妊活を始めると、「漢方がいいらしい」「妊娠に効く有名な漢方がある」といった情報を目にすることが増えてきますよね。しかし、実際にどの漢方がよいのか、自分に合っているのか、迷ってしまう方も多いはず。
本記事では、「妊活に使われる人気の漢方」や「市販で手に入る漢方の実力」について詳しく解説しながら、漢方の選び方やおすすめできないケース、具体的な処方例まで網羅的にご紹介します。
妊活で“人気の漢方” “有名な漢方”に関する評価
妊活中に「どの漢方がいいのか?」を調べると、「人気の漢方」「有名な漢方」といったワードが目につきがちです。口コミやSNS、通販サイトなどで評価が高いものを選びたくなる気持ちは理解できますが、妊活においては、人気があるからといって自分に合うとは限りません。
市販で購入できる漢方薬や、保険適用される病院の処方漢方は、あくまで汎用的でマイルドな内容になっており、成分や効果の強さにも制限があります。軽度の冷え症や体調不良の改善には適していますが、「FSHが高い」「AMHが低い」「精子の運動率が悪い」といった具体的な数値改善や体質の根本的な変化を目指す場合には、十分な効果が得られないことも少なくありません。
一方で、漢方薬局でのオーダーメイド処方は、年齢や体質、ホルモン状態、基礎体温などをもとに、専門家が個別に処方を組み立てるため、妊娠力を高めるために必要な成分を、より的確かつ高濃度で摂取することができます。とくに35歳以上の高齢妊活や、不妊治療を並行して行っている方には、自己判断で市販薬を選ぶのではなく、体質に合った専門処方を選んでもらうことが望ましいといえるでしょう。
2024.05.30
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【選び方】妊活漢方はどれがいい?
「どれがいいのか」「市販薬でもよいのか」「何を基準に選ぶべきか」は、多くの人が迷うポイントです。
この章では、妊活漢方を選ぶ際に押さえておきたい判断基準をいくつか紹介します。
市販薬でもOK?
市販の漢方薬は、ドラッグストアや通販などで手軽に入手できます。当帰芍薬散や桂枝茯苓丸などの有名処方も多く、冷え性や月経不順、ストレス対策などに用いられます。
ただし、本格的な妊活や不妊治療との併用、FSH・AMHなどの数値改善を目指す場合、市販薬だけでは力不足なこともあります。前述のとおり、市販薬は誰でも飲めるようマイルドに設計されており、含有成分も限定的です。体質に合わせて処方される専門漢方のほうが、妊活目的には適している場合が多いでしょう。
期待できる効果は?
妊活における漢方の役割は、妊娠しやすい体づくりをサポートすることです。西洋医学のように即効性はありませんが、継続することで以下のような変化が期待できます。
- 冷えの改善
- ホルモンバランスの調整
- 排卵周期の安定化
- 子宮内膜の状態改善
- ストレス・疲労の緩和
- 精子の質向上
また、病院での治療と漢方を併用することで、移植の着床率が上がったり、自然排卵が回復したりする例も報告されています。
体質に合っているか?
漢方は「何を飲むか」よりも「誰に合うか」が重要です。同じ冷えの症状でも、「陽虚タイプ」なのか「気滞タイプ」なのかで処方は大きく変わります。
体質が合っていない漢方を飲むと、逆に体調を崩すリスクもあります。たとえば、桂枝茯苓丸は「実証向け」なので、虚弱体質の人には向きません。
そのため、漢方薬局などで体質診断を受けてから処方してもらうのが理想的です。問診・舌診・脈診などを通して、個々の体質に最適な漢方を見極めるのが東洋医学の基本です。
予算と続けやすさ
漢方は継続して効果を発揮するものです。だからこそ、「自分が毎月続けられるか」も重要なポイントになります。
| 項目 | 市販薬 | 専門漢方薬局 |
|---|---|---|
| 価格帯の目安 | 約2,000〜5,000円/月 | 約10,000〜100,000円/月 ※症状の重さによって異なる |
| 入手のしやすさ | ドラッグストア・ネットで即購入可 | 予約や問診が必要 |
| 手間 | 錠剤や粉末が主流 | 煎じ薬もある |
| 効果の実感 | 軽度の不調向け | 妊娠体質改善まで踏み込める |
予算を抑えたい人は市販薬から始めるのも一つの手ですが、妊活ステージが進んでいる方や「結果を出したい」方には専門処方が現実的です。
反対に、妊活でおすすめしない漢方の選び方
妊活において漢方薬は、体質を整え、妊娠しやすい体を目指す上で有効な選択肢のひとつです。しかし、「有名だから」「人気だから」といった理由だけで漢方を選ぶのは危険です。漢方は本来、個々の体質や症状に合わせて処方されるべきものであり、自己判断や市販薬のみで対応しようとすると、かえって逆効果になることもあります。
また、「美容に良いから」「冷えがあるから」などの目的だけで、妊活とは関係のない処方を選んでしまう人も少なくありません。妊活目的であれば、妊娠力の向上やホルモンバランスの調整に特化した処方が必要であり、専門家による見立てと継続的な服用が重要です。
漢方の選び方を間違えると、妊娠までの道のりが遠回りになるだけでなく、体への負担を増やすリスクもあります。妊活を真剣に考えるのであれば、自分の体質や妊娠力の状態を正確に把握し、専門の漢方薬局で相談のうえ適切な処方を受けることが近道です。
おすすめはどれ?漢方名と妊活や不妊治療への効果
妊活において漢方を活用する方が増えていますが、選び方を間違えると期待した効果が得られないこともあります。
ここでは代表的な漢方薬を取り上げ、その効果や市販薬との違い、専門漢方薬局での処方との比較を客観的に解説します。なお、あくまで一般的な傾向であり、服用にあたっては必ず専門家に相談することをおすすめします。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
主な用途:排卵痛・月経痛の緩和
効果:子宮や卵巣のけいれん性の痛みに速効性があるとされ、排卵期の痛みが強い方に使用されることが多いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市販薬の有無 | あり(ツムラ68番など) |
| 即効性 | 高い |
| 妊娠力改善への直接効果 | 弱め |
短期的な使用には便利ですが、根本的な妊娠力の改善を目的とする場合は別の処方が望ましいです。

典型的な対処療法の漢方薬です。そのため体質改善効果は全くありません。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
主な用途:冷え性・むくみ・ホルモンバランスの乱れ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市販薬の有無 | あり(クラシエ、ツムラなど) |
| ホルモン調整作用 | あり |
| 冷え性への効果 | 高い |

そもそも当帰芍薬散はとても古い処方のため、痩せている方には逆効果です。一方、「当帰養血精(とうきようけっせい)」という処方をもとにした婦人宝(ふじんほう)などは、やせている方でも安心して使用できます。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
主な用途:PMS・情緒不安・ストレス起因の月経不順
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市販薬の有無 | あり(クラシエなど) |
| 自律神経への作用 | あり |
| 精神的ストレスの軽減 | 中程度 |
情緒不安定なときのサポートとしては有用ですが、妊活そのものへの効果は間接的です。漢方薬局ではさらに加減された処方が使われる場合もあります。

端的に言うと、我慢できるストレスであれば不要です。
温経湯(うんけいとう)
主な用途:高齢妊活・子宮内膜の血流改善
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市販薬の有無 | 限定的(専門薬局中心) |
| 子宮の血流改善 | 中〜高 |
| 高齢妊活との相性 | 良好 |
| 卵子の質改善 | 可能性あり(体質改善ベース) |
特に35歳以上の高齢妊活者に処方されることが多く、FSHが高めの方にも検討されます。市販ではほぼ手に入らず、専門漢方薬局でのオーダーメイド処方が一般的。

一定の効果はあると思います。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
主な用途:体力低下・免疫力強化・ホルモンバランス補整
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市販薬の有無 | 一部あり(ツムラ41番など) |
| 虚弱体質向け | あり |
| 着床率の改善 | 関連報告あり |
| 不妊治療との併用 | しやすい |
着床環境を整える目的でも使用されることがあり、特に疲れやすい方やホルモン剤との併用時に選ばれることがあります。処方の微調整が重要なため、専門家の診断が必要です。
漢方薬房こうのとりでは、こうしたお悩みにあわせた丁寧なカウンセリングと処方提案を行っており、実際に50歳で出産された方の実績もございます。妊活において「効く漢方」を選ぶには、まず体質を見極めることから始めましょう。

この漢方は、妊娠中の方が出産までの間に服用する安胎薬として、また男性の不妊症における精子数の改善を目的としても、漢方薬房こうのとりでも使用しています。
あえて市販薬で選ぶならおすすめの妊活漢方は?
漢方は本来、個々の体質や症状に合わせて処方されるものですが、「まずは試してみたい」「軽度の冷えや月経不順から整えたい」という方には、市販薬から始めるのも選択肢のひとつです。
以下は、妊活との相性が比較的良いとされる市販漢方薬の一例です。
| 漢方名 | こんな人に | 効果 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 当帰芍薬散 | 冷え性・貧血気味・生理不順のある方 | 血流改善、ホルモンバランスの調整を助ける | 虚弱体質・冷え体質の方によく処方されます |
| 加味逍遥散 | PMS(月経前症候群)、ストレス過多、イライラしやすい方 | 情緒の安定、自律神経の調整 | 精神的な不調からくる月経トラブルにも適しています |
| 桂枝茯苓丸 | 冷えのぼせ・肩こり・月経過多・子宮筋腫傾向のある方 | 瘀血(おけつ=血の滞り)改善 | 体力中程度以上の方向け。便秘傾向にも効果あり |
繰り返しになりますが、体質に合っていない場合は逆効果になることもあるため、効果が実感できない・症状が重いと感じる方は、専門家のカウンセリングを受けて処方薬に切り替えるのが安心です。
【FAQ】おすすめの妊活漢方を探す方によくある質問
妊活に漢方を取り入れるにあたり、よくある疑問とその回答をまとめました。
漢方を飲むべき期間やタイミングは?
漢方薬は即効性ではなく、体質改善を目的とした中長期的な服用が基本です。妊活目的の場合、最低でも3〜6カ月の継続を目安にしましょう。特に排卵や着床に関わるホルモンバランスの調整には時間がかかるため、早めのスタートが効果的です。
タイミングとしては、月経周期や基礎体温をもとに排卵期を意識した処方を行うこともあります。ただし自己判断せず、周期に応じた処方を行ってくれる漢方専門家のアドバイスを受けるのが理想です。
街にある「漢方で妊活」の看板は信用できるの?
「漢方専門」と掲げる薬局・薬店のなかには、知識や実績に差があるのが実情です。カウンセラーの実力を見極めるには、以下のような点を確認しましょう。
- 妊活の専門知識がある(FSH/LH/AMHなど数値に基づく対応ができる)
- 過去の妊娠実績や体験談がある
- 一律処方ではなくオーダーメイドで対応してくれる
- 医師と連携している、あるいは医療従事者の資格保有者がいる
男性不妊で無精子症の方でも妊娠実績がある漢方薬房こうのとりのように、不妊治療クリニックと併用する形で相談される方も多く、臨床経験が豊富な漢方薬局が安心です。
ホルモン剤と漢方、どちらを選ぶべき?
ホルモン剤と漢方にはそれぞれ役割があります。多くのケースで「併用」が現実的な選択肢となります。たとえば、体外受精の前に漢方で内膜を整える、男性側の精子質改善に漢方を使うなどのアプローチです。
ただし、勝手に組み合わせるのはNGです。必ず、医師や漢方薬局に相談しましょう。
漢方による自然なアプローチで妊娠したい方は、まずは専門家に相談を
年齢を重ねた妊活では、ホルモンや血流、子宮環境など複数の要因が重なり合うため、体質全体を整える漢方が有用です。
しかし、自己判断で市販の漢方を選んだだけでは、根本的な改善に至らないケースもあります。妊活を本気で考えるのであれば、個別の体質や数値に応じた処方と、服用期間の管理が必要不可欠です。
漢方薬房こうのとりには、不妊治療中の方はもちろん、年齢的に難しいのではと不安を抱える方からも相談が寄せられています。実際に、長期間の無月経から体質改善を経て妊娠に至った事例があります。たとえば、BMI43.7で三年以上生理が止まっていた25歳の方は、体質改善と減量で生理が再開し、その後の処方で一年ほどで妊娠しています。42歳で一年以上無月経だった方は、体質改善後に生理が戻り、半年で自然妊娠に至りました。
また、継続的な服用データでも成果が見られます。二年間の集計では、継続服用者192名のうち、半年以内に妊娠判定陽性が103人、一年以内が138人、一年半以内が162人、二年以内が171人でした。女性の体調だけでなく、男性側の所見にも変化が出ています。精子の運動率が42%未満だった方の多くで、二カ月半以内に80%以上へ改善したという報告が複数あります。
こうした実績に加え、50歳での妊娠・出産に至ったケースの相談も受けており、閉経後のご相談も可能です。
「いま自分に合う漢方は何か」「市販薬では不安」「治療と併用しても大丈夫?」など、どんなお悩みでもかまいません。まずは一度、カウンセリングにてご相談ください。










