妊活中にアイコスをやめられないときは?責めずに始める小さな工夫と禁煙相談の使い方

妊活を意識してアイコスなどの加熱式たばこをやめたいのに、気づけばまた手が伸びてしまい、「意志が弱いのでは」と自分を責めていませんか。この記事では、今の状況の書き出し方、吸う場面ごとの置き換えの段取り、パートナーへの伝え方、禁煙相談の使い方、吸ってしまった日の立て直し方を順に整理します。最後に1週間で試せる小さなプランの例も載せました。
やめられないと感じているとき、まず手をつけたいこと
やめたいのにやめられないとき、気持ちは「早くなんとかしなければ」という焦りと、「また吸ってしまった」という後ろめたさの間で揺れがちです。ここでは、いきなり大きな決意をする前にできる、小さな最初の一歩を整理します。

自分を責める前に、今の状況を言葉にしてみる
最初におすすめしたいのは、今の状況を紙やスマホのメモに書き出すことです。やめられない原因を探したり、反省文を書いたりする必要はありません。事実を並べるだけで十分です。
- 1日に何本くらい吸っているか(おおよそで構いません)
- どの時間帯に吸うことが多いか
- やめたいと思った理由は何か
- これまでにやめようとして、どうなったか
頭の中だけで考えていると、「ずっとやめられていない」という漠然とした自己評価だけが残りやすくなります。書き出してみると、吸うのは特定の時間帯に集中している、やめたい理由がはっきりしている、といったことが見えてくる場合もあります。見えてきたものは、次の章で行う段取りづくりの材料になります。
やめたい理由は、長く書かなくて構いません。「妊活に向けて体の準備をしたい」「パートナーと一緒に取り組みたい」など、一文で十分です。気持ちが揺れたときに読み返せるよう、メモの一番上に置いておくと役に立ちます。
なお、やめにくさを「意志の弱さ」とだけ捉える必要はありません。公的な情報では、たばこにはニコチン依存があり、若いうちに吸い始めた人ほどたばこをやめにくいと考えられると紹介されています。やめにくいのには背景がある、という前提で進めて大丈夫です。
出典:喫煙による健康や妊娠への影響とは?未来のために知っておきたいこと - はじめよう プレコンセプションケア - こども家庭庁
加熱式たばこについて、公的な情報で確認できること
「アイコスなら紙巻きより少しはましなのでは」と考えて使い始めた方もいるかもしれません。公的な情報では、加熱式たばこは電気的に加熱して発生させたニコチンを吸う製品で、健康への影響や臭いが紙巻たばこより少ないという期待から使い始める人がいると説明されています。そのうえで、ニコチンおよび発がん性物質にさらされるという点で健康への影響には懸念があり、喫煙者や受動喫煙者の健康に悪影響を及ぼす可能性が否定できないとされています。
出典:喫煙による健康や妊娠への影響とは?未来のために知っておきたいこと - はじめよう プレコンセプションケア - こども家庭庁
つまり、加熱式たばこだから安全だと言える状況ではない、ということです。ただ、この情報は不安をあおるためのものではありません。「やめたい」という気持ちを後押しする材料として受け取っていただければと思います。次の章から、責めずに進める具体的な工夫を見ていきましょう。
吸う場面を知って、置き換えの段取りを決める
やめようとするとき、「我慢する」ことだけに頼ると、疲れた日や気持ちが張り詰めた日に崩れやすくなります。そこで、いつ手が伸びるのかを先に知り、その場面ごとに別の行動を用意しておく方法をご紹介します。
いつ、どこで、何をきっかけに手が伸びるかをメモする
まずは数日間、吸うたびに簡単なメモを残してみてください。減らそうとしなくて構いません。観察だけで十分です。
- 時間帯(例:朝の出勤前、昼食後、夕方など)
- 場所(例:自宅、車の中、職場の休憩スペースなど)
- 直前にしていたこと(食後、仕事の合間、運転前、人と話したあとなど)
- そのときの気持ち(退屈、疲れ、イライラ、緊張、ほっとしたいなど)
数日分たまると、「食後はほぼ毎回吸っている」「仕事で気を張ったあとに増える」など、自分なりの傾向が見えてきます。傾向が分かれば、すべてを一度に変えなくても、変えやすい場面から手をつけられます。メモを取るのが面倒に感じる日は、時間帯だけ、あるいは「食後」と一言だけでも構いません。続けやすい形に崩して使ってください。
手元に置くものと過ごし方を、先に変えておく
きっかけが分かったら、その場面で代わりにすることを前もって決めておきます。その場になってから考えると、つい慣れた行動に戻ってしまうためです。場面別の例を挙げます。
場面 | 置き換え行動の例 |
|---|---|
食後 | すぐに席を立って歯を磨く、温かい飲み物を用意しておく |
仕事の合間 | 休憩の飲み物を持って外の空気を吸いに出る、短いストレッチをする |
運転前 | 乗る前に水やお茶を準備しておく、到着後にすることを決めておく |
気持ちが張り詰めたとき | ゆっくり深呼吸する、少し歩く、信頼できる人に連絡する |
すべてを実行する必要はありません。まずは「いちばん吸う回数が多い場面」か「いちばん変えやすそうな場面」を1つだけ選んで試してみてください。1つの場面が変わるだけでも、「できた」という感覚が次の場面に取り組む支えになります。
置き換え行動は、準備の手間が小さいものほど続きます。飲み物をあらかじめ水筒に入れておく、歯ブラシを職場のカバンに入れておくなど、「やろうと思った瞬間に手元にある」状態をつくっておくのがコツです。
吸いたい気持ちが強まった数分間の乗り切り方
吸いたい気持ちが強まったときは、その場をやり過ごす短い手立てをいくつか持っておくと安心です。
- コップ1杯の水や温かいお茶をゆっくり飲む
- 息をゆっくり吐くことを意識して、深呼吸を数回する
- 席を立って、その場から離れる
- 手を洗う、顔を洗う、歯を磨くなど、手を動かす
- 外に出て、少しだけ歩く
気持ちの波が落ち着くまでの時間には個人差があります。数分のあいだ別のことをして過ごせた、という経験を一つずつ重ねていくことが、次の場面の自信になります。うまくいかない日があっても大丈夫です。その場合の考え方は、後の章でお伝えします。
パートナーに伝えるときの話し方と、一緒に進める工夫
ひとりで隠れるようにやめようとすると、うまくいかなかったときの気持ちの負担が大きくなりがちです。パートナーに状況を伝えておくと、気持ちの面でも段取りの面でも動きやすくなります。ここでは、責め合いにならない話し方を整理します。
責め合いにならない切り出し方
話を切り出すときは、お互いに疲れていない時間帯を選ぶのがおすすめです。帰宅直後や就寝前など、余裕がないときは避けたほうが落ち着いて話せます。
最初の一言は、事実と気持ちを素直に伝える形にすると、相手も受け止めやすくなります。
- 「やめたいと思っているけれど、思うようにいかなくて困っているの」
- 「ひとりで抱えるのがしんどくて、聞いてもらいたい」
- 「責めてほしいわけではなくて、一緒に考えてほしい」
「どうして吸うの」「前にもやめるって言ったよね」といった言葉は、どちらの立場でも相手を追い詰めやすくなります。パートナー側も、「心配だから言ってしまう」気持ちを一度言葉にしてから、「一緒にできることはある?」と聞くと、対話が続きやすくなります。
やめたい気持ちを共有して、役割を分ける
気持ちを伝えたあとは、具体的に何を手伝ってもらうかを決めておくと、応援が負担にならずに済みます。
パートナーが吸っていない場合は、たとえば次のような頼み方があります。
- 吸いたくなりやすい時間帯に、散歩やお茶に誘ってもらう
- 吸わずに過ごせた日は、「そうなんだね」と受け止めるだけにしてもらう
- 吸ってしまった日があっても、理由を問いたださないでもらう
パートナーも吸っている場合は、お互いを責める形ではなく、同じ時間帯に一緒に別の行動を試すのがおすすめです。食後に一緒に散歩に出る、休憩時間にお茶を飲むなど、小さな行動を揃えるだけでも続けやすくなります。どちらかだけが頑張る形にせず、「二人で試してみる」という位置づけにすると、気持ちが軽くなります。
公的な情報では、カップルのどちらかが喫煙していると妊娠までの期間が長くなることが報告されており、妊娠前から妊婦さんとパートナーがともに禁煙することが大切だとされています。ただ、これは「どちらが悪い」という話ではなく、二人で取り組むテーマとして捉えるための情報です。
出典:喫煙による健康や妊娠への影響とは?未来のために知っておきたいこと - はじめよう プレコンセプションケア - こども家庭庁
男性側の生活習慣の整え方については、こちらの記事も参考になります。
禁煙相談を使うという選択肢
自分なりに工夫しても難しいと感じるときは、ひとりで抱え込まずに、相談できる窓口を使うという選択肢があります。相談することは弱さではなく、やめるための手段の1つです。ここでは、相談先の探し方と、相談前後の準備を整理します。

相談先の探し方
禁煙の相談先には、いくつかの種類があります。一般的には次のような窓口が考えられます。
- かかりつけの医療機関
- お住まいの地域の保健センターや保健所
- 職場の健康管理窓口(産業医や保健師など)
- 禁煙相談を行っている施設
それぞれ、対応している内容や相談の方法、費用などの条件が異なります。まずは電話やウェブサイトで、「禁煙の相談をしたい」と問い合わせてみてください。妊活中であることも最初に伝えておくと、状況が共有しやすくなります。
どこに連絡すればよいか迷うときは、いちばん連絡しやすい窓口から始めて構いません。その窓口で対応が難しい場合も、別の相談先を案内してもらえることがあります。
相談の前にメモしておくと話しやすいこと
相談の場では、緊張して話したいことが出てこないことがあります。前の章で書き出したメモがあれば、そのまま使えます。次の点を書いておくと、状況が伝わりやすくなります。
- 1日に吸う本数と、吸うことが多い時間帯
- これまでにやめようとした経緯(いつ、どのくらい、どんなことがあったか)
- 妊活中であること、パートナーの喫煙状況
- 気になっていること、不安に思っていること
きれいにまとめる必要はありません。箇条書きの走り書きで十分です。
相談の場で聞いてみたいこと
相談の場では、自分で調べて判断しようとせず、気になることをそのまま聞いてみてください。たとえば次のような質問が考えられます。
- 自分の状況に合った、やめ方の進め方にはどんな方法があるか
- 妊活中であることを踏まえて、気をつけたいことはあるか
- うまくいかない日があったとき、どう立て直せばよいか
- 継続して相談できる窓口や、次の相談のタイミングはあるか
やめるための具体的な方法や、使えるものがあるかどうかは、状況によって異なります。この記事では中身に触れませんので、相談先で直接確認してください。相談したからといって必ずやめられるとは限りませんが、状況を整理して一緒に考えてもらえることは、気持ちの支えになるはずです。
吸ってしまった日があっても、次の一歩を小さく決め直す
どれだけ準備をしても、吸ってしまう日はあります。そのときに「全部台無しになった」と考えてしまうと、気持ちが折れやすくなります。ここでは、吸った日を次に活かす考え方を整理します。
吸った日の振り返りは「責める」より「場面の確認」
吸ってしまった日は、自分を責める代わりに、状況を確認してみてください。
- どの場面で吸ったか
- 直前に何があったか(疲れていた、予定外のことが起きた、人と会ったなど)
- 用意していた置き換え行動が使えなかった理由は何か
答えが見つかれば、それは次に備える材料になります。「あの場面では歯磨きの準備が間に合わなかった」「疲れた夜は手軽な別の行動が必要だった」といった気づきは、失敗ではなく、段取りを見直すヒントです。メモに「何が起きたか」を一行だけ足しておくと、次の1週間の計画に活かせます。
次の1日だけを決める
やり直すときは、大きな目標を立て直す必要はありません。「明日の朝だけ」「昼食後の1回だけ」のように、期間と範囲を小さく区切って決めてみてください。小さく区切ることで、できたという感覚を積み重ねやすくなります。
期間を決めたくなったときも、最初は数日から1週間程度で十分です。先の目標を広げるのは、やってみて余裕が出てからで構いません。1カ月、数カ月と考えるのは、その後でも遅くありません。
気持ちが落ち込んだ日は、ひとりで抱えずに、パートナーや信頼できる人に話してみてください。前の章で触れた相談窓口を使うことも、頼れる先の1つです。うまくいかなかった日の話も、そのまま相談してかまいません。
1週間で試せる小さなプランの例
ここまでの内容を、1週間で順に試せる形にまとめました。あくまで一例ですので、合わない部分は順番や内容を入れ替えて使ってください。
日 | やること | ひとこと |
|---|---|---|
1日目 | 吸った時間と場面をメモする | 減らそうとせず、観察だけで十分です |
2日目 | 手が伸びたきっかけを確認する | 疲れや食後など、傾向を見つけます |
3日目 | 置き換え行動を1つ決める | いちばん変えやすい場面を選びます |
4日目 | パートナーに一言伝える | 「やめたいけれど難しくて困っている」で十分です |
5日目 | 相談先を調べる | 電話番号やウェブサイトを控えるだけでも前進です |
6日目 | 相談前のメモを作る | 本数、時間帯、経緯、気になることを書きます |
7日目 | 1週間を振り返り、次の1週間を決める | できたことに目を向けて、小さく決め直します |
全部こなせなくても問題ありません。たとえば、2日目で止まってしまったら、そこからもう一度始めて構いません。自分のペースで、できる日にできることを選んでください。
まとめ
妊活中にアイコスなどの加熱式たばこをやめられないとき、まず大切なのは自分を責めないことです。吸う場面を書き出して整理し、場面ごとの置き換え行動を1つ決めるところから始めてみてください。パートナーには、責め合いにならない言い方で気持ちを伝え、一緒にできる行動を探してみましょう。ひとりで難しいときは、かかりつけの医療機関や地域の窓口など、禁煙の相談先を使う選択肢もあります。
漢方薬房こうのとりでは、妊活中の毎日の過ごし方や気持ちの整え方についてもご相談をお受けしています。生活の中で気になることがあれば、気軽にお声がけください。








