とその対策 2)薄い子宮内膜|日本産婦人科学会雑誌

妊娠前から妊娠初期にかけて健康に過ごすために漢方も活用を◎

葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害を予防する効果がある栄養素です。

葉酸が必要なタイミングは、妊娠に気づきにくい妊娠初期ですから、妊娠前から意識して葉酸を摂取することが重要です。

神経管閉鎖障害を予防するためには、食事以外にサプリメントで400μg以上のモノグルタミン酸型葉酸を摂取する必要があります。

妊娠前から葉酸を服用するのは、胎児の神経管閉鎖障害を予防するためであって、妊娠力を上げたり、流産率を下げたりするわけではない点に留意しましょう。

妊娠しやすさを上げるには、体質改善を期待できる漢方の服用がおすすめです。体質や症状に合う漢方の服用で、妊娠しやすい体づくりを心がけましょう。

市販でも漢方を購入できますが、体質に合わない漢方を選択するリスクがあるため、専門家のアドバイスをもらうことがおすすめです。

北陸富山の「漢方薬房こうのとり」では、妊活や漢方の専門家が一人ひとりの体質や症状をヒアリングし、その方に合う漢方を選んでいます例えば、採卵がうまくいかない方には、卵子の質を上げる漢方を使用するなどします。

対面でのカウンセリングだけでなく、オンラインでの相談も受け付けています。妊活中で妊娠力を上げたい方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。

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