「妊活に卵子の質が関わってる」と見聞きしたことがある人は多いでしょう。卵子の質はこれからでも高められるのでしょうか。
今回は、そもそも卵子の質とは何か、そして卵子の質を高める漢方薬について詳しく解説します。卵子の質が悪くなる原因やチェック方法も紹介するので、参考にしてくださいね。
そもそも、卵子の質とは
一般的に卵子の質には、以下の3つの力が関与しているといわれています。
- 成熟する力
- 受精する力
- 細胞分裂する力
これらの力が正常に備わったものを質の良い卵子と呼びます。
また卵子を保護する卵巣の機能も、卵子の質に影響しています。卵巣の機能が老化すると、その中で保護される卵子も老化してしまうのです。
卵巣機能低下による月経周期の短縮や経血量の減少が、卵子老化のサインの目安といわれています。
卵子の質を直接チェックする方法はありませんが、超音波検査やAMH(アンチミューラリアンホルモン又は抗ミュラー管ホルモン)検査で卵巣の状態や卵巣に残っている卵子の数をみることで、ある程度推測できますよ。
卵子の質はいつ決まる?
卵子の質は、排卵前に決まるといわれています。卵子が入っている卵胞が正常に細胞分裂できずにいると、質の悪い卵子が排卵されてしまいます。
卵子の質には染色体が関与しており、老化により染色体異常の卵子が増えていくため不妊につながるのです。
卵子の質が悪くなる原因は?
卵子の質が悪くなる原因の例は以下の通りです。
- 加齢
- ストレス
- タバコ
- 不規則な生活
- 睡眠不足
これらは体内で活性酸素を増やして卵子を老化させるといわれているため、卵子の質を気にするうえで改善すべきポイントです。
また冷えなどで血行不良になると、卵巣や卵子に十分な栄養が届かなくなり、卵子の質が低下してしまうので注意が必要です。
「卵子の質が悪いかもしれない」と不安になった場合は、生理周期や生理中の不快な症状がないかを確認しましょう。月経異常は卵子の質を確認する1つの指標といえます。
卵子の質が悪いとどうなる?
卵子の質が悪いとどうなるか気になる人も多いと思います。質の悪い卵子は染色体に異常があるため、以下のリスクが伴います。
- 受精できない(不妊)
- 流産しやすい
- 障害を持った子供が生まれやすい
卵子の質を落とさないことが、妊活においてとても重要だと改めて押さえておきましょう。
卵子の質を上げる方法は?
卵子の質を上げるためには、排卵までの過ごし方が重要になります。ここからは、卵子の質を良くするためにできることを紹介します。
- 季節の食べ物をバランスよく食べる
- ビタミンA,C,Eといった活性酸素を減らすビタミンや、細胞分裂を助けるカルニチンやコエンザイムQ10を含むサプリを摂る
- 体を温める程度の運動を行う
- 血流をよくするお灸を行う
- 体を温めるハーブティーやお茶を飲む
- 卵子の質を上げる漢方薬を飲む
- 7~8時間の睡眠時間を確保する
妊活中は自律神経やホルモンバランスを整えて卵巣機能を守ることや、活性酸素を増やさない生活習慣を意識することが大切です。
卵子の質には食事やサプリより、漢方薬がおすすめ?
卵子の質を上げるためには食事やサプリで対処するよりも、漢方薬を取り入れることをおすすめします。
ここからは、食事やサプリよりも漢方薬をおすすめする理由について詳しく解説します。
食事やサプリは効果を実感しにくい
食事やサプリで体質改善をして卵子の質を上げようとしても、効果が実感しにくいです。
食事やサプリは日常生活に手軽に取り入れられることがメリットです。ただ実際には自分に必要な栄養素やサプリは何かわからず、手探りで妊活に取り組んでいる人がたくさんいます。
妊活は長期戦になりやすく、自分が取り組んでいることや効果に疑いを持ってしまいやすいです。「本当に効果があるのか、もっと良い方法がないか」と情報に踊らされてしまいやすい時期といえるでしょう。
実際に効果を実感できずに時間だけが過ぎていく場合が多いため、不安から妊活に消極的になる人も多いです。
不妊治療で漢方薬はよく使われる
漢方薬の中には、卵子の質の低下につながる月経不順や冷えなどに医学的に効果が証明されているものが多く存在します。ドラッグストアなどで生理痛や冷え性を抱えている人向けの漢方薬が販売されているのを見たことがある人も多いでしょう。
また婦人科領域では漢方薬の効果が注目され、日々さまざまな研究が行われています。特に不妊には漢方薬が効果的だと患者とのやりとりで感じる医師が多く、学術大会などでも漢方薬についての発表がとても多いです。
一方で、食事やサプリは効果が医学的に証明されていないものも多いのが実情です。また食事やサプリだけでは卵子の質を上げる効果が不十分のため、体質改善の一環で漢方薬を取り入れると、より卵子の質を上げる効果が高まるといえるでしょう。
個人の体質に合った漢方薬で卵子の質を保てる
漢方薬を処方する際は、個人の体質や症状に合わせたものを選ぶため、卵子の質を上げる効果をしっかりと得られます。
卵子の質が低下する理由は人それぞれで、原因に合った対処を行わないと効果を実感できないという事態になりかねません。
素人判断で妊活に励んでも効果が実感しにくいのは、体質に合った方法を選べていない可能性があるからです。
以上のことから、医師や漢方薬局で相談をして、自分の体質や症状に合った漢方薬を取り入れることをおすすめします。
【一覧】卵子の質を上げる漢方薬
卵子の質を高める漢方薬は、中医学の観点で体の構成要素である気・血・水のバランスを取り、子宮や卵巣の機能といった生殖能力に関わる腎の働きを良好にします。
気・血・水のそれぞれの役割を以下にまとめました。
- 気:血を運んだり、体を温めたりする
- 血:全身に栄養を運ぶ
- 水:潤いをもたらす
卵子の質が低下している人は気血水のバランスが崩れていたり、腎の機能が低下していたりする場合が多いため、漢方薬が効果を発揮します。
卵子の質を上げる漢方薬に期待できる効果は以下の通りです。
- 自律神経やホルモンバランスを整える
- 卵巣の機能を強める
- 卵子の質を下げる原因である老化を抑える
自律神経やホルモンバランスを整えることで卵胞の成熟を助け、結果的に卵子の質が上がります。
また、冷えなどによって血行が滞ると卵巣に栄養が届かず、卵巣の機能が落ちてしまいます。加えて腎の機能低下でも、卵巣の機能が落ちます。
漢方薬によって血行を改善し卵巣への血流を促進することで、卵子にも酸素や栄養が十分に行き渡り質の低下を防げます。
さらに卵子の質の低下には老化が関わっていると前述しましたが、漢方薬によって腎の機能をサポートして卵子の老化を抑えることができます。
卵子の質を上げるためには、どの漢方薬でも短くても1カ月、長くて3カ月以上の継続が必要です。すぐに妊娠しないからと諦めず気長に飲み続けましょう。
ここからは、卵子の質を上げる漢方薬を紹介します。
- 加味逍遙散
- 当帰芍薬散
- 桂枝茯苓丸
- 八味地黄丸
各漢方薬の成分や副作用なども併せて詳しく解説するので、参考にしてくださいね。
加味逍遙散
加味逍遙散は、血行不良を改善する効果や自律神経やホルモンバランスを整える効果が期待できる漢方薬です。また、精神ストレスの緩和にも効果があります。
- ストレスを発散させる柴胡・薄荷
- 精神を安定させる山梔子
- 緊張を緩和させる甘草
- 血流を促進する当帰・芍薬・牡丹皮
- 胃腸を温めて栄養の吸収を促す生姜
- 水分代謝を改善しながら胃腸機能も高める茯苓・白朮
以上の生薬で構成されています。
加味逍遙散をおすすめする人の特徴は以下の通りです。
- 生理周期が前後に不定期になりやすい
- PMS(月経前緊張症候群)がある
- 肩こりや緊張性頭痛が起こりやすい
このような症状がある人は心身ともにストレスがかかっており、ストレスによる活性酸素の増加で卵子の質が低下しやすいです。
加味逍遙散は、血行を促進し卵巣や卵子に栄養を送るだけでなく、心身をリラックスさせ自律神経やホルモンバランスを整えてくれて卵子の質を高めます。
かゆみなどの皮膚症状や吐き気などの消化器症状が表れたら、服用を中止してください。
当帰芍薬散
当帰芍薬散は貧血や血行不良による冷えやむくみの改善に効果があり、血を補い血流を促進することで卵巣や卵子に栄養を届けます。
- 補血作用と血行促進作用がある当帰・川芎・芍薬
- 水分代謝を改善しながら胃腸機能も高める白朮・茯苓・沢瀉
以上の生薬で構成される漢方薬です。
当帰芍薬散がおすすめの人の特徴は以下の通りです。
- 胃腸機能が弱い
- むくみやすい
このような症状に悩む人は日本人女性にとても多いため、当帰芍薬散は不妊に効く漢方薬として真っ先に名前が挙がります。
酸素や栄養を運ぶ血を補い血行を促進することで、卵子の質を高める漢方薬です。
かゆみなどの皮膚症状や吐き気などの消化器症状が表れたら、服用を中止してください。
桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸は血や水の代謝に働きかけて血行不良を改善し、卵巣や卵子に栄養を行き渡らせて質を高める効果があります。
- 血行を良くして体を温める桂皮
- 水分代謝を改善しながら胃腸機能も高める茯苓
- 血を巡らせる桃仁・牡丹皮・芍薬
以上の生薬で構成される漢方薬です。
桂枝茯苓丸がおすすめの人の特徴は以下の通りです。
- 冷えとのぼせがある
- 生理痛がある
- 経血に大きな塊がある、経血の色が暗い
上記の症状がある人は、血は十分にあれど循環がうまくいかずに卵子に栄養が届かない状態にあります。
桂枝茯苓丸によって血の巡りを改善することで、栄養が届き卵子の質が高まるのです。
皮膚や白目が黄色くなったり、全身がだるくなったりしたら、すぐに服用を中止して病院を受診してください。
八味地黄丸
八味地黄丸は、腎の機能をサポートして卵巣の機能を高める効果がある漢方薬です。
- 腎の機能を高める山茱萸
- 血を巡らせる地黄・牡丹皮
- 水分代謝を改善しながら胃腸機能も高める茯苓・沢瀉
- 体を温め、冷えを改善する附子・桂枝
- 滋養強壮効果のある山薬
以上の生薬で構成されています。
基礎体温で高温期が低め、もしくは短めな人に八味地黄丸をおすすめします。
こういった症状が出ている場合は、ホルモンバランスが崩れており卵巣の機能が低下しているといえます。
八味地黄丸は腎の機能をサポートすることで卵巣機能を上げつつ、ホルモンバランスや自律神経を整えて卵子の質を高める漢方薬です。また卵子の老化を防ぎ、卵子の質を保ちます。
かゆみなどの皮膚症状や吐き気などの消化器症状、動悸やのぼせが表れたら、服用を中止してください。
漢方薬は妊活に有効◎卵子の質が気になる方は「こうのとり」にご相談ください!
漢方薬を妊活に取り入れることで妊娠できた人はたくさんいます。ブログやSNSでも「漢方薬で妊娠した」という口コミをたくさん見つけられるでしょう。
漢方薬を試したいと思った時、市販薬でも効果があるのか気になるかもしれません。
今まで紹介した漢方薬は、すべてドラッグストアで購入できるものです。
ただ、市販薬は個人の体質や症状に合わせて作られているわけではありません。また、自己判断で自身に合った漢方薬を選ぶのは難しいです。
以上の理由から、漢方と妊活の知識や経験が豊富なプロに相談することをおすすめします。
こうのとり薬局は北陸にある薬局ですが、オンラインでも相談を受け付けています。妊活の情報や漢方薬の使用実績も豊富にあり、サポートを充実させています。
妊活中で卵子の質を高めたいと思った方は気軽にご相談くださいね。
参考:
卵の数はどのくらい?? -AMHについて-|東邦大学医療センター 大森病院臨床検査部
女性が妊娠する能力は35歳で本当に急降下するのか?|日本経済新聞
卵子の染色体数異常の原因-北島 智也著-|J-STAGE