不妊治療中に子どもを見たくないと感じたら、SNSや集まりとどう付き合う?

不妊治療中に子どもを見たくないと感じたら、SNSや集まりとどう付き合う?

不妊治療や妊活中、子どもを見るのがつらいと感じて、SNSを開くのも集まりに参加するのも迷っていませんか。その気持ちを無理に消そうとしたり、周囲に合わせて我慢したりする必要はありません。この記事では、SNSや集まりとの距離の取り方、事情を話さずに断る言い方、パートナーにお願いできることをまとめます。今の自分にできそうな工夫を、一つだけ選ぶところから始めてみてください。

子どもを見るのがつらいのは「心がせまい」からではありません

子どもを見たくないと感じることと、子どもや親しい人にどう接するかは別のことです。つらい場面で、気持ちを隠して笑顔を作り続ける必要はありません。まずは「何がつらいのか」「今は何を避けたいのか」を、自分のペースで整理してみましょう。

子どもを見るのがつらいのは「心がせまい」からではありません

子どもを見たくない自分を責めないために

つらいと思ったとき、「そう感じてはいけない」と自分に言い聞かせていませんか。気持ちにすぐ理由をつけたり、好きか嫌いかを決めたりしなくてもかまいません。まずは「今日はこの話題に触れる余裕がない」と、自分の状態を言葉にしてみてください。

不妊の悩みは、周囲に話しづらかったり、相談する機会が少なかったりして見えにくいことが、公的な情報でも紹介されています。「自分だけで整理するのが難しい」と思ったときは、信頼できる人に話すことも選択肢です。

出典:みんなで知ろう、不妊症不育症のこと(こども家庭庁)

自分を責める気持ちが、さらに心を重くすることも

子どもを見たときの切なさに加えて、「そんな自分が嫌だ」という思いまで抱えると、つらさを誰かに話しにくくなるかもしれません。最初から前向きな言葉に言い換えなくても大丈夫です。

心の中で何を感じるかは、誰にも決められない自由なものです。「今はそういう時期なんだな」と、いったんそのまま受けとめてみてください。気持ちを消そうとするより、「どんな場面でしんどくなるのか」を知って、その場面への対処を考えるほうが、現実的で負担も少なくなります。次の章から、具体的な方法を順番に見ていきましょう。

つらさを感じやすい場面を書き出してみましょう

漠然と「全部がつらい」と感じていると、何から手をつければよいのか分からなくなります。そこで、つらくなる場面を紙やスマホのメモに書き出してみましょう。場面が見えてくると、「ここは避けられる」「ここは短時間なら大丈夫」と整理するきっかけになります。

街中・商業施設・連休のお出かけ

連休や週末の商業施設、公園、電車の中などは、子ども連れが増えやすい場所です。書き出すときは、場所だけでなく、時間帯や曜日もあわせてメモしておくと役に立ちます。

  • どの場所・どの時間帯で特にしんどくなるか
  • その場所に行かないと困るか、別の場所や時間でも代わりがきくか
  • イヤホンで好きな音を聴く、買い物はネットで済ませるなど、負担を減らす手段はあるか

混み合う休日を避けて平日に買い物をする、宅配サービスを使うなど、生活の段取りを少し変えるだけでも、つらい場面に出会う回数を減らせることがあります。

SNSの出産報告や育児の投稿

SNSは、自分で場面を選べない点がやっかいです。開いた瞬間に、出産報告や子どもの写真が目に入ることがあります。

  • どのアプリで、どんな投稿を見たときにつらくなるか
  • つらくなるのは、朝・夜・休憩中など、どの時間帯が多いか
  • 見ないと困る連絡と、なんとなく眺めているだけの情報はどれか

連絡手段として必要な部分と、習慣で開いている部分を分けてみると、減らせるところが見えてきます。

年賀状・親戚の集まり・友人との食事

子どもの写真入りの年賀状、親戚が集まる行事、友人とのランチ。こうした場面は、避けたい気持ちと関係を大切にしたい気持ちがぶつかりやすいところです。

  • 子ども連れが来ると事前に分かっている集まりか
  • 相手との関係で、どうしても出たいものか、今回は見送ってもよいものか
  • 少人数・短時間・場所の変更など、条件を変えれば参加できそうか

書き出したあとは、次のように仕分けしてみてください。全部を避けようとせず、「ここだけは守る」と優先順位をつけることがポイントです。

見極めの視点

考え方の例

対応の例

避けられる

参加しなくても大きな支障がない

今回は見送る、SNSで非表示にする

短時間なら大丈夫

関係を保ちたいが、長くはしんどい

顔を出して早めに帰る、1時間だけ会う

準備して短時間参加する

どうしても出る必要がある

帰る時間と理由を決めておく、帰宅後の予定を入れる

SNSから無理なく距離を取る方法

SNSは、少しの工夫で目に入る量を調整できます。アプリを消すほど極端にしなくても、設定の見直しだけで心の負担が軽くなることがあります。気持ちが落ち着いてきたら、また元に戻してもかまいません。

ミュートや非表示を使うのは失礼ではありません

SNSの設定画面を開き、特定の人の投稿を見えにくくする機能や通知の調整ができるか確認してみましょう。「ミュート」「非表示」などの名称や、使える機能、相手への通知の有無はアプリによって異なります。操作する前に、利用しているアプリの説明を確認してください。

  • 特定の人の投稿だけを表示しない設定にする
  • つらくなる言葉を含む投稿を表示させない機能があれば、探してみる
  • おすすめ投稿の表示を減らす、通知をオフにする

見たくないものを見ないようにするのは、自分の心を守るための自然な行動です。相手を否定しているわけではないので、罪悪感を持たなくて大丈夫です。

見る時間帯と回数をあらかじめ決めておく

気づくとだらだら開いてしまい、思いがけずつらい投稿に出会うことがあります。見る時間を先に決めておくと、不意打ちが減ります。

  • 朝起きてすぐと寝る前は開かない(1日の始まりと終わりの気分を守るため)
  • 見るのは昼休みと夕方の1回ずつなど、時間帯を決める
  • アプリをホーム画面の1ページ目から外し、開くのにひと手間かかるようにする
  • 通知は、必要な連絡だけに絞る

ルールは細かくしすぎず、続けやすいものにしましょう。守れない日があっても、自分を責めなくて大丈夫です。

つらい投稿が目に入る前に、別の楽しみを用意する

SNSを減らすと、空いた時間をどう過ごすか迷うことがあります。手持ちぶさたになると、つい開いてしまうものです。

  • 好きな音楽やラジオ、ポッドキャストを聴く
  • 短い散歩や、お気に入りのお茶の時間を決める
  • 読みかけの本や、見たかったドラマを少しずつ進める
  • パートナーや気の置けない友人に、気軽なメッセージを送る

大きな楽しみでなくても、「SNSの代わりにこれをする」と決めておくだけで、手が伸びる回数は変わってきます。

集まりや行事との付き合い方を決めておく

親戚の集まりや友人との食事は、「参加するか、断るか」の二択で考えるほど苦しくなります。その間にある選択肢をいくつか持っておくと、気持ちに余裕が生まれます。

集まりや行事との付き合い方を決めておく

参加する・短時間だけ参加する・欠席するの3つから選ぶ

誘いが来たら、すぐに返事をせず、「今の自分の状態」と「その集まりの大切さ」を照らし合わせてみましょう。親しい友人の誕生日なら短時間だけ顔を出す、親戚の集まりは今回は見送る、ランチなら子ども連れの少ないお店に変えてもらう、といった具合です。

「大人だけの少人数で会う」「自宅から近い場所にする」「時間を短くする」など、条件を変える提案も有効です。欠席しても、それで関係が終わるわけではありません。落ち着いた時期に改めて会えばよいと、長い目で考えてみてください。

当日の逃げ道と帰る理由をあらかじめ用意しておく

参加すると決めたら、当日の「逃げ道」を用意しておくと安心です。

  • 何時ごろに帰るかを、自分とパートナーの間で決めておく
  • 席を外す理由(電話をかけてくる、お手洗いに行く、外の空気を吸うなど)を考えておく
  • 帰る理由は「このあと予定がある」「少し疲れたので先に失礼します」など、細かく説明しなくてよいものにしておく
  • 席は出入り口に近い場所や端のほうを選ぶ

「いつでも抜けられる」と思えるだけで、その場にいる負担は軽くなります。実際に使わなくても、お守りのような役割を果たしてくれます。

参加した後の自分をいたわる時間をつくる

集まりのあとは、思っている以上に疲れが出ることがあります。終わったあとに予定を詰め込まず、好きな食べ物を買って帰る、お風呂にゆっくり浸かる、早めに休むなど、いたわる段取りまで含めて計画しておきましょう。

帰宅後にぼんやり落ち込んだとしても、それは頑張った反動かもしれません。まずは「参加できた自分」を認めてあげてください。

周囲への伝え方:事情を話す場合・話さない場合

不妊治療のことは、話すかどうかを自分で決めてよいデリケートな話題です。話さなくても断れる言い方もあれば、話せる相手にだけ具体的にお願いする方法もあります。どちらを選んでも間違いではありません。

治療のことを話さなくても断れる言い方

理由を細かく説明しなくても、角が立ちにくい断り方があります。ポイントは、「関係を大切に思っている」という気持ちを一言添えることです。

  • 「声をかけてくれてありがとう。今は予定が立てにくくて、今回は見送らせてください」
  • 「少し休みたい時期なので、落ち着いたらまた連絡するね」
  • 「その日は都合がつかなくて。気にかけてくれてうれしいです」
  • 「短い時間でもいい? 途中で失礼するかもしれないけれど」

うそをつく必要はありません。「言えることだけ言う」というスタンスで十分です。

事情を伝えたいときに、お願いしたいことを具体的にする

信頼できる友人や家族には、事情を話すことで気持ちが軽くなる場合もあります。その際は、状況の説明よりも「してほしいこと・してほしくないこと」を具体的に伝えるのがコツです。

  • 「今、治療をしていて、子どもの話題を聞くと少ししんどい時期なの。話題には出さないでもらえるとありがたいです」
  • 「誘ってくれるのはうれしいから、これからも声をかけてね。断ることもあると思うけれど、気にしないでください」
  • 「聞いてほしくなったら、こちらから話すね。それまでは見守ってもらえると助かります」
  • 「アドバイスよりも、ただ聞いてくれるだけで十分です」

相手に悪気がなくても、善意の励ましがつらく響くことがあります。お願いを先に伝えておくと、お互いの気まずさを減らせます。

しつこく聞かれたときの切り返し

親戚などから「まだなの?」「いつ頃考えているの?」と聞かれたとき、あらかじめ答えを用意しておくと動揺しにくくなります。

  • 「こればかりは授かりものですから」と軽く流す
  • 「二人で考えながら進めています」と、それ以上は踏み込ませない
  • 「デリケートな話なので、そっとしておいてもらえるとうれしいです」と、はっきり線を引く
  • 「そういえば、最近〇〇はどう?」と話題を変える

それでも続く場合は、パートナーや間に入ってくれる家族に頼んで、話題を変えてもらう方法もあります。自分だけですべてを受けとめようとしなくて大丈夫です。

パートナーと「つらさ」を共有しておく

外の世界との距離を調整するうえで、いちばん身近な味方になりやすいのがパートナーです。つらいと感じる場面を共有しておくだけで、いざというときの動き方が変わってきます。

気持ちを話す時間を、短くてよいので決めておく

これからパートナーとどんな暮らしをしたいのか、まず二人で未来について話すことが大切だと、専門家の言葉として紹介されています。気持ちの面でも支えになるという考え方です。

出典:みんなで知ろう、不妊症不育症のこと(こども家庭庁)

とはいえ、改まって長く話すのは負担になることもあります。週に1回10分だけ「今週しんどかったこと」を聞いてもらう、寝る前に一言だけ共有するなど、短くて続けやすい形で十分です。解決策を出し合うより、まず「聞いてもらう」ことを目的にすると、お互いに話しやすくなります。

パートナーにお願いできる具体的なこと

つらさを分かち合うには、「分かってほしい」と伝えるだけでなく、具体的な行動に落とし込むのが有効です。

  • 集まりで子どもの話題になったら、さりげなく話題を変えてもらう
  • 「そろそろ帰ろうか」と声をかける合図(言葉や仕草)を決めておく
  • 断りづらい誘いは、「二人の予定が入っていて」とパートナーから伝えてもらう
  • 集まりのあとは、予定を入れずに一緒にゆっくり過ごす

パートナーが自分と同じ温度で悩んでいないように感じることもあるかもしれません。それでも、責める前に、まず「してほしいこと」を一つだけ伝えてみてください。専門家の言葉として、たとえ一緒に病院に行けなくても、「診察に行ってきたよ」に「ありがとう」と答えるだけでも違う、寄り添う気持ちが伝わることには意味がある、と紹介されています。

出典:みんなで知ろう、不妊症不育症のこと(こども家庭庁)

伝えるときは、「あなたは分かってくれない」ではなく、「こうしてもらえると助かる」という言い方にすると、受けとめてもらいやすくなります。

ひとりで抱えきれないときの相談先

工夫をしてもつらさが続くことはあります。そんなときは、無理にひとりで耐えようとせず、話せる場所を増やしてみてください。相談先はひとつに絞らなくてかまいません。

気持ちの整理を手伝ってもらえる場所を持つ

信頼できる友人や家族、通院先のスタッフなど、話しやすい相手を考えてみましょう。不妊や妊娠・出産に関する悩みの相談先として、公的な「性と健康の相談センター」もあります。対応する内容や相談方法は地域ごとに異なるため、利用前に窓口の案内を確認してください。

出典:相談窓口|不妊のこと DICTIONARY(こども家庭庁)

話すことで必ず解決するわけではなくても、「自分のしんどさを知っている人がいる」と思えること自体が支えになることがあります。話したい日もあれば、話したくない日もあるでしょう。そのときの気分に合わせて選んで大丈夫です。

漢方薬房こうのとりへのご相談について

漢方薬房こうのとりでも、体の調子や気持ちのつらさについてお話を伺っています。「子どもを見るのがつらい」「周囲との付き合い方に疲れてしまった」といったお悩みも、そのままお話しいただいて大丈夫です。無理にご利用をおすすめするものではなく、妊娠や改善をお約束するものでもありません。

「まだ相談するほどではないかも」と感じるときは、必要だと思ったタイミングで思い出していただければ十分です。あなたのペースで、無理のない範囲でご利用ください。

まとめ

子どもを見るのがつらいと感じるのは、責める必要のない気持ちです。SNSや集まりとの距離は、ミュートや短時間参加などを使って、自分のペースで調整してかまいません。周囲への伝え方も、話さずに断る方法から具体的にお願いする方法まで、無理のない範囲で選べます。ひとりで抱えきれないと感じたときは、漢方薬房こうのとりにも気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

漢方薬房こうのとり編集部

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